
2026年、千葉市は「千葉開府900年」という大きな節目を迎えます。
この節目にあたり、市民とともに未来を見据える「千葉開府900年記念事業」が進行中です。単なる「お祝い」にとどまらず、「これからの千葉」を形づくる試みですが、舞台裏には、どのような思いが込められているのでしょうか。
千葉市役所の総合政策局総合政策部都市アイデンティティ推進課の白井様と今村様に詳しくお伺いしました。

1. 事業の背景と目的
千葉開府900年の節目を迎えて──記念事業の背景と目的について教えてください

2026年、千葉市は、まちが開かれてから900年という大きな節目を迎えます。
1921年の市制施行後、本市では6月1日を「千葉開府の日」と位置づけ、市制施行間もない1926年の開府800年、戦後の経済成長と人口増加の只中の1976年の開府850年と、50年ごとに記念事業を行ってきました。
千葉開府900年記念事業では、「千葉一族からの学びを活かし、未来へ向けたひとづくり、文化づくり」を基本理念とし、市民の皆様がまちの歴史を振り返り、まちの未来について考え、人とまちの過去・現在・未来をつなぐ契機となるように実施しています。
2. 歴史的意義と千葉氏の存在
千葉一族の歴史を現代にどう伝え、未来につなげていこうとしていますか
千葉のまちを開いた千葉一族は、動乱の時代に知力・胆力をもって挑戦し、自ら未来を切り拓き、持続的な都市経営を行いました。先ほどの記念事業の基本理念にも示されているとおり、この千葉一族のチャレンジスピリットを、今を生きるわたしたちが受け継いで行動し、人とまちがともに輝く未来へとつなげていくことこそが千葉開府900年の重要な意義であると考えています。
3. 市民参加と若い世代へのアプローチ
市民や若い世代が参加する仕組みにはどのようなものがありますか?
千葉開府900年記念事業として、今年から来年にかけて様々なイベントを開催予定です。
市民の皆様に参加いただけるようなイベントも多く予定をしておりますので、ぜひご参加ください。
その他、市民・団体・企業等の皆様に、「千葉開府900年記念メンバー」として登録いただき記念事業を一緒に盛り上げる、千葉開府900年記念メンバーシップ登録制度を実施中です。記念のイベントを実施するほか、のぼり旗・ポスターの掲示など広報に協力いただける方を含めて登録者を募集しております。
また、千葉開府900年を迎える2026年には、学生と企業が連携して実施する企画も検討しています。様々な地域の課題や魅力を踏まえた事業を企画・実施し、若い世代の方が自分自身とまちの未来について考える機会にしてもらいたいと考えております。
4. 記念イベントと文化的発信
先日の「千葉開府まつり2025」や今後開催される「記念パレード」など、記念イベントの見どころや狙いを教えてください
「千葉開府の日」である6月1日に、千葉開府900年の1年前を皆様とお祝いする記念イベント「千葉開府まつり2025」を開催しました。千葉市にゆかりのある人気タレント「オズワルド」さんによる千葉開府900年スペシャルトークショーや、地元の高校生による吹奏楽の演奏など、様々な催しで当日は多くの方にお越しいただきました。
基本理念に「未来へ向けたひとづくり、文化づくり」を掲げていますが、文化やスポーツに関わるイベントも多く行っており、世代を問わず誰もが参加できるのが大きな特徴です。
7月25日には、千葉公園芝庭で千葉開府900年記念として「2025年度夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会」を開催し、当初目標の1,000名を大きく上回る2,000名もの方々にご参加いただきました。
https://www.city.chiba.jp/900th/project/radio_taisou.html
また、今年は「ちから、ひらく。」をコンセプトに千葉開府900年のシンボル事業の一つである「千葉国際芸術祭2025」も開催中です。芸術祭で創出された人とのつながりや再認識された地域の魅力を、未来のまちづくりにつなげたいと考えています。トリエンナーレとして継続開催を目指しており、千葉開府900年のレガシーの一つに位置付けています。
https://artstriennale.city.chiba.jp
このほか、2026年11月には千葉駅前大通り周辺での記念パレードなど、様々な記念イベントを今後も実施する予定です。歴史的な節目をお祝いする機会として、多くの方にご参加いただけるイベントを実施して参りますので、ぜひご参加ください!
https://www.city.chiba.jp/900th/project.html
PR動画「千葉開府 月と星の伝説」に込めたメッセージについて詳しく教えてください。

PR動画「千葉開府 月と星の伝説」は、1126年の「千葉開府」から千葉のまちの900年の歴史と千葉市のこれからをイメージし、千葉氏が主人公となるゲームをモチーフとした動画です。前半はレトロゲーム風のアニメーションで千葉氏の活躍の様子を表現し、後半はレトロゲームの世界を飛び出して実写で甲冑を着たBMXライダーが千葉市内を走り、未来に向けた期待感を表現しています。
世代を問わず多くの方に関心を持って動画を視聴いただき、千葉開府900年について知っていただきたいという思いで制作しましたので、ぜひご覧ください。
5. 地域活性化とクラウドファンディングの活用

出典:CAMPFIRE
千葉開府900年記念事業の実施にはクラウドファンディングを通じて展開されているものもあるそうですが、クラウドファンディングを活用したプロジェクトには、どのようなものがありますか
千葉開府900年に向けて記念事業・記念商品などの具体的なアイデアがある方、クラウドファンディングに挑戦してみたい、学んでみたいと思っている方の支援を行っています。これまでに「ロケ地が全て千葉市の映画を創りたい!」「千葉市初のワイナリーを作る!」「千葉開府900年に向けて『千葉城さくら祭り』を盛り上げたい!」など様々なプロジェクトが立ち上がっています。
詳しくは「千葉開府900年クラウドファンディング特設ページ」をご覧ください。
https://camp-fire.jp/curations/chiba_900th
6. 今後の展望と千葉開府1000年に向けたビジョン
千葉開府1000年に向けた今後の展望を教えてください
千葉開府900年の歴史的な節目を迎える喜びを皆様と分かち合うとともに、千葉一族からの学びを活かしながら記念事業を行っていきます。さらに次代を担う若い方々が千葉市に誇りを持てるよう、千葉開府1000年をも見据えて、より豊かな未来につなげていきたいと考えています。
7.千葉市が大切にする4つの地域資源と、その活用について教えてください

千葉市では、「加曽利貝塚」「オオガハス」「千葉氏」「海辺」の4つを地域資源として位置づけています。これらは平成26年度に実施した「都市アイデンティティ確立に向けた基礎調査」の結果をもとに、固有性や独自性から千葉市らしさを象徴する存在として選定されたものです。
これら4つの地域資源を千葉市の個性や魅力を伝える起点、基準点として活用しており、「千葉市らしい」まちづくりを進め、都市アイデンティティの確立を目指しています。
たとえば、専門学校と連携してPRを行っており、市内のハッピー製菓調理専門学校とは、「千葉市の4つのたからもの」という地域資源をテーマにしたクッキーを学生の皆様が制作・販売するなど、親しみやすいかたちで発信いただいています。
※ハッピー製菓調理専門学校の取り組みについてこちらの記事で紹介しております。
また、加曽利貝塚では縄文文化を学べる体験イベントや、オオガハスが見頃を迎える6月に開催される「大賀ハスまつり」や夜のアートフェス「YohaS(夜ハス)」の開催、海辺での「幕張ビーチ花火フェスタ」の開催など、資源ごとの魅力を生かした取り組みが多数展開されています。そして千葉のまちの礎を築いた千葉氏も千葉開府900年記念事業と密接にかかわっており、それぞれの地域資源が「千葉市らしさ」を際立たせ、千葉市の魅力を強くアピールしています。
未来へつなぐ900年──市民とともに築く次の100年

千葉市が迎える「千葉開府900年」は、単なる節目ではなく、過去を振り返りながら未来への一歩を踏み出す重要な機会です。千葉一族に受け継がれる挑戦の精神、市民参加型のイベント、若い世代へのアプローチ、地域資源の活用──そのすべてが、「千葉市らしさ」を改めて見つめ、千葉開府1000年に向けた次の100年をどう生きるかを考える手がかりになっています。
まちのアイデンティティを育み、誇りとともに未来へとつなげていくこの記念事業。千葉市は、これからも人とまちの絆を深めながら、持続可能で魅力ある都市づくりを進めていくことでしょう。市民一人ひとりの参加と想いが、千葉の新たな物語を紡いでいく力となります。




