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【愛知県】株式会社 巴製作所|デザイン経営への挑戦・若き経営者の覚悟(前編)

愛知県に新規事業創出を見据え、「デザイン経営」に取り組む企業がある。

今年で創業76年を迎える「株式会社 巴製作所」だ。

鍛造・切削を得意としており、トヨタ自動車のTier1サプライヤーとして長年の実績をもつ。

5代目代表取締役社長の坂井聡佑さんは、新規事業に取り組むべく、2023年10月より開始された中部経済産業局主催の「デザイン経営支援プログラム」に参加した。

プログラムを終えた坂井さんに、デザイン経営を取り入れたきっかけや、プログラムの受講による変化、そして今後の展望について伺った。

※本記事は【前編】【後編】に分けてお送りします。

▼デザイン経営とは

デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです。

引用元:特許庁はデザイン経営を推進しています | 経済産業省 特許庁

高い品質を維持する|株式会社 巴製作所とは

全国1位の製造品出荷額等(※)を誇る愛知県。

自動車などの製造業が盛んなことで知られている。

そんな愛知県で1948年に創業された「株式会社 巴製作所」は、自動車用搭載工具や特殊整備用工具の製造を行っている。

巴製作所で製造されたハブナットレンチ。

「うちの主力製品は、ハブナットレンチです。タイヤがパンクした時など、スペアタイヤに交換する時にタイヤのナット(ネジのようなもの)を脱着する工具というとわかりやすいでしょうか。弊社は従業員数45名の規模でありながら、70年以上前からトヨタさんと直接取引を行うTier1サプライヤーの位置にいる会社です。高い品質が求められる中で、その期待に応え続けてきました」(坂井さん)

巴製作所は、トヨタ自動車株式会社の車に搭載しているレンチで100%近いシェアを誇る。

実際に車内に格納されているハブナットレンチ。

売上の大半を占めているハブナットレンチだが、その出荷量は近年減少傾向にあるという。

「日本は道路の状況が良いので、タイヤがパンクすることは少ないです。また、パンクしても一定距離を走ることができるタイヤ、簡易修理キットが増えてきているため、スペアタイヤを積んでいない車が増えてきました。それに伴い、弊社のレンチを搭載しない車も増えたので、出荷量は近年減少傾向にあります」(坂井さん)

デザイン経営に取り組んだきっかけは、そうした危機感からだった。

アイデンティティを抽出し、ブレることのない軸を作る

レンチに依存した状況から脱却するため、新規事業を作っていかなければならなかった坂井さん。

しかし、闇雲にはじめても社員の理解や協力を得ることはできない。

「巴製作所は70年以上の歴史があるため、新しいことへの挑戦に抵抗感や苦手意識をもつ人もいます。全社を挙げて新規事業に取り組んでいくためには『なぜ巴製作所が行うのか』という説得力のある理由が必要でした」(坂井さん)

そんな折に、坂井さんは中部経済産業局が主催する「デザイン経営支援プログラム」に出会う。

▼デザイン経営支援プログラムとは

企業が、地域に根ざしたデザインプロデューサーなどの支援者とチームを組み、デザイン経営の考え方を活用しながら新規事業創出やブランディング、事業承継などの課題の解決に向けた活動を促すプログラム

引用元:
デザイン経営セミナー・プログラム説明会(企業向け)を開催します-中部経済産業局ホームページ-経済産業省

プログラムにおいて、アイデンティティを重視すると知った坂井さんは、その考え方に共感したと言う。

「プログラムは、アイデンティティ型デザイン経営と呼ばれる手法で、経営者や会社のアイデンティティを掘り下げることを重視するというものでした。このプログラムであれば、新規事業を考える上で、巴製作所がこれまで積み上げてきた伝統や価値観を大切にしながら、『なぜ巴製作所が行うのか』を明確にできると思い応募を決めました」(坂井さん)

▼アイデンティティ型デザイン経営とは

デザイン経営に取り組むための9つの入り口の一つであるアイデンティティ(企業の歴史・カルチャーや経営者の想い)に主眼を置いています。
会社を経営する中、芯をブラさずにビジョンに向かうために、自身や企業の変わらない価値観のモノサシを探しだすことを、このデザイン経営手法では何より大切にしています。(略)経営がうまく進まない時でも立ち戻り「何のために行うのか?」「向かう先はどこなのか?」と自問自答しながら前に進むことが出来ます 。

引用元:
デザイン経営セミナー・プログラム説明会(企業向け)を開催します-中部経済産業局ホームページ-経済産業省

プログラムは、2023年10月から全5回に分けて行われた。

「まずは、経営者や企業がどういうアイデンティティを持っているかをヒアリングするところから始まりました。会社創業の経緯や、これまでどういう決断、選択肢をとって今に至るのか、私が経営者として過去にどういう経験をして、これからどうしていきたいかといったことを掘り下げていくんです」(坂井さん)

アイデンティティの抽出は、プログラムの半分もの時間を費やし、じっくり行われる。

坂井さんは、ヒアリングを通して自分自身と向き合うことで、新しい発見があったと実感している。

「自分のことって、考えているようで考えていないということに気づかされました。質問を受けて、自分の考えや希望を再考して結論を出す良い機会になりましたね」(坂井さん)

また、会社についても新しく知ることや、改めて整理できたことがあったという坂井さん。

【後編】では、プログラムを通して見えてきた「巴製作所が社会に提供してきた価値」と「新規事業」について伺う。

※ 参考:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査結果」

会社情報

株式会社 巴製作所(愛知県丹羽郡大口町)

1948年創業。トヨタ自動車の一次サプライヤーとして自動車用搭載工具と特殊整備用工具の製造を行う。鍛造、切削、プレスなどの多様な技術で、顧客のニーズに迅速に対応し、信頼される製品を提供している。

住所 愛知県丹羽郡大口町秋田3丁目215−1
電話 0587-95-2196
WEB https://tomoe-ss.co.jp/

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この記事を書いた人

高埜 紫

専業ライターとして活動中。元WEBエンジニア。社会福祉士の資格をもつ。現在はさまざまなジャンルのSEO記事の執筆や構成作成を行う。全国の植物園、動物園、水族館を訪れるのが大好き。Mediallでは主にふるさと納税の記事を担当。人・お店・自然・食べ物・イベントなど、地域の魅力を紹介。

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