「ボートのまち戸田」の未来を、みんなで考える。「戸田公園周辺まちづくりプロジェクト」ワークショップレポート

2026年9月28日と10月5日の2日間、埼玉県戸田市で、ボートの聖地「戸田公園」を起点に、これからの公園や地域のあり方を考えるワークショップが開催されました。

参加したのは、戸田公園や地域を盛り上げたいという思いを持つ市民や地域事業者、ボート関係者の皆さん。日々の暮らしや事業活動の視点から、戸田公園の魅力や課題について意見を交わし、これからのまちづくりにつながるアイデアを出し合いました。

ボートをきっかけに、地域が一体となって戸田公園の新たな魅力を生み出していくこのプロジェクト。今回は、2日間のワークショップや交流会の様子、参加者の声をレポートします!

「戸田公園周辺まちづくりプロジェクト」って?

「戸田公園周辺まちづくりプロジェクト」は、五輪種目でもあるボートを起点に、戸田公園の魅力を発信し、「ボートのまち戸田」という都市ブランドを育てていく取り組みです。

戸田公園には、ボート競技の聖地として知られるボートコースや、日本最大級の水辺空間という魅力があります。一方で、市民が日常的に利用する機会が少ないことが課題となっています。

この取り組みでは、地域の魅力を市内外に伝えるプロモーションと、市民・地域事業者・ボート関係者との共創を進めていきます。今回のワークショップは、地域に関わる人々の声から、新たな魅力やにぎわいづくりのアイデアを探る機会として開催されました。

ワークショップ1日目。まずは戸田公園について話してみる

9月28日(月)の夜。戸田公園周辺のこれからを考えるワークショップに、市民や地域事業者、ボート関係者など25名が参加しました。初めて顔を合わせる人も多く、会場には少し緊張した空気が流れています。

冒頭では、講師を務めるDMM.comの岩井ゆう紀さんや市の担当者から、ワークショップの目的や趣旨、戸田公園の整備事業について説明がありました。

今回のワークショップでは、1日目に参加者それぞれが感じている戸田公園の良いところや課題を共有し、現状を整理します。2日目には、「こんなことができたらいいな」「こんなものがあったらいいな」という、公園をもっと面白くするアイデアの種を集めていきます。

さらに、ワークショップ終了後には、出てきたアイデアの実現に向けて取り組む地域コミュニティの発足についても案内されました。

講師からは「戸田公園と接点の多い参加者のみなさんとともに、公園の魅力を再発見し、新たな魅力を生み出していきたい」という思いが伝えられました。

今回は、市民が1グループ、地域事業者とボート関係者がそれぞれ2グループに分かれて、ワークを進めていきます。

まずはアイスブレイクとして、自己紹介と役割決めからスタート。続いて「わたしと戸田公園」をテーマに、普段どのように公園と関わっているのかをグループ内で共有しました。

「戸田公園の近くに住んでいて、散歩で利用することはあるけれど、あまり行く機会がありません」「大学のボート部に所属しているので、ボートの練習でガッツリ利用しています」など、戸田公園との関わり方は参加者によってさまざまです。

参加者同士で話し始めると、会場は次第に和やかな雰囲気に。笑顔も見られるようになってきました。

続いて取り組んだのは、戸田公園の長所と短所を考えるワーク。公園の「ここが素敵!」「ここが不便だな」と感じる点を挙げていきます。

皆さん真剣な表情で、思い浮かんだ意見をどんどん付箋に書き出していきます。

その後、グループごとに話し合いながら、ホワイトボードに意見を整理していきました。

魅力として挙がったのは「大学の艇庫があるため、ボート部を身近に感じられる」「桜の並木がすごく綺麗」「時間に縛られずのんびりできる」といった声。一方、課題としては「交通の便が悪いため立ち寄りづらい」「周りに食事できるところがない」「イベント情報がわからず、後で知ってがっかりする」などの意見が出ました。

参加者は「そうだよね、わかるわかる」と共感したり、「なるほど!」と、ほかの人の意見から新たな気づきを得たりしていました。

最後は、話し合った内容を各グループの代表者が全体に向けて発表。市民、地域事業者、ボート関係者それぞれの視点から戸田公園の魅力や課題が共有され、参加者全員で公園の現状を振り返る時間となりました。

こうして、1日目のワークショップが終了。多様な視点を持ち寄ることで、戸田公園の魅力や課題が、立体的に浮かび上がってきたようです。

次回は、今回出た意見を踏まえながら、さらに話し合いを深めていきます。

ワークショップ2日目。戸田公園をもっと面白くするアイデアを考える

10月5日(月)の夜。2日目のワークショップには、1日目に参加できなかった方も含め、28名が参加しました。

会場では、ワークショップが始まる前から参加者同士で談笑する姿も。和やかな雰囲気の中で、2日目がスタートしました。

まずは、1回目のワークショップで話し合った戸田公園の長所と短所を振り返るところからスタート。「こんな意見が出ていたよね」とホワイトボードを囲みながら、前回の話し合いを思い出していきます。

続いて取り組んだのは、戸田公園をもっと面白くするためのアイデア出し。戸田公園の現状を踏まえつつ、「こんなことができたらいいな」「こんなものがあったらいいな」と思うアイデアを付箋に書き出していきます。

その後は、チームごとにアイデアを持ち寄り、話し合いながら内容を整理したり、深めたりしていきました。

和気あいあいとした雰囲気のなか、「戸田公園のイメージキャラクターを作る」「ボートコースを利用したスポーツイベントを開催する」「駅から戸田公園に行くまでの道に、カフェなどのお店を出す」「戸田公園直通のバスがあるといい」など、さまざまなアイデアが出ました。

さらに、他のグループが出したアイデアを見て回る時間も設けられました。共感したり、実現したら面白そうだと感じたりした付箋には、丸いシールを貼っていきます。

最後は、1日目同様、市民、地域事業者、ボート関係者それぞれの代表者が、出た意見を全体に向けて発表。さまざまな立場から、戸田公園の新たな可能性が共有されました。

1日目に見つめ直した公園の魅力や課題を、2日目には「これから、どんなことができるだろう?」という前向きなアイデアへ。地域に関わる参加者が一丸となり、戸田公園周辺の未来を考える2日間となりました。

まちづくりの輪を広げる、参加者同士の交流会

ワークショップ終了後には、参加者同士の交流会も行われました。

戸田ブランドのお菓子などを片手に、参加者はワークショップの内容を振り返ったり、戸田市や戸田公園のこと、これからのまちづくりについて語り合います。

ワークショップでは別のグループだった参加者同士も、この場を通して少しずつ交流を深めていました。

「自分もまちをよくする一員に」市民が語る戸田への思い

交流会の中で、市民のみなさんにワークショップに参加した感想を聞きました。

幼少期から戸田市で暮らしているという神代直尚さん。街への愛着も深いといいます。

神代さん「戸田市や戸田公園がもっと盛り上がったらいいな、よりよくできる一員になれたら面白いなと思い、今回のワークショップに参加しました。

自宅から歩いて行ける距離に戸田公園があります。父親が大学のボート部出身で戸田公園に通っていたのもあり、昔から親しみのある場所でした。

今回ワークショップに参加してみて、初めて会った方と同じ市民目線で忌憚なく意見を言い合えたり、ボート関係者の方からのお話も伺えたりして、新たな知見や視点を得ることができました。

戸田市はエネルギーに溢れている街です。年代を問わず楽しく過ごせるので、ずっとそうあり続けてほしい。自分も街をよくする一員として、こういった活動にはこれからも参加していきたいです」

佐久間未菜さんは、戸田市に住んで20年。最近になって初めて戸田公園の存在を知ったそうです。

佐久間さん「公園に行ってみて、『こんなに綺麗な場所があるんだ』と思いました。

ワークショップでは、みなさんのエネルギーがすごかったです。いろんな大人の方の意見が聞けて、学びになりました。

これまで、ボートは身近な存在ではなかったのですが、今回ボート関係者の方からお話を聞き、ボートにもさまざまな世界があるのだと知りました。ボート競技がこんなに盛んだということにもびっくりしました。

私自身は、自分の経験から、若者の引きこもり支援をしたいという思いがあります。戸田公園を起点に街を盛り上げ、人を集めて、つながりが生まれる街にしていきたいと考えています」

「やって終わり」にしない。戸田公園の魅力を未来へ

最後に、このプロジェクトへの思いを、戸田市役所企画財政部共創企画課の中村愛さんに伺いました。

中村さん「戸田市の人口の増加が鈍化しているなか、これからは選ばれる自治体になっていく必要があります。戸田公園のボートコースは、ほかの街にはない大きな地域資源ですが、その魅力が十分に伝わっていないことにもどかしさを感じていました。より多くの方に知っていただきたいと思ったことが、この事業の原点です。

ワークショップでは、みなさんが熱い気持ちで参加してくださり、とてもうれしかったです。私たちだけでは思いつかなかった視点からのお話も伺えました。この時間を無駄にせず、きちんと成果につなげていきたいと、身が引き締まる思いでいます。

戸田市は、都心に近く、緑も多い街です。自然と都会が融合しているところが魅力なので、ぜひ市内外の方に、もっと戸田市を好きになってもらえたらうれしいです」

今回のワークショップで生まれた新たなアイデアやつながりが、これからの戸田公園周辺の魅力づくりにどうつながっていくのか。市民や関係者の思いを起点に、戸田市の新たな可能性を探る取り組みは、これからも続いていきます。

取材・文:mio.h(記事一覧)