千葉県千葉市に位置するハッピー製菓調理専門学校は、「おいしいを作るため、素材や食材を知る」という教育理念のもと、パティシエや調理のプロフェッショナルを育成しています。
調理に必要な技術習得に留まらず、素材への深い理解と愛情を育む独自の教育プログラムは、学生たちの成長に大きくつながっています。
学生の成長につながる学校の取り組み
教務室パティシエ科リーダーの石田さんに学校の取り組みをお伺いしました。

貴校が考える「おいしいを作る為には、素材や食材を知る事が重要」という教育理念について、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか?
例えば、バターの温度帯一つで食感が変わったり、香りが変わったりする食材があります。
また、製菓衛生師を取得する(在学中に取得できる)ためにも、美味しい料理を提供するためにも食材を理解する必要があります。

プロは食材に対して深い理解があります。
学生たちは試作を重ねて何度も失敗しますが、失敗した理由がわかれば次に活かせます。
学校だからこそ失敗を重ねても、次に活かすことが可能です。
知識だけでなく、実践を通して食材の特性を肌で感じ、失敗から学ぶことで確かな技術と応用力を身につけています。
生産者の方々との交流を通じて、学生にはどのようなことを学んでほしいとお考えですか?
生産者が子供のように育てた食材を、無駄にできません。
どのような食材にも生産者がいることを忘れないでほしい。

また、食のプロとして食材を大切に扱って欲しいです。
ハッピー製菓調理専門学校では、生産者からのアドバイスを基に、生徒が自分からアイデアがでるような流れになっています。
生産者の想いを直接聞くことで、学生たちは食材への感謝の気持ちと、プロとしての責任感を育んでいます。
連携授業で得られた知識や経験は、学生さんの製品開発にどのように活かされていますか?具体的なエピソードがあればお聞かせください。
いちじく農家の話ですが、いちじくはジャムにされることが多く、「もっと素材そのものを目立つようにして欲しい」という要望がありました。
そこで、ケーキの表面にいちじくの断面を生かすような工夫をしています。
生産者のニーズを聞いて工夫することで、どのような思いで作っているのか理解できるようになります。
生産者の要望を汲み取り、形にするという経験は、より実践的な製品開発へと繋がっています。
貴校の教育課程において、特に力を入れている点や、他校にはない特色があれば教えてください。
特に力を入れているところを一言で言いますと愛情でしょうか。
製品を作るうえでも、きれいな環境で作業をするうえでも、商品や食材、道具等に対する愛が必要だと思います。

また、学校ではホスピタリティを大切にしており、それには相手を慮る心が欠かせません。
社会に出たときにこそ、一番大切にしてほしいことです。
料理の技術だけでなく、愛情やホスピタリティを重んじる教育は、学生たちが社会で活躍するための人間力を育む上で、非常に重要な要素となっています。
千葉開府900年に向けての取り組みを教えてください。

来年がいよいよ900年になりますので、来年の販売で関連したスイーツを学生たちに考案してもらう予定です。

千葉開府900年という節目の年に向けた取り組みは、学生たちが地域に貢献する意識を高める素晴らしい機会になると思います。
地元生産者との連携授業では、どのような食材を扱っていますか?特にこだわっている点はありますか?
いちご、いちじく、ブルーベリー、パッションフルーツ、ピーナッツ、さつまいも、お茶、キウイ、ワインなど多種多様な食材を使用しています。
とりわけ重視しているのは、生産者の想いです。
「生産者の想いをお客様に繋ぐ」
そうした姿勢を大切にしながら、学生たちは日々取り組んでいます。
さらに、多岐にわたる千葉県産の食材を扱うことで、学生たちは地域の豊かな食文化について学び、生産者の思いをおいしさに変えてお客様へ届けることが役割です。
千葉県農業協会との協力によって、学生たちはどのような学びを得ていますか?
千葉県農業協会との連携により、学生たちは高品質な地元食材に触れる機会を得て、食材の特性を深く理解できています。
生産者の方々との交流を通じて、学生の意識や技術にどのような変化が見られますか?
実際に食材に対して愛情が芽生え、大事に扱う、無駄なく使うことができるようになってきていると思います。
食材への愛情と、無駄なく大切に使う意識は、食のプロとして非常に重要な資質です。
今後の連携授業の展望や、新たな取り組みの予定はありますか?
展望だけでお話しますと、地元生産者様のロスになりそうな食材を購入させていただき、調理したいと考えております。
生産者がいてくださるからこそ、私たちが作ることができるので、感謝を形にしていきたいと考えています。
食品ロス削減への貢献を目指す新たな取り組みは、社会貢献の視点からも高く評価されるべきものです。
生産者様による素材学の授業|SPF豚

ハッピー製菓調理専門学校では、一般社団法人千葉県農業協会、「東の匠SPF豚」の生産者をお招きして、特別な素材学の授業が行われていました。
授業が始まると、学生たちは皆、真剣な眼差しで生産者の話に耳を傾ける姿が印象的でした。

生産者はSPF豚の飼育方法や、安全で高品質な豚肉を届けるための取り組み、そして何よりも「いのち」を育むことに向けた深い愛情と情熱を語っていたのです。
学生たちは、普段何気なく口にしている食材が、どれほどの時間と手間、そして思いを込めて育てられているのかに気づき、大きな感動を受けたようです。

講義の後は、SPF豚の試食です。
同じ豚肉でも、部位や調理法によって異なる食感や風味が生まれます。
学生たちは五感を働かせながらじっくり味わい、それぞれの違いについて、熱心に意見を交わしている様子が印象的でした。

「こんなにジューシーなんですね!」
「香りや甘味が全然違う!」
といった声があちこちから聞こえ、驚きと発見に満ちた表情からは、心からの喜びが伝わってきました。

素材学の授業は、単に知識を詰め込むだけでなく、生産者の想いに触れ、食材を深く理解する機会となっています。
学生たちは将来「おいしい」を生み出すプロフェッショナルとして、食材に対する敬意と責任感を持ってくれることでしょう。
ハッピー製菓調理専門学校
住所:〒260-0021 千葉県千葉市中央区新宿2-6-21
アクセス:京成電鉄 /千葉中央駅から徒歩1分
JR/千葉駅から徒歩10分
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