埼玉県入間市で茶園「的場園」を営む四代目、的場龍太郎さんは、伝統の狭山茶を守りながらも、新しい楽しみ方を積極的に提案しています。茶葉本来の香りや甘みを大切にしつつ、スパイスティーTeTeの開発や体験型ワークショップなど、多彩な活動を通して狭山茶の魅力を広めています。後編では、的場園が取り組む狭山茶の新しい挑戦と、的場さんの想いを詳しく紹介します。

狭山茶をまだ知らない人に届けたい
前編でお伝えしたように、的場園の目指す狭山茶は香り高く甘みのある、誰が飲んでも美味しい味です。しかし、入間市や所沢市を抜けると、埼玉県内では静岡茶が主流で、まだ狭山茶を体験したことのない人が多いのが現状です。
的場さんは「狭山茶の楽しさや驚きを、まだ知らない人たちに届けたい」と語ります。その思いは、これからご紹介する狭山茶を新しい形で楽しんでもらう活動につながっています。伝統を守りつつも、新しい体験を通して埼玉の狭山茶の魅力を伝えていく──この挑戦こそが、的場園の狭山茶を未来へとつなぐ原動力になっています。

狭山茶を新しい形で楽しむ「スパイスティーTeTe」
的場園では、狭山茶の魅力を広げるために世界のスパイスと組み合わせたスパイスティーTeTeを開発しました。渋みやえぐみを抑えた煎茶、香ばしい香りのほうじ茶、甘みが際立つ和紅茶をベースに、それぞれスパイスと組み合わせ4種類のブレンドを制作。初めて狭山茶に触れる人にも驚きと楽しさを届ける一杯となっています。

【内容】
TeTe#1 ほうじ茶✕シナモン
自家焙煎の香ばしい「ほうじ茶」に、華やかな香りと甘味を持つ「シナモン」をブレンド。
甘味が強く低カフェインでホッとしたい一時にオススメ。
TeTe#2 煎茶✕フェンネルシード
「フェンネル」の鮮烈な香りに「狭山火入れ」の焙煎香を組み合わせ。
身体に優しいフェンネルとフレッシュな香りが食後や気分転換にピッタリです。
TeTe#3 和紅茶✕カルダモン
国産の茶葉で作られた和紅茶は渋みが少なく甘みが強いのが特徴。その和紅茶に、カルダモンをブレンド。和紅茶の甘味とカルダモンの鮮烈な香りと清涼感が生み出す新しい味わいを楽しめます。
TeTe#4 和紅茶✕クローブ
甘くスパイシーな香りが特徴のクローブを、同じく甘みが強い和紅茶と合わせ、エキゾチックな味わいを実現。
今までにない濃厚な香りと味わいに仕上がりました。
TeTeの開発自体は、インド人留学生と共同で行ったそうです。配合や組み合わせなど、当初は意見をすり合わせながらも、味の馴染みの違いに試行錯誤を重ねました。今では、日本人に好む配合にリニューアルされ、TeTeを買い求めるファンも定着する人気商品となっています。

オリジナルスパイスティー製作|狭山茶ワークショップも開催

この日、的場さんは講師としてオリジナルスパイスティーづくり体験を皆さんにご提案。主軸となるお茶の種類を決めて、そこからスパイスを選び、ブレンドの数やその割合など、すべて参加者自身でオリジナルを作るというもの。 そのヒントとなるように事前にTeTeの商品解説を行い、試飲時間も設けられていました。初めて飲んだ方は「煎茶とスパイスの組み合わせ面白い!」「ブレンドに必要なスパイスの味を知れてうれしい」などの声が。

用意されたのは、煎茶・ほうじ茶・和紅茶のほかに、スパイスやドライフルーツなど全部で約20種類。組み合わせで仕上がる味を想像しながら、参加者一人一人が個性を活かしたスパイスティーづくりに取り組んでいました。


狭山茶を使ったお風呂?!異業種との注目コラボ
的場園が提案する新しい狭山茶の楽しみ方は、決して“飲む”ことにとどまりません。今年4月~6月の期間限定で開催されたイベントは、なんとお風呂とのコラボ。埼玉県大宮にある「おふろcafé utatane」では、的場園の狭山茶をふんだんに使ったお風呂と食事を提供していました(※本イベントは終了しています)


また、サウナ室では熱波師が茶娘の衣装を纏い、お茶の選別や運搬に使われる「箕(み)」をうちわ代わりに熱波を送るというユニークな取り組みも。狭山茶を使った「お茶ロウリュ」も同時に提供され、自由で柔軟な発想に、思わずワクワクしてしまいますね。

狭山茶を使った創作料理もとても話題を集めていました。食用として市場には出回ることのない、新芽の柔らかい時期限定の、食感や風味を味わえる特別メニュー。見た目の彩りとお茶の香りが相まった最高の一品。多数のメディアにも取り上げられ、幅広い世代に楽しんでいただけたそうです。

狭山茶を広める挑戦はつづく
狭山茶の面白さをどんどん発見し、自分だけで楽しむのではなく、もっと多くの人に知ってもらいたい──。
的場さんの活動は、そんな思いから広がっています。
「経営者として、ビジネス的な視点ももちろん必要ですが、あと30年お茶屋さんを続けると考えたとき、自分自身が楽しんでワクワクできるかが大切。結果としてお金のことは後からついてくる」と的場さん。
他業種との商品開発、地元を中心としたイベント出展&ワークショップなど、的場さんが狭山茶の魅力を届ける活動は多岐にわたります。伝統を守りつつも新しい楽しみ方を提案する姿勢は、埼玉県入間市・所沢市・飯能市だけでなく、広く狭山茶の認知を高める挑戦へとつながっています。
ビジネスとしての視点と、楽しさ・面白さを両立させながら、これからも狭山茶の魅力を届け続けていく──
みなさんも、自由に、気軽に、狭山茶を体験してみませんか。

的場園
住 所:埼玉県入間市南峯68
電 話:04-2936-0615
オンラインショップ https://matobaen.base.shop/
※今回ご紹介した商品やその他の商品の詳細はオンラインショップからご確認ください。
※詳細は直接お問合せをお願いいたします。