こんにちは。Mediallライターのkonkaです。
今回は東京都町田市の自家焙煎のコーヒー豆のお店「エモ珈琲」の代表であり、焙煎士の鳥川さんにお話を伺いました。
「エモ珈琲」は2011年に開業し、オンラインショップや都内各所で自家焙煎のコーヒー豆を販売するお店です。オンラインショップでは、世界各国のコーヒー農家から仕入れたコーヒー豆を40種類以上取り揃えており、中にはインフューズドコーヒーなどの珍しい製法のコーヒー豆も扱っています。
「エモ珈琲」オンラインショップでは、焙煎度合いや挽き具合も自分好みに選ぶことができ、注文後に焙煎してもらえるのも嬉しいポイントです。また、「エモ珈琲」の直売ではその日だけの品揃えを楽しむことができます。数100gという単位のその日限定のコーヒー豆に出会えることもあるそうです。
2022年9月から「無印良品」小田急町田店とコラボしたり、2023年2月には神奈川県出身の美術作家鈴木泰人氏の個展にて個展テーマをイメージしたブレンドを制作したり、今町田で注目のコーヒー豆のお店です。
※最新の出店情報はエモ珈琲Instagramをご確認ください。
代表の鳥川さんは大学卒業後、調理師免許を取得して飲食業界に入り、日本料理の板前修行をしていましたが、焙煎機を扱う輸入会社への転職をきっかけにコーヒーの世界へ。焙煎士として腕を磨き、2011年にエモ珈琲を開業しました。
2014年にはSCAJコーヒーマイスターを取得し、2017年にはSCAJアドバンスド・コーヒーマイスターも取得。2019年にはSCAJ2019第6回利き珈琲選手権で優勝しました。
この記事を読めば「エモ珈琲」のコーヒー豆の美味しさを味わいたくなります。
淵野辺駅から徒歩10分「エモ珈琲」の出張カフェ
JR横浜線の淵野辺駅から徒歩10分。そこに「雨風ふぁ〜む野菜工房」はあります。
「エモ珈琲」は、毎週木曜日に神奈川県相模原市にある「雨風ふぁ〜む野菜工房」で出張カフェをしています。筆者が取材に訪れたのは、そんな木曜日の昼下がりでした。
「雨風ふぁ〜む野菜工房」は、無農薬・無化学肥料で育てたお野菜と、手作りのお惣菜やお漬物、コラボする店舗の本格ドイツパンや焼き菓子、そして「エモ珈琲」のコーヒーが味わえるお店です。営業は毎週木曜日の10時〜18時。詳しくは「雨風ふぁ〜む野菜工房」Instagram:https://www.instagram.com/amekazefarm/をご覧ください。
住宅街に立つ白い壁の小さなお店。それが「雨風ふぁ〜む野菜工房」です。入り口にかかった白いのれんが風に翻って気持ちよさそうでした。
取材日はとても珍しいという「エモ珈琲」のソロ営業日。無農薬野菜やお惣菜、ドイツパンの販売などはお休みの日で、大きな木のテーブルが中央にありました。
「雨風ふぁ〜む野菜工房」での出張カフェでは、コーヒー豆の購入はもちろん、カフェとしても楽しむことができます。ホットコーヒーは、好きな豆を選ぶと、その場で鳥川さんがハンドドリップで淹れてくれます。
11月だというのに一向に秋らしくならない暖冬の2023年。
筆者はベトナムロブスタ種のアイスコーヒーを頂きました。
美味しいコーヒー豆といえばアラビカ種が一般的ですが、こちらのロブスタ種は丁寧に育てられ、3回の発酵をして精製されたものです。日本にくるロブスタ種では非常に人気の豆なのだそうです。
一口頂くと、芳醇でスモーキーな香りと心地よい苦味が口に広がります。それでいて余韻はすっきりとしていて、香りだけが残るような印象でした。でも、アラビカ種とは違う独特の風味があるのです。鳥川さんいわく3回発酵させていることで、チョコレートやお酒のような感じが出て面白いのだとか。
コーヒーが好きで、それなりに色々なコーヒーを飲んできた筆者も、これは新しい美味しさとの出会いでした。
「エモ珈琲」出張カフェのメニューはこちらです。※2023年11月の取材時のものです。
- 豆から選べるホットコーヒー
- カフェインレスコーヒー
- カフェオレ
- 本日のネルドリップアイスコーヒー
- アイスカフェオレ
- コーヒーチェリーティー
- ホットレモン
- 秋田産ゴボウ茶
- 北海道産有機黒豆茶
- 津久井産梅スカッシュ
- 愛媛産レモンスカッシュ
- 愛媛産レモネード
コーヒーはもちろんゴボウ茶やレモネードなど他のドリンクも美味しそう。
メニューの絵は鳥川さんが自ら描いたもの。
感情が動くemotionalな時間を「エモ珈琲」で
「エモ珈琲」開業に至った経緯を鳥川さんに伺うと「若い頃はそこまでコーヒーに興味がなかったんですよ」と笑いました。
「コーヒーやお酒は知っておかなきゃくらいで、関わるまではあんまり興味を持てなかったんですよ。特にコーヒーは味がわかるとなると玄人のイメージが強くて。値段が高いコーヒーを飲んでも、そんなに感動できなかったんですよね」
そんな鳥川さんに転機が訪れたのは、輸入会社に転職したタイミングでした。
「もともと調理に興味があって、20代の頃は調理師免許の資格をとって、飲食業界で働いていたんです。でも、色々リスクを考えた時に調理の仕事一本では厳しい気がして、それで縁があって輸入会社に入ったんです。そこで海外から焙煎機を輸入したり、珈琲の生豆を輸入しようかという話があったりで、自分でも焙煎を始めたんです」
最初は見よう見まねで焙煎を始めたという鳥川さんですが、だんだんとのめり込み、お店のコーヒーよりも自分で焙煎したコーヒーの方が美味しいと感じるようになったそうです。
「僕の場合、職業柄、焙煎機も生豆もあって仕事しながら焙煎が学べる環境にあったので。一から焙煎の勉強を始めて、展示会で色々なものを知って試したり、生豆の輸入業者さんと繋がったりして」
そして、鳥川さんは2011年に「エモ珈琲」を開業します。
「エモ珈琲」の屋号の由来についてお伺いすると、鳥川さんは「意味は、そのままエモーショナルのエモです」と教えてくれました。
「悩みすぎると決められない性格なので、直感で早くつけちゃったんですよ。エモーショナルのエモ。大学の時にロックのエモっていう分類を聞いていたんです。暴れていた人たちが一皮剥けて、めちゃくちゃパンクなのに綺麗なメロディをやるっていう。そういうエモーショナルです。飲んだ時に、感情が動いたり、感動したりする。心の動きが印象に残るっていう意味でつけました」
感情が動くコーヒー。
鳥川さんが例に挙げた日本のエモロックバンドを伺うと、筆者も知っているバンドでした。
ああ、これがエモ。まさに。と思った筆者でした。
「エモ珈琲」のコーヒー豆が美味しい理由
「エモ珈琲」の焙煎方法は直火式です。一般的に安定した焙煎が難しいと言われる直火式を採用する理由について伺いました。
「最初、練習の時に扱ったのが直火式だったっていうのもあるんですけどね。他のものを試してみても、やっぱり直火式が自分の好みでした。客観的にみても味のバランスが取れているかなって思いましたし、自分の業態としても直火式がベストな選択だと思ったんですよね」
焙煎の難しさについて伺うと、鳥川さんは次のように語りました。
「焙煎は初心者でもできるんですが、細かく味を作るとなると大変です。ちょっとしたことで差がついてしまうので。ミスや失敗を100%無くすのは無理だけど、物作りは安定してこそですからね。前と味が違うっていうそれだけでお客さんを失うこともあります。だからこそ、美味しいのは当たり前で、その一定のラインを超えた上で、品揃えや味を変えたり、お客様へのおすすめを変えたりしています。例えば、大体のお店は深煎りにするけど、『エモ珈琲』ではここの焼き加減でやろうとか。ステーキで言ったら、この肉はどの店もウェルダンにするけど、自分の店ではミディアムの焼き加減を紹介したいなとか、そういう感じです。その上でお客さんの好みでドンピシャだったりすると嬉しいですね」
また、鳥川さんはネット社会が進んだことで、コーヒーの産地における製法や特長の変化も激しく、常に勉強は欠かせないと言います。
「昔はその国独自の製法があって、コロンビアはこんな味、マンデリンはこんな味というのがあったんですが、今はとにかく情報の伝達が早いんですよね。例えば、パナマの製法で良い値段がついたってなると、アフリカの生産者がそれなら試してみようと、パナマの製法で作り始めるんです。だから、一つの農園でもリスク管理の面もあって、いろんな品種や製法でコーヒーを作っているので、日々更新される情報に追いつくのが大変です。だから、いつも勉強勉強って感じですね。まぁ勉強という意識は全くなくて、知りたいからやってるって感じなので全然苦ではないんですけど」
探究心のすごさに筆者が驚いていると、鳥川さんは言いました。
「好きなことを仕事にしちゃいけないって言う人もいますけど、どの分野でも尊敬できる実力や業績がある人は、みんなやっぱり好きですよねって思います」
好きこそ物の上手なれ。
筆者の頭の中には、そんな言葉が浮かびました。
鳥川さんはこの仕事が好きで、好きだから勉強して、勉強すら楽しくて、そんな毎日を繰り返して、そうして出来上がる「エモ珈琲」のコーヒー豆。
好きな気持ちを原動力に生まれる美味しいコーヒー。
それはとても素敵で、シンプルです。
「エモ珈琲」のコーヒー豆が美味しい理由、見つけたり。
とはいえ、そうして利き珈琲選手権で優勝しちゃう鳥川さんはやっぱりすごい。
コーヒー豆は農産物。良い農園で育った良い生豆を、本日の焙煎で。
鳥川さんは「エモ珈琲」の重要なコンセプトについて語ってくれました。
「開業した時に、マルシェへの出店から初めたので国内の生産者さんとつながりができたっていうのもあるんですけどね、どうして無農薬野菜と一緒に販売しているかっていうところで、やっぱりコーヒーも農産物としてみてほしいっていうのがあるんです。日本にいるとコーヒーの赤い実を見ることってないと思うんですけど、実際に実を見て、生豆を焼いていくと、もう果物にしか見えないんですよね。だから、お客さんと直にコミュニケーションを取れる場では、『今日はこの豆を深煎りにしました』とか『浅煎りにしました』とかそんなイメージでやってます。例えるなら、板前さんが『今日はこの魚を刺身にしました』とか『煮付けにしました』って言ってお客さんに出すようなイメージですね」
コーヒーは農産物。焙煎士はそれを美味しく調理する料理人。
なんだか新鮮で、でも、ものすごく納得がいって、筆者は深く頷きました。
「今日の料理、みたいな感じですかね。お客さんにもそういう風に楽しんでもらいたいっていうのがあります。私自身も楽しみたいんですよ。この豆は普段はマイルドな焼き方だけど、今日はあえて深く焼こうとか。直売では通販に出すほどの量がないけど、今日だけ飲んでみますか?っていうような豆も出しているので、直売にもぜひ来てほしいですね」
“今日のコーヒー豆” に出会える「エモ珈琲」の直売。
みなさまもぜひ足を運んでみてください。
おわりに
いかがでしたか?
東京都町田市の自家焙煎コーヒー豆のお店「エモ珈琲」。
「エモ珈琲」はオンラインショップ(https://emocoffee.buyshop.jp/)があるので、遠方でも「エモ珈琲」のコーヒー豆を味わうことができますよ。
筆者も「エモ珈琲」のコーヒー豆を購入し、翌朝ハンドドリップで淹れましたが、蒸らしの際にお豆がぷっくりと膨れ上がり、コーヒーの香りが部屋中に広がりました。ああ、もうこの時点で幸せすぎると思いつつ、出来上がったコーヒーを頂くと、寝不足の疲れた体にコーヒーが染み渡って、ため息が出るほど美味しかったです。
コーヒーは農産物。その言葉が深く印象に残っています。
ぜひ皆さんも「エモ珈琲」の心が動く美味しいコーヒー豆を味わってみてください。ちなみに「無印良品」小田急町田店では現在でも「エモ珈琲」のコーヒーを楽しむことができますよ。
この記事が皆さまの参考になれば嬉しいです。
エモ珈琲の情報
オンラインショップ:https://emocoffee.buyshop.jp
HP:http://emocoffee.com
インスタグラム:https://www.instagram.com/emocoffee.co/
雨風ふぁ〜む野菜工房へのアクセス:神奈川県相模原市中央区鹿沼台2-4-6