「ちんすこう」というと、沖縄の名産品のイメージではないでしょうか?
瀬戸焼で有名な愛知県瀬戸市でも、本格的なおいしいちんすこうがいただけます。
瀬戸市北部の閑静な住宅街に店舗を構える「四季乃舎(しきのや)」さんです。
沖縄好きの筆者も、こちらのちんすこうのオリジナリティに魅了された一人。
お茶請けにも、友人への手土産にも、大変喜ばれる逸品と言えます。
食感にもネーミングにも独自性を持たせた「瀬戸ならでは」のちんすこうをご紹介しましょう。
釉薬(うわぐすり)を表す自慢の7種
店頭に並ぶちんすこうは、定番品25種類に季節限定品を加えた26種類です。
四季乃舎さんのちんすこうと瀬戸を結びつけるのが「瀬戸焼」です。
「瀬戸焼」とは、瀬戸市で生産される伝統的な陶器の一種で、多彩な釉薬を使った、色鮮やかな仕上がりが特徴です。
「瀬戸焼」は釉薬を使った日本最古の焼きものと言われており、約1000年の歴史があります。
四季乃舎さんには「瀬戸焼」を仕上げるのに欠かせない、代表的な釉薬をモチーフに作られたちんすこうが7種あります。
古瀬戸(ココア)・黄瀬戸(きな粉)・御深井(うぐいす粉)・鉄釉(黒糖)・灰釉(和三盆)・織部(抹茶)・鼠志野(キャラメル&アーモンド)の7種です。
瀬戸焼の鮮やかな色味の決め手になる、釉薬の特徴をうまく表現しています。
例えば、古瀬戸の自然な褐色をココアで、御深井の淡い黄緑色をうぐいす粉で、と絶妙な色合いを感じ取れます。
色合いは、生地を練ったあとと焼き上がったあとでは異なることが多く、これほどの種類を揃えるには苦労されたそうです。
中でも筆者のおすすめは抹茶味の織部。
色同様、味も深みがあって大人な味ですが、抹茶が強すぎず、お茶と一緒にいただいても喧嘩しません。
織部という釉薬は、美濃地方伝統の織部焼の技術を瀬戸焼にも用いたものと言われています。
美濃地方は瀬戸市に隣接しており、焼き物を通じての交流がうかがえます。
焼き物に精通していないと聞いたことのないネーミングが興味を引きますね。
他には、子どもに人気のココアやキャラメル&アーモンドなどを揃えているので、老若男女に喜ばれる「瀬戸の手土産」と言えます。
「エンゴロ」型のプレーン
釉薬をモチーフにしたちんすこうの他に、四季乃舎さんでは、瀬戸焼を作る段階で用いる「エンゴロ」という陶器のケースの形をかたどったプレーンも揃えています。
お菓子を通じて、瀬戸焼の知識を広げようとされているところに地元を大切にする姿勢を感じます。
コロンとしたフォルムは、指で持ち上げると可愛さが倍増します。
シンプルな甘さがどこか懐かしさを感じさせ、すっと溶けるようになくなる口どけの良さです。
「伝統の味をそのままに体験していただきたい」との舎主・加藤さんの思いから、プレーンは創業時から変わらぬ味とのこと。
加藤さんが沖縄伝統の味に出会った話はぜひ後編で……。
店内には、普段なかなか見られないエンゴロも飾ってありました。
瀬戸焼の工房でしか見られないエンゴロをちんすこうのお店で見られるとは驚きです。
沖縄の郷土楽器である、三線と共に飾ってあり、四季乃舎さんの化学反応をインテリアで表現しているように見受けられました。
冬の限定品「柚子」
私も含め、常連客は定番と共に、季節限定品をお目当てに来店する方も多いのでは。
私が伺った際には「柚子」が並び、冬の訪れを実感します。
少しヒビ割れているのが、四季乃舎さんのちんすこうの特徴。
柚子がたっぷりと練りこまれたちんすこうは一口いただくと柑橘の香りが口いっぱいに広がります。
ほろっとしたちんすこうの食感と柚子の食感のコントラストが面白く、また食べたいと思える味でした。
よりどりみどりのラインナップ
全部で26種を揃えるラインナップはどれも魅力的で悩んでしまいます。
悩みながらひとつひとつ選んでみるのもよし、悩んで困ってしまう方は、詰め合わせを選んでみるのもよし。
さまざまな味を楽しめる詰め合わせで、誰しも好みの味が見つかることでしょう。
お取り寄せも可能なので、ぜひ味わってみてください。
前編では、四季乃舎さんご自慢のちんすこうをご紹介しました。
後編では、ちんすこうとの出会い、瀬戸でちんすこうを作ろうとしたきっかけから将来についてのお話をたっぷりと聞かせていただきました。
どうぞお楽しみに!
店舗情報
名代ちんすこう 四季乃舎
住所:〒489-0905 愛知県瀬戸市はぎの台4-46
TEL:0561-48-2275
営業時間:9時~17時
定休日:火曜日・水曜日(臨時休業あり)
郵送代引も可
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