
10月1日都内にて、内閣府の「新しい地方経済・生活環境創生交付金TYPEV」の交付を受け、一般社団法人公民連携推進機構が「地方創生2.0」モデル事業の記者発表会を開催しました。
本事業は現役アイドルと女優が「公民連携推進大使」として、3つの自治体(奈良県宇陀市、山梨県大月市、和歌山県那智勝浦町)の地域創生に挑む新しい取り組みです。
本記事では地域特産品を絡めたNFT(非代替性トークン)やコラボ商品の開発を通じて、高い情報発信力で地域経済の活性化を目指す新たな地方創生モデルの概要を紹介します。
新しい地方創生モデルへ期待を寄せる自治体は237にのぼる
本事業に取り組む一般社団法人公民連携推進機構(以下、公民連携推進機構)は、人口減少で税収が減っている自治体を民間企業の力で支援したいとの要望から誕生した組織です。
事業全体を統括する株式会社GMTS(代表取締役:八木下重義氏)の発表によると、2024年に人気コスプレイヤーを起用した地方創生NFT事業で実績を上げたことが、今回地方創生2.0モデル事業が生まれるきっかけになったそうです。
その後全国1,700の自治体へアンケートを行った結果(有効回答数402自治体)、アイドルとの連携を通じた地方創生に興味を示した自治体は237にのぼることも明らかになりました。
今回の事業ではコマーシャルキャラクターのようなレポートとは異なり、従来の広報を超えた自治体・企業・アイドルによる新たな共創モデルを目指します。
アイドルプロデュースの商品やNFTを活用した開発プロジェクトを展開予定
本モデル事業では、アイドルの発信力と民間企業のノウハウを結集し、具体的な売上拡大と関係人口の増加を目指す多角的な施策を展開します。
以下、プロジェクトの具体的な施策を紹介します。
①日本酒のラベルデザインやワインの開発を進める
公民連携推進大使のアイドルが新酒のラベルをデザインするこのプロジェクトでは、大使が酒造メーカーを訪問し、限定ラベルの日本酒やワインを開発する予定です。
NFTによる投票システムも活用するなど、メンバー参画型の画期的な取り組みが予定されています。
プロジェクトの内容
・アイドルが酒蔵を訪問、取材している非公開シーンの閲覧が可能 |
・メンバーの投票(1NFT1投票)により、ラベルデザイン案が決定 |
・アイドルがデザインした限定新酒をいち早く購入可能 |
※プロジェクトメンバーはNFTで募集。
※未成年の大使を除く。
②アイドルが自治体と連携しカレーをプロデュース
宇陀市の薬草、大月市のジャガイモやタマネギ、那智勝浦町の生マグロを使用したレトルトカレーを大使考案のレシピで開発します。
日本酒プロジェクト同様、NFTを購入することでメンバーはプロジェクトを共に盛り上げることができます。
プロジェクトの内容
・アイドルがレシピ開発をしている非公開シーンの閲覧が可能 |
・メンバーの投票(1NFT1投票)により、ラベルデザイン案が決定 |
・アイドルがデザインした限定カレーをいち早く購入可能 |
※プロジェクトメンバーはNFTで募集。
③NFTチケットの購入で素麺や生まぐろが毎年もらえる
チケット購入で、毎年1回1,000円分の素麺や生まぐろが永続的にもらえるNFT企画です。
このプロジェクトでは、全国のユーザーに自治体へ足を運んでもらうきっかけの創出を目指します。
ほかにも、NFT保有者にはアイドルのライブや地域活動の限定非公開シーンの閲覧権、上記①・②と同じくコラボ商品のラベルデザインの投票権が付与されるなど、ファンが地域創生に参画する機会を提供する予定です。
自治体 | プロジェクト内容 |
【宇陀市】 | 毎年10月1日〜30日までに「道の駅宇陀路室生」にてNFT保有者画面提示で1,000円分の素麺無料進呈企画を予定。 10月下旬開催の「うだ産フェスタ」来場時には、アイドルから直接渡される企画も検討中。 |
【那智勝浦町】 | 毎年1月10日〜30日までに「勝浦漁港にぎわい市場」にてNFT保有者画面提示で1,000円分の生まぐろ無料進呈を計画中。 2026年1月下旬開催の「生まぐろフェス」来場時には、アイドルから直接渡される企画も検討中。 |
⑤週末農業にアイドルが参加し地域認知度の向上を目指す
大使が耕作放棄地を活用した週末農業に参加し、農作業を体験します。収穫された農作物はNFTオーナー向けに限定販売される予定です。
週末農業体験の様子を公民連携推進大使共通アカウントや自身のSNSにも投稿し、事業者の紹介および地域の活性化を図ります。
自治体 | プロジェクト内容 |
【大月市】 | アイドルが週末農業を通じて栽培した野菜をNFTで限定販売予定。 |
さらなるプロジェクトの施策内容
施策 | 内容 |
【移住者増加施策】 | ①社会貢献活動に興味がある2万人の「actcoin」登録ユーザーの訪問。 ②子育てインフルエンサーによる地域情報発信(協力:株式会社1to10)。 |
【地域全体の情報発信力向上】 | ①TikTokerやYouTuber等のプロによる動画教室(協力:株式会社 DATES)。 ②アイドルによるSNS活用講座。 |
【地域事業者成長支援】 | 株式会社ZUUによる、地域事業者の成長戦略支援やメディアを活用した認知・顧客獲得支援、資金調達支援、IPOやM&A等の支援。 AIを活用した自治体DXの支援、メディアを活用した自治体の広報支援。 |
公民連携推進大使に就任したアイドル、俳優も登壇
記者発表会では、公民連携推進機構の池田専務理事から宇陀市の名産品である宇陀杉を使用した任命状が登壇した大使に手渡されました。
以下、各大使のコメントを紹介します。
<公民連携推進大使>
平嶋夏海(ひらじまなつみ)

元AKB48 1期生であり、現在はタレント・声優として活躍中。バイク女子としても活動しており、 2019年にはオートバイ用品店「NAPS」のイメージキャラクターに就任し、現在5年目に突入。自身の公式YouTube チャンネル「はしれ!なっちゃんねる」ではサウナ×ツーリングの動画を投稿しており、175万回再生を超える動画もある。
愛車は「MOTOGUZZI V7Ⅲ 10th ANNIVERSARY」と「HONDA CT125 ハンターカブ」。
平嶋夏海さんのコメント

「このような大役を拝命いただき、大変光栄です。那智勝浦町の海岸や温泉、生マグロ、宇陀市の漢方発祥の地で食べられる大和当帰、大月市のブドウ狩りなど、楽しみなことがいっぱいです。私たちが関わることで、一人でも多くの方がこの土地を訪れるきっかけになればと思っています」
佐々木優佳里(ささきゆかり)

2011年AKB48「第12期研究生オーディション」を経て2013年に正規メンバー入り。2018年よりゲーム動画配信プラットフォーム【OPENREC】レギュラー番組として「ゆかるんのMMH!」を放送中。舞台「アサルトリリィ・イルマ女子美術高校編」等に出演。2024年2月、AKB48を卒業し同年8月、1st写真集「Virgin」を発売。同タイトルのメイキングがAmazon・楽天市場で予約販売数1位を達成した。
佐々木優佳里さんのコメント

「地方創生の活動に関わることができてとても嬉しいです。宇陀市が日本で初めてオーガニックビレッジ宣言をした町であることや、那智勝浦町の生マグロが大谷選手たちメジャーの選手に振る舞われたことを知って驚きました。大月市特産の栗も有名ですし、ぜひ食べてみたいです。この活動を通して3つの地域の魅力を私らしく精一杯発信していきます」
兒玉遥(こだまはるか)

HKT48の1期生。2012年にAKB48「真夏のSounds good!」で初選抜入りを果たす。2016年にはAKB48選抜総選挙で9位に輝いた。2019年6月にHKT48を卒業し、俳優としての活動を本格化した。出演作に、NHK朝の連続ドラマ小説「おむすび」、映画「空のない世界から」など。出演映画「そこにきみはいて」が2025年11月28日公開。
兒玉遥さんのコメント

「3つの自治体はフルーツが有名なので、ミカンやマスカットを使ったスイーツを開発していきたいです。私は美容が大好きなので、薬草や天然温泉もすごく気になっています。旅行も食べることも大好きなので、地域の魅力を最大限にPRできるよう頑張ります」
RainTree(れいんつりー)

秋元康プロデュースの新グループ結成を目的としたアイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」オーディションで最終審査まで残った17人の候補生で結成したグループ。2024年10月8日に正式に新グループとして結成し、2025年1月29日にキングレコードよりメジャーデビューを果たす。
メンバー百瀬紗菜さんのコメント

「公民連携推進大使に選んでいただきありがとうございます。私は奈良県出身で、宇陀市の滝谷花しょうぶ園に家族で訪れたことがあり、自然の豊かさや地域の方の温かさがとても印象深く残っています。RainTreeの活動を通して、3つの地域の魅力をたくさん発信していきます」
公民連携推進大使の活動予定
大使は2025年10月から毎月各自治体を訪問し、地域イベントに出演する予定です。
日程 | イベント名 | 場所 |
2025年10月13日(祝) | 大月ゲームサミット2025 | 山梨県大月市 |
10月26日(日) | うだ産フェスタ2025(特別ライブ) | 奈良県宇陀市 |
11月上旬 | 限定ラベル日本酒、限定ラベルワイン発表会 | ― |
12月7日(日) | クリスマスライトアップ点灯式 | 和歌山県那智勝浦町 |
2026年1月31日(土) | 生まぐろフェス2026 プレゼンター | 和歌山県那智勝浦町 |
事業の舞台となる3つの自治体と連携インフルエンサーの紹介
大使の活動の場となる3自治体の関係者からも、本プロジェクトへの強い期待が寄せられています。
また、本事業ではSNSで人気のインフルエンサーとの連携も予定されています。
【自治体】
- 奈良県宇陀市(幹事自治体) https://www.city.uda.lg.jp
日本初のオーガニックビレッジ宣言。薬草発祥の地、日本刀発祥の地。
「宇陀市では、公民連携推進機構様から最先端デジタル体験イベントやオーガニックフェアの開催、全国の中学生が参加する校外学習体験など、さまざまなご支援をいただいております。今回のプロジェクトでは、ぜひアイドルの皆様に宇陀市にお越しいただき、宇陀市を好きになっていただきたいです。そして、このプロジェクトを一緒に成功させたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」(山下正人 政策推進課長)
大月桃太郎伝説、富士の眺めが日本一美しいまち。
「大月市は日本一美しい富士山の眺めが望める街で、都心から1時間ほどでアクセスできます。昔から桃太郎伝説があり、桃太郎村や桃太郎神社もございます。かつては『絶望の大月駅』と言われたこともありましたが、最近は大型ホテルもでき、希望ある街に変わりました。今回のプロジェクトでは、アイドルの皆様と一緒に大月を盛り上げていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします」(杉本孝文 企画財政課長)
生まぐろ水揚げ量日本一、世界遺産と温泉の街。
「那智勝浦町には日本サッカー代表のシンボル・八咫烏(やたがらす)がまつられる熊野那智大社や、世界遺産の熊野古道があります。また、生マグロの水揚げ量が日本一で、ドジャースの大谷翔平選手やチームメイトにおもてなしした177キロの本マグロも当町で水揚げされました。さらに177の源泉を持つ温泉地でもあります。アイドルの皆さんには、マグロや温泉で癒されていただき、同時に那智勝浦の魅力を全国に発信していただければと思います」(村井弘和 観光企画課長)
【連携インフルエンサー】

・限界OLエリザベス
TikTok フォロワー 17.7万人、Instagram フォロワー 3.6万人。仕事も遊びも子育ても!限界まで突っ走る27歳社会人(産休中)。頑張る女性がのびのび生きるための活力になりたい。

・セントくんとおねね夫婦
TikTok フォロワー 28.5万人、Instagram 4.9 万人。4歳で出会った27 歳の幼馴染夫婦!3歳の娘がいる3人家族。

・なつぴぴ
TikTok フォロワー 77.6万人、Instagram フォロワー 6.7万人。1児の母であり、若者に人気のインフルエンサー。 フォロワー数が多く、Z世代ファンが多い
新しい時代の地方創生モデル事業に期待
本プロジェクトでは、アイドルの持つ強力な情報発信力と地域の魅力を活かした、新しい地方創生モデルの確立を目指しています。
出席者の「地域に住む子供たちに土地の魅力を伝えていくことが我々大人の責任である」という言葉が印象に残るなど、事業を推進する自治体や企業からは本事業にかけるそれぞれの熱い想いが伝わってきました。
3つの自治体によるこのモデル事業を成功事例として、全国の地方創生へと波及していくことが期待されます。
「内閣府地方創生2.0モデル事業」記者発表会

開催日時 | 2025年10月1日(水)16:30~17:30 |
会場 | 衆議院第二議員会館 多目的会議室(東京都千代田区永田町2-1-2) |
出席自治体 | 奈良県宇陀市、山梨県大月市、和歌山県那智勝浦町 |
プロジェクト参画企業 | 株式会社GMTS、株式会社ZUU、ギグワークス株式会社、メディアエクイティ株式会社(HEXA)、株式会社DATES、actcoin、株式会社1to10 |