
江戸時代には夏の風物詩として親しまれていた糀の甘酒は、時代の流れとともに習慣が薄れていきました。
「糀文化を現代の暮らしにもう一度根づかせたい」
そんな強い想いを胸に挑戦を続けているのが、「COME COME CAFE(コメコメカフェ)」の店主「セージ・サンクチュアリ」さんです。

| 【店主:セージ・サンクチュアリさんについて】 東京都出身。 サラリーマンとして働いていたが、2021年3月に早期退職。 起業を目指して同年4月より熊谷市にある障がい者福祉施設へ転職。 農業と福祉を連携させた施設での仕事を通じて、自然栽培のイセヒカリと運命的な出会いを果たす。 2024年5月に甘酒本舗を設立し、同年11月「COME COME CAFE」を開業。 |
開業から現在に至るまで、お客さまの声にどう背中を押されてきたのか。そして、看板商品である「みかがみ」やパウチタイプへの想い、未来に向けた展望について詳しく伺いました。
なお、前編ではこだわりの糀ドリンク(甘酒)について紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
お客さまの声が教えてくれること

「甘酒は苦手だけど、これなら飲めます」
「こんなに甘いのにノンシュガー?罪悪感なく飲めますね」
来店したお客さまから寄せられる感想は、セージさんの励みになっています。
「お客さまのご要望から生まれた商品もあるんですよ」と、セージさんは笑顔で話してくれました。
直接やりとりできる距離感が、糀ドリンクの新しい可能性を広げています。
看板商品「みかがみ」とパウチタイプに込めた想い

数ある商品の中でも、瓶入りの「みかがみ」は格別の存在です。
「『みかがみ』への思い入れは強いです。これで商売をしていこうと思った商品なので」
無農薬で育てられた伊勢神宮奉納米「イセヒカリ」と、名水・神名川の水から生まれる特別な糀甘酒。
厳選した素材から生まれる「みかがみ」には、セージさんの決意と糀文化を未来へつなげたいという想いが込められています。
瓶入りの「みかがみ」と並んで、手軽に味わえるパウチタイプの糀ドリンクも手がけています。
「パウチタイプが売れることで、『みかがみ』を知っていただくきっかけになる。パウチの販売は『みかがみ』を知っていただくための手段なんです」
現在はヨガやピラティスのスタジオなど、健康志向の方が集まる場所でテスト販売を実施中です。手軽に持ち運べる形だからこそ、ジムやスタジオ帰りに楽しむ人も増え、日常の中に取り入れやすくなっています。また、寄せられたお客さまの声は商品の改善へとつながり、より多くの人が親しみやすいドリンクへと進化していきます。
糀文化を今の暮らしに取り戻したい

セージさんの根底にあるのは、糀文化を現代に取り戻したいという願いです。
甘酒は、江戸時代には夏の栄養補給として親しまれ、俳句の夏の季語として親しまれてきました。しかし、醤油屋や味噌屋といった糀を扱う店の減少とともに、その習慣は少しずつ姿を消しました。
だからこそ、糀ドリンクを季節を問わず楽しめる存在として発信していくことが重要です。
「店舗やSNSで地道に告知し、自分自身が糀ドリンクの広告塔にならないとダメだと思っています」と、セージさんは語ります。
挑戦を重ねる日々の中で、思うようにいかないことも多々ありました。
「大きな声では言えませんが、売ることにこれだけ苦労するとは思っていませんでした」
それでも、妻沼の地に店を構えられることをセージさんは大切にしています。
「糀ドリンクは神社仏閣と親和性があると考えていて、聖天様のお膝元で商売をさせていただけるのは本当にありがたいことです」
苦労を重ねながらも日々努力を続け、糀ドリンクの魅力を伝え続けるセージさん。その想いは、地元の方や訪れた人に少しずつ、そして着実に伝わっています。
全国へ、そして2号店へ——広がる未来

糀ドリンクを広める歩みは、次のステージへ。
「全国へ向けて広めていきたい。2年後には2号店を出すことを目指しています」
地域から全国へ。瓶入りの「みかがみ」を軸に、店舗での糀ドリンク販売やパウチタイプによる新規展開を進めながら、甘酒文化を浸透させる挑戦を続けていきます。
糀のやさしい甘さを日常に

「COME COME CAFE」で出会える一杯の糀ドリンク。その特別な味わいは、日々の暮らしを彩るだけでなく、失われつつあった糀文化を未来へとつなぐことでしょう。
参拝や街歩きの途中にふらりと立ち寄れる「COME COME CAFE」。旅先の思い出としてはもちろん、地元の人々の暮らしにもしっかり根づき始めています。糀のやさしい甘さを、ぜひ体験してみてください。
最新情報や営業日のお知らせは Instagram をご覧ください。
基本情報
住所:熊谷市妻沼1856-1
営業時間:11:00~17:00
定休日:水・木(詳細はInstagramでご確認ください)




