
「『こうありたい』から始まる働き方を選べたら――」こう語るのは、株式会社AN代表取締役の向山かおりさんです。
向山さんは元銀行員から独立し、現在は美容室と自然派セレクトショップ、創作沖縄料理ビストロという一見バラバラな3つの事業を展開しています。
彼女が提唱する『AN-NORMAL』という働き方は、従来の常識を覆す新しいキャリアの形を示しています。
今回は株式会社AN代表取締役の向山かおりさんに、お話を伺いました。
「ノーマルではない」働き方への挑戦

銀行員時代に芽生えた「枠を飛び出したい」という思い
大手都市銀行で営業・企画を担当し、全国トップクラスの営業成績を残していた向山さん。なぜ、独立の道を選んだのでしょうか。
「銀行でお仕事をしていると、銀行の枠組みの中での仕事になってしまいます。働き方も、働く場所も時間も、いくらもらえるかも全部その枠組みの中で決まってしまう。
そこを飛び出したいという気持ちがありました」(向山さん)
会社員時代も、単にお金をもらうだけでなく、お客様から『向山さんを選んでよかった』と喜んでもらえるような仕事を心がけていたという向山さん。
しかし、組織の枠組みの中で限界を感じ、独立を決意したのだといいます。
『挑戦と継続』を貫く経営哲学
独立後の向山さんを支えているのは『挑戦すること・継続すること』への強い信念。
「失敗の数は挑戦の数に比例し、成功の数は挑戦の数に比例する」と向山さんは語ります。
飲食店の立ち上げ時には、物件選びからコンセプト作り、ブランディングまで未経験の領域ばかりで苦労したという向山さん。
しかし『挑戦するなら今しかない、過ぎ去った時間は取り戻せない』と自分に言い聞かせ、未来から逆算して結果を作り出すことに集中してきました。
「その結果『コンサルタントを担当するよ』『飲食をやるなら、料理を勉強したい!』『ワインの勉強も絶対にやります!』と声をかけてくださる方が、どんどん増えてきて。
本当にありがたいことに、ご縁がつながりまして新宿三丁目にBISTRO CHURAをオープンできました」(向山さん)
向山さんの挑戦する姿勢が人を引き寄せ、その人たちがまた新たな挑戦を生み出していく——まさに挑戦の連鎖が、株式会社ANの原動力となっています。
高田馬場から始まる「自然と共に生きる」提案

地域との密接なつながりを大切にするNature
株式会社ANの3つの事業の中でも、特に地域との関わりが深いのが高田馬場にある自然派セレクトショップ『Nature(ナチュール)』です。
『アロマと丁寧な暮らし』をテーマに、エシカルでサスティナブルなプロダクトを厳選して販売しています。
地域貢献への取り組み

Natureの特徴的な取り組みの一つが、地域共創を意識した社会貢献活動です。
店舗がある高田馬場・戸山公園での清掃イベントを継続的に開催し、日常に根差した地域貢献を実践しています。
向山さんは『地元と密接につながっていくことが、自分たちを知ってもらううえで効果的』と考え、地元紙への問い合わせから始めて企業や地域とのつながりを築いてきました。
地域貢献への取り組みや、地元とのつながりがきっかけで、30社以上とのコラボレート実績につながっています。
2025年10月には『ばばフェス!みんなのウェルネスデイ2025』の開催を予定しています。
『ばばフェス!』は、Natureが主体となり、高田馬場の街の魅力だけでなく、心や体、そして地球にもやさしい街づくりのコンセプトを広く発信するイベントです。
高田馬場の魅力を体感しに『ばばフェス!』へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
→(内部リンク)【イベント記事】高田馬場の新たな魅力を発見|ばばフェス!みんなのウェルネスデイ2025
パラレルキャリアで実現する「AN-NORMAL」な働き方

株式会社ANの特徴の一つは、商品やコンセプトに人が集まるのではなく『人が集まって、その人たちがやりたい事業をやろう』という形で事業が生まれること。
「最初は主人のショップでイベント活動をやっていたんですが、そこからどんどん人が集まるようになって。
じゃあ自分でお店を持っていこうとなって、美容室ができて、セレクトショップができて、飲食店ができました」(向山さん)
パラレルキャリアを実践した自由な働き方
株式会社ANでは、企業理念として以下を掲げています。
株式会社ANは「みんなが自由にやりたい仕事を持ちその人なりのライフスタイルが叶うAN-NORMALをつくっていく」をビジョンに掲げています。 「AN-NORMAL」とは、理想のライフスタイルも、やりたいことも、夢も目標もあ(A)からん(N)まで自由自在であるという考え方を指しています。 生き方や働き方に、正解なんてひとつじゃない。「こうありたい」という願いと、そのための一歩一歩がわたしらしさ、あなたらしさを形づくる。それぞれの個性と仕事が重なり合って、“自分たちらしい未来”をつくっていくと私たちは考えています。 |
株式会社ANで働くスタッフの多くが、パラレルキャリアを実践しています。
本業を持ちながら将来の起業に向けて経営を学びたい人、自分のスキルアップのために新しい挑戦をしたい人など、さまざまな背景を持つ人々が集まっているのです。
「2018年に厚生労働省が副業を解禁しましたが、ほとんどの会社は副業を受け入れる体制がありません。
ということは逆に、副業を望んでいる方がとても多いということ。
株式会社ANでは、自分のキャリアアップのため、将来の起業のためにという思いを持っている方が集まっています」(向山さん)
株式会社ANは、時代の変化にあわせた新しい働き方を求める人々にとって、理想を現実にできる貴重な場となっています。
チーム作りの秘訣

多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まりながらも、高いモチベーションを維持できる理由は何なのでしょうか。
「一人ひとりが自分の望む自己実現をしていくこと、でしょうか。
自己実現プラス、その仕事に対してのコミットメント。実業をやるのであれば実業、イベントをやるのであればイベント、ボランティア活動をやるんだったらボランティア活動に本気で臨む。本気で感謝をして臨む。
本気で望むことで、仕事を通じて人とのつながりができたり、心が満たされたりするんです。
みんなが本気で仕事に向き合っているので、本当に楽しい。
うちのスタッフは、みんなニコニコしながら働いているんですよ」(向山さん)
筆者が取材でNatureを訪れた日も、向山さんをはじめスタッフの皆さんが終始笑顔で楽しそうにされていたのが印象的でした。
未来への展望とメッセージ

向山さんに今後の展望を伺いました。
「今後、エステやネイル、アパレル、サウナ…とやりたい事業はたくさんあって。どんどんみんなでやっていこう!という流れになっています。
『こういうのやりたい!』って発信したら、どんどん人が集まって来てくれるし、自分からも声をかけて集めている。
やりたいことができる社会の実現に貢献できるっていうのは、とても面白いし、今もできてるんじゃないかなって思っています。
80代くらいになったら、老人ホームを開いてみんなで入るのもすごく楽しそう!(笑)」
高田馬場のNatureを訪れれば、エシカルな商品を購入できるだけでなく、新しい働き方や生き方のヒントに出会えるかもしれません。
向山さんが体現する『AN-NORMAL』な世界を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。