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フード  |    2025.10.27

“隠れ家的”珈琲店「丘の上の珈琲 ぽつんと」で味わう、田舎の風景とこだわりの一杯|岩手県奥州市

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丘の上の珈琲 ぽつんと――。
その店名が示す通り、田んぼや林に囲まれた小高い丘の上にあるこのお店は、高品質なスペシャルティコーヒー豆を使った珈琲と本格スムージーが人気の“隠れ家的”珈琲店です。

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店名にある通り小高い丘にお店が建つ(提供:石川真姫さん)

オーナーはSCAJ コーヒーマイスターでもある石川さん。
そんな同氏に、お店へのこだわりや地元・奥州市胆沢への想いを伺いながら、人気の本格スムージーや手づくりスイーツをいただきました。

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設計だけで2年!こだわりが詰まった店内

日常を忘れ、自分のための時間をゆっくりと。
そんなコンセプトを体現するこのお店は、設計に2年の歳月をかけ、2024年8月末にオープンへと至りました。

店内に足を踏み入れてまず目を引くのは、カウンター奥にある棚。段ごとの高さから、背板に使用された木材の幅に至るまで、ディティールを詰めた特注品です。
設計段階では発泡スチロールで模型をつくり、何度もシミュレーションを繰り返したそう。
一生モノのお店。だからこそ「納得のいくものを!」という石川さんの姿勢が感じられるような堂々とした棚が、来店者を出迎えてくれます。

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特注品の棚と石川さん(提供:石川真姫さん)

また、店内には薪ストーブが置かれており、冬にはユラユラと燃える火を見つめながら珈琲を飲むという楽しみ方も。

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店内に置かれた薪ストーブ

「メニューに“それ以外の何か”をプラスしたいと思ったとき、田舎だからこその良さってなんだろうと考えたんですよね。そこでたどり着いたのが、街中では味わえないような景色を楽しんでほしいという思いでした」

そう熱弁した石川さんのさらなるこだわりポイントは、店内の各所に設けられた大きな窓。そこから見えるのは、ゆっくりとした時間が流れる胆沢の自然の風景です。

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ロケーションを楽しむための大きな窓(提供:石川真姫さん)

こだわりの店内で絶品スムージーやスイーツをいただく

心地よい空間に身をゆだねていると、まず運ばれてきたのが人気メニューのエスプレッソスムージー。口いっぱいに広がるほどよい苦みと甘み、シャーベット状のシャリシャリとした氷粒の食感が印象的です。

「スムージーは、珈琲が苦手な方にも楽しんでいただきたいと思いメニューに加えました。フルーツや野菜を使った約15種類ある本格スムージーは、冷たいものだけでなく、常温にしたりホットにしたり…温度帯を選べるんですよ」

夏は冷たく、冬はホットで…一年を通して“ちょうどいい”おいしさが味わえる。
石川さんの解説を聞いていると、そんなスムージーの魅力が感じられました。

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人気のエスプレッソスムージー(提供:石川真姫さん)

続いていただいたのは、エスプレッソトニック。ミントの香りと炭酸の清涼感がマッチした爽やかな一杯で、暑い季節に特におすすめの一品です。

今回はブルーベリーチーズケーキをあわせて注文しました。
お店で提供するスイーツは、奥州市衣川にある菓子工房「ちいば」さんと食材選びから行い、試作を重ねてつくったぽつんとのオリジナル商品です。
季節によって使用するフルーツが変わるのも楽しみのひとつで、夏には胆沢の特産品でもあるブルーベリーを使ったチーズケーキが提供されます。
ほどよい酸味とやさしい甘さが感じられ、普段甘いものを食べない人でも満足できるような仕上がりとなっていました。

秋からは店でも一番人気の「りんごのチーズケーキ」や、旬の栗を使った「ガトーショコラ」が提供されるとのこと。どのような味わいになるのかとても楽しみです。

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エスプレッソトニックとブルーベリーチーズケーキ

好きなことを好きな場所で——石川さんの胆沢愛

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オーナーの石川さん。焙煎機をバックに(提供:石川真姫さん)

お店をオープンする前は事務職をされていたという石川さん。

「もともとは自宅で手網焙煎などをして個人的に珈琲を愉しんでいたんですが、そうしているうちに、焙煎したての新鮮な珈琲豆を使ってお店をやってみたいという気持ちが強くなりました」

一念発起した石川さんは仕事を早期退職し、開業に向けてスタートを切ります。
とはいえ、定年まで勤めたあとに自分のお店を開く人も多い現代。その行動の裏にはどのような思いがあったのでしょうか。

「定年まで勤めて、その後に好きなことを始められる方もたくさんいらっしゃいますね。でも私の場合は、その時まで意欲や情熱を保てる自信がなかったんです。気力や体力があるうちに少しでも早く準備をしないと、あっという間に人生が終わってしまうと思いましたね」

新しいことを始めたくても、なかなか一歩を踏み出せない…
そう思っている方に、石川さんのこの言葉は胸に刺さります。

そうしてお店が建った場所は、過疎化が進む胆沢の地。
同じ奥州市内でも商業的な面から見れば、国道4号線に隣接して昔から栄えている水沢や、近年移住者が増えているという江刺が狙い目にも見えますが、なぜ胆沢なのか。

「人が減っているのは、住んでいるからこそよくわかっていて。そんな地元の盛り上げに少しでも関わっていきたい。そして何より、生まれ育った胆沢の美しい自然の中、大好きな珈琲のお店をやりたい。そんな思いからこの地を選びました」

続けて石川さんはこう語ります。

「それに今は場所を選ぶような時代ではないですよね。SNSですぐにお店を見つけ出せますし、中にはあえて郊外の隠れ家のようなお店を探していく方もいますし。そうやって小さなお店を見つけてくださったお客様に、ゆったりと過ごしていただけたらとても嬉しいですね」

――胆沢の盛り上げに関わりたい。
そう語る石川さんが提供するのはコーヒータイムだけではありません。

お店と同じ敷地内には、スラックラインが楽しめる「奥州スラックラインパーク」のほか、スノーボードやスキーのオフシーズン練習場「Barisuko(バリスコ)」が設置されています。
バリスコでは取材の最中にも、汗を流す若者の姿が見えました。

お店の外に設置された練習場「Barisuko」(提供:石川真姫さん)

現在は「クローラーラジコン」のコースも来春のオープンに向けて建設中。
クローラーラジコンは低速での走行性能が高いオフロードに特化したラジコンで、“大人の趣味”としても注目されています。

ぽつんとのほかレジャー施設も運営しながら、さらに新たな魅力を胆沢に生み出そうとする石川さんの取り組みには、今後も目が離せません。

自然を感じながら、お店で至福のひと時を楽しむもよし。
レジャー施設で目一杯体を動かすのもよし。

都会や街中ではなかなかできない体験を、この「ぽつんと」で味わってみてはいかがでしょうか。

丘の上の珈琲 ぽつんと

【住所】
岩手県奥州市胆沢若柳二枚橋33-1

【アクセス】
東北自動車道「奥州スマートIC」より車で10分
JR東北本線「水沢駅」より車で14分
JR東北新幹線「水沢江刺駅」より車で23分

【営業日】
金・土・日・祝日
※月~木のみ来店予約OK

【営業時間】
10:00~18:00
※18時以降の予約もOK

【お問い合わせ】
公式InstagramへのDM
もしくは
お電話から(090-3360-0049)

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この記事を書いた人

松本 鹿介

自分が書けると思ったテーマなら、なんでも挑戦してみたい雑食ライター。書籍編集者からWEB制作会社のライターを経て、今は企業で求人原稿を執筆しながらフリーライターとしても活動中です!Mediallでは歴史やスポーツ、伝統芸能・伝統工芸などの好きなテーマを中心に情報を発信していきたいと思っています。

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