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スポット  |    2025.09.15

【東京都中央区】余白を刻む建築・Ginza Sony Parkが示す銀座の新しい風景

銀座といえば、高層ビルやラグジュアリーブランドのショップが立ち並ぶ街。

そんなきらびやかな街の真ん中に、2025年1月26日、待望のグランドオープンを迎えたGinza Sony Park(銀座ソニーパーク)があります。

この場所は、かつてソニービルがあった跡地に建てられた地上5階・地下4階の建物。

2024年の夏に完成し、「都市にひらかれた公園」をコンセプトに生まれ変わりました。

ビルというよりも、誰もが立ち寄れる大きな遊び場のような雰囲気が魅力です。

今回はこの空間にお伺いし、その魅力を体験してきました。

音楽・アート・テクノロジーが交わる場所、今も体感できる魅力

銀座ソニーパーク(Ginza Sony Park)は、旧ソニービルの跡地に誕生した新しい施設です。

2024年8月15日に建物が完成し、その後、2025年1月26日に待望のグランドオープンを迎えました。

オープンと同時に始まったのが、ソニーの6つの事業をテーマにした初の企画展示「Sony Park展 2025」。

第1弾となるPart1は、グランドオープン当日の2025年1月26日からスタートしました。

現在も、ソニーにゆかりのあるアーティストを中心に、音楽やアート、そしてテクノロジーが融合した体験型プログラムが展開されています。

訪れるたびに新しい発見があり、進化し続ける展示として多くの人を魅了しています。

「地上の余白」と、地下へ続くスロープ

ソニーパークの大きな特徴は、地上部分に建物を置かず「開かれた余白」を残していることです。

高層ビルがひしめく銀座の街並みの中で、ふと視界がひらけるその空間は、まるで都会のオアシスのようです。

そしてさらにユニークなのが、その足元に広がる地下4層の空間。

地上のひらけた余白と対をなすように、地下へ潜るほどに新しい体験が待っており、来場者を都市の深層へと誘います。

地上からゆるやかなスロープに導かれるように地下へ進むと、そこには思いがけない開放感が広がっています。

自然光や風が巧みに取り込まれ、閉ざされた空間であるはずの地下が、むしろ心地よく開かれた場所に感じられるのです。

訪れる人は、銀座という都市の真ん中で、まるで隠された別世界へ足を踏み入れるような体験を味わえます。

旧ソニービル時代から続く「垂直プロムナード」の進化

1966年に建てられた旧ソニービルには、「花びら構造」と呼ばれる独特の段差構造がありました。

フロアが少しずつずれながら積み重なることで、上階から下階まで自然に移動できる「垂直プロムナード」が形づくられていたのです。

このアイデアは、新しいソニーパークにも受け継がれています。

地上から地下4層までをスロープでつなぎ、まるで散歩をするように建物の深層へと誘う仕掛け。

階段やエレベーターで一気に移動するのではなく、ゆるやかな動線をたどることで、訪れる人は空間そのものを味わいながら移動できるのです。

旧ソニービルが提示した「垂直の散歩道」という思想は、ソニーパークでさらにダイナミックに、そして開放的に進化を遂げました。

銀座の街に新しく刻まれたこの動線は、建築そのものを体験する楽しさを再び私たちに教えてくれます。

空と地下をつなぐ、心地よい「動線体験」

地下へと導かれるスロープを進むと、意外なほど開放感のある空間が広がります。

自然光や風が取り込まれ、地下にいることを忘れるような心地よさ。

地上と地下をつなぐ動線そのものが、訪れる人に新しい体験をもたらしてくれるのです。

むき出しの素材がもたらす「自由さ」

地下に降りると、まず目に飛び込んでくるのは仕上げを施さないむき出しのコンクリート。

壁や柱の質感がそのまま残され、建物の素顔があらわになっています。

これは「未完成のままにしておく」という設計思想によるもの。

完成された固定的な空間ではなく、アーティストの展示やポップアップショップなど、常に新しい体験を受け入れる舞台としてデザインされているのです。

だからこそ、訪れるたびに空間の印象が変わり、建築そのものが「変化する展示場」として息づいています。

銀座の中心にありながら、一期一会の出会いが生まれる場――それがGinza Sony Parkの魅力です。

「街との境界を曖昧」にするデザイン

ソニーパークは、銀座の交差点からそのまま続くように街とつながっています。

「内」と「外」の境界をあえて曖昧にすることで、建築物というよりも街の延長のように感じられる存在に。

ふらりと立ち寄っても違和感がなく、都市の景観の一部として自然に受け入れられています。

さらに地下空間も、地下鉄コンコースや駐車場とシームレスにつながり、日常の動線の中に溶け込む設計。

わざわざ訪れる特別な場所でありながら、同時に日常の一部として利用できる点もユニークです。

こうした設計思想によって、ソニーパークは「街の中の交差点」のような存在となり、さまざまな人々を迎え入れる開かれた場として機能しています。

銀座に開かれた「文化のステージ」

ブランドショップが立ち並ぶ銀座の中で、ソニーパークは少し異質な存在かもしれません。

ですが、この「余白」こそが街に新しい価値をもたらしています。

ベンチでひと休みする買い物客、イベントを楽しむ観光客、会社帰りにふらっと立ち寄る人――ここには自然に人が集まり、交わり合う風景が広がっています。

建築そのものがコミュニティを育む舞台装置となり、人と人をやさしくつなげていく。

その光景こそが、Ginza Sony Parkが銀座にもたらした最大の魅力なのかもしれません。

「未来の都市と余白」を見つめて

ソニーパークは「建てる」のではなく「空ける」という逆転の発想から生まれました。

生み出されたその“余白”は、都市に新しいリズムを刻み、人々に小さな自由をもたらしています。

2025年1月にリニューアルを迎えたソニーパークは、これからも進化を続け、都市と人との関係を問い直す実験場であり続けるでしょう。

次にどんな姿を見せてくれるのかは、まだ誰にもわかりません。

ですが、その変化はきっと私たちの想像を超え、ソニーらしい発想で「新しい都市の余白」を描き出してくれるに違いありません。

Ginza Sony Park 施設詳細
項目内容
住所〒104-0061 東京都中央区銀座5-3-1
最寄駅(地下鉄)東京メトロ銀座駅 B9出口直結
地下鉄アクセス詳細銀座線:銀座四丁目交差点改札より徒歩約3分
丸ノ内線・日比谷線:数寄屋橋交差点改札
または中央改札より徒歩約2分
JRアクセスJR有楽町駅(山手線・京浜東北線)
中央口より徒歩約5分
車・駐車場西銀座駐車場の利用が便利です。
B1階から地下コンコースへアクセスし、
B2階から入園可能
入場料無料
公式サイトhttps://www.sonypark.com/

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この記事を書いた人

ハラカズコ

大田区出身・在住のメディアライター&アロマクリエイター。「まちに根ざした視点」で、香りと文化が交わる瞬間を文章と企画に落とし込みます。Mediallでは、多様な文化や伝統、価値観がカオスに混ざり合いながら、レトロでありながら最先端でもある「東京」の魅力を発信中。「懐かしいのに新しい」「混沌としているのに心地いい」──そんな二面性を大切にしながら、読者の五感に響く記事を届けています。

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