
遠州鉄道・遠州小松駅から歩いて10分ほど。住宅街の中を抜けた先に、まるで時間が静かに流れているような佇まいの木造蔵が現れます。
ここは、明治8年(1875年)創業の「明治屋醤油」。
歴史ある醤油蔵が現役で使われ、今では6代目の店主が伝統の味を守り続けています。
この記事では、地元で長年愛され続ける「明治屋醤油」の魅力を、歴史・味・体験の三つの視点からご紹介します。
歴史ある木造蔵と、浜松に息づく醤油文化

創業から150年以上、明治屋醤油は代々家族で醤油づくりを続けてきました。
浜松市浜名区小松は、かつて複数の醤油蔵が立ち並ぶ「醤油のまち」として知られていましたが、現在ではこの明治屋だけがその伝統を守り続けています。
醤油の醸造所は、2016年に国の登録有形文化財に指定された貴重な建築物。
杉板張りの木造3階建てで、麹づくり・仕込み・圧搾・火入れといったすべての工程が行われています。
時を経た木材の風合いや、ところどころに刻まれた歴史の痕跡が、“生きている蔵”としての趣きを漂わせています。

工場横には醤油の直売所があり、商品の購入が可能です。
店内にも歴史を感じる古い道具類が飾られており、まるで時が止まったかのような静けさと穏やかさに包まれています。
初めて訪れても、どこか懐かしく、落ち着いた気持ちにさせてくれる、そんな不思議であたたかい空間です。
地元で育つ、大豆と小麦の物語

明治屋醤油おすすめの一品「蔵出し醤油」。その特徴と魅力は、原材料のほとんどが地元浜松で育てられていることです。
4代目・政成さんが始めた「政成自然農園」では、農薬や化学肥料を一切使わず、原料となる大豆や小麦を栽培。
「原材料も製造者も見える、安心・安全な醤油を」という先代の想いを引き継ぎながら、「浜松で育て、浜松で搾る」これ以上ない地産地消の醤油をつくり続けています。
そのほかにも、厳選した国産素材を使って、種類豊富な醤油やソース、味噌などが生み出されています。
ひとつひとつの商品には、長年積み重ねてきた職人の技と想いが込められており、唯一無二の味わいとして受け継がれています。
浜松で愛される、やままん醤油と高嶺ソース

明治屋醤油には、昔ながらの製法で丁寧に仕込まれた商品が並びます。
看板商品の「やままん醤油」は、用途や風味に合わせて10種類以上。料理や好みに合わせて選べる豊富なラインナップが魅力です。
どれを買おうか思わず悩んでしまいますが、店内にはわかりやすい案内があり、自分好みの醤油を見つけられるのもうれしいポイント。
まずは少量サイズのミニボトルで試してみるのもおすすめです。

醤油のほかにも、中濃やウスターなどのソースが販売されています。
「高嶺ソース」の名で親しまれ、地元の人々に長く愛され続けてきた一品です。
なかでも定番人気の焼きそばソースは、まろやかでコクのある奥深い味わい。野菜の旨みが凝縮し、口に含んだ瞬間に広がる甘みに思わず笑顔になります。
丁寧に仕上げられた醤油とソースは、プレゼントや贈答用にも最適。
浜松ならではのお土産としても喜ばれることでしょう。
五感で楽しむ、醤油・味噌づくり体験
工場では、醤油蔵を見学できるほか、店舗横の風情あるスペースで、醤油搾りや味噌づくりといった体験メニューも用意されています。
気さくで親しみやすい6代目の店主・野末 将平さんが案内してくれる見学と体験プログラムは、職人としての技を垣間見ながら、わかりやすく楽しく学べると好評。
外国人観光客の参加も増えており、伝統的な家屋の中で「自分の手でつくる」という貴重な体験は、国境をこえて多くの人に喜ばれています。
「明治屋醤油」は、昔ながらの製法を大切にしながらも、地元の農家や地域の人々と協力し、新しい挑戦を続けています。
直売所でお気に入りの味を見つけるのもよし、醤油や味噌作りを体験するのもよし。
浜松を訪れた際には、ぜひ「明治屋醤油」で、蔵の歴史に触れながら本物の味を体験してみてくださいね。
店舗情報
明治屋醤油
住所:静岡県浜松市浜名区小松2276
電話番号:053-586-2053
営業時間:平日8:00-18:00 土曜9:00-17:00
定休日:日・祝日
最寄り駅・アクセス:遠州鉄道 遠州小松駅より徒歩10分
駐車場:専用無料駐車場あり
公式HP:https://www.meijiyashouyu.com/