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フード  |    2025.11.12

目玉商品キンパ推しの人続出|『ごはんCafe えん』滋賀県長浜市

太巻き寿司だと思って口にし、「なんだこれは?」と驚く人が続出しています。その商品は、韓国料理のキンパでした。

「年配の方は驚かれますが、そういう人ほど何度も購入していただいています。クセになる味かもしれません」

滋賀県長浜市の『ごはんCafe えん(以下、えん)』の今井さんは語ります。キンパとは、太巻き寿司によく似た韓国料理です。酢飯を使用せずに胡麻油と塩で味付けし、ほうれん草や人参、卵焼き、牛肉などを具材にしています。

2023年1月にオープンした『えん』は、ランチやおむすび、各種弁当などのテイクアウトもできる飲食店で、目玉商品がキンパです。

今回は『えん』オーナーの今井さんに、店舗開業のきっかけやこだわりなどについて詳しく伺いました。

サラリーマンから惣菜店、そして飲食店へ

かつて幼稚園だったという店舗(向かって右側を飲食と販売スペース、左側を事務所として使用)

今井さんが自営業を始めたのは、今から10年前。それまでは会社員だったと語ります。

「子どもが少年野球をしていたのですが、ときどき妻が少年野球の集まりで手料理を振舞っていました。それが好評だったのが飲食関係の仕事をするきっかけです。それまでは飲食とは無関係の会社に勤めていました」

10年前までは地元を離れ、宮城県で会社勤めをしていた今井さん。東北の美味しい料理を滋賀の人にも知ってもらいたい思いもあったといいます。

今井さんは宮城県からUターン帰省し、長浜市内で惣菜店を営むことにしました。そして、数年後に現在の店舗となる空き物件を見つけ、入札したという経緯です。

店舗はかつて幼稚園として使用されていた建物で、JR虎姫駅から約500mの場所にあります。また、大きな県道に面していて駐車場も広く、付近には学校やこども園もあるという、新たな事業を始めるには最適な物件でした。

店内は幼稚園の名残りもある温かな雰囲気

店舗の床板や戸は幼稚園として使用されていたときのまま

店舗として利用している部分は、かつて幼稚園の講堂だったといいます。床板や事務所の間に設置された戸やガラスなどは当時のままでした。昭和のレトロガラスは、今では価値が高いようです。

「ときどき、『ここの幼稚園を卒園した』と、懐かしそうに来店してくださる方がいらっしゃいます。とてもありがたいですね。ここは古い物件ですが、床板も当時のまま使用しています。床板の色が違うところがあるのですが、そこはかつてステージがあった場所です」

内装は綺麗に改修されているものの、当時のまま残されている部分もあり、店内はあたたかな雰囲気。卒園した人にとっては、昔の思い出が鮮明によみがえるのではないでしょうか。

また、店内に設置されたテーブルは今井さんが所有する山の木を使用しているとのこと。

今井さんの所有する山の木材を使用したテーブル

店舗内では木のぬくもりも感じられます。木に囲まれた優しい空間で、時間を忘れてゆっくり過ごすには最適です。

目玉商品を探してキンパにたどり着いた

ショーケース内に並ぶ3種類のキンパ

店舗の入口に足を踏み入れると、真っ先に目に入るのがショーケース内のキンパです。『えん』では「えんキンパ」「カルビキンパ」「キムチキンパ」の3種類を販売しています。どうして太巻き寿司ではなくキンパなのでしょうか。

今井さんは何か目玉商品が欲しいと考え、韓国料理の「キンパ」に注目したと語ってくれました。韓国の食に対する考え方が興味深く、話題になっていた「キンパ」を作ってみようと思い立ったそうです。

「最初はやはり、年配の方には受け入れてもらえない印象でした。『何やこれ?』と。見た目が太巻き寿司なので、食べてみると若干カルチャーショックを受けるようです。それが、徐々に年配の方々からの評判も良くなってきて、少しずつ受け入れていただけるようになりました」

『えん』の目玉商品といえばキンパというように、少しずつ知名度が高まっているようです。

米や食材にもこだわり

『ごはんCafe えん』の店舗名からも、お米への並々ならぬこだわりを感じます。じつは今井さんは店舗を経営する傍ら、米の耕作もしているとのこと。

「ありがたいことに、お米も美味しいと言っていただいてます。杉野産のコシヒカリは、平成28年の『長浜おいしいお米コンテスト』、令和4年と5年の『近江米食味コンクール』で優秀賞をいただいた自信作です」

店舗には耕作地の紹介パネルが設置され、直接販売も行っています。耕作している地域は、岐阜県や福井県との県境に近い長浜市木之本町杉野。自然豊かで、山から湧き出る水の美味しい土地です。

今井さんの作った米は、おむすびやキンパとの相性もよく、お客さんからの評判がよいとのこと。

「最近はコンビニ弁当の値段が高く、内容も代わり映えしないとのことで、毎日のようにお弁当を買いに来てくださるお客さんもいらっしゃいます」

お弁当は店舗販売だけでなく、地域内にある事業所への配達も行っているとのこと。

地域との「えん」も大切に

初めて開催されたイベント『えんcafe miniマルシェ』の様子(画像提供:今井さん)

『えん』では、職場体験で地元の中学生を積極的に受け入れたり、マルシェを開催したりと、地域とのつながりを大切にしています。

「ここに店舗を開業する前は、この場所で朝市が開催されていました。ですので、同じように朝市を開催したいと思っていたのですが、出店されていた方々が高齢なために難しい状況です。そこで、キッチンカーなどを呼んで『えんcafe miniマルシェ』を開催しました」

マルシェの開催は初めてのイベントにもかかわらず、思っていた以上の大成功でした。来客者も多く、次のイベント企画への足掛かりとしては十分な手応えを感じたと語ります。

今後も今井さんが主催するイベント開催に期待が膨らみます。

『ごはんCafeえん』詳細情報
店舗入口にはテイクアウト商品がずらりと並ぶ(画像提供:今井さん)

『ごはんCafeえん』の詳細情報は以下のとおりです。

  • 定休日 日曜日・月曜日
  • 営業時間 11:00〜18:00
  • ランチ 11:00〜15:00
  • 電話 0749-73-2070
アクセス

〒529-0142 滋賀県長浜市田町79

店舗の最新情報は、Instagramをご確認ください。

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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