「ママの将来の夢は何?…子どもにそう聞かれてハッとした」
そう語ったnackoさん。彼女は、飲食業界で働くかたわらでWebデザイナーとしても活動している。
AIの登場を筆頭に日々目まぐるしく進化しているWeb業界は、未経験で飛び込むには勇気がいる世界だ。特に地方と都心はIT感覚が異なり、中には「都心と比べて地方は5年以上遅れている」という人もいるほど。
確かに、筆者がいる岡山県北エリアも「Webライターです」と名乗ると大抵の人がきょとんとした表情を浮かべる。岡山が田舎だというわけではないが、地方におけるIT認知度の低さは認めざるを得ない。
教えてくれる人も助けてくれる人もいない環境で、なぜ彼女は未経験Webデザイナーとなったのか。そこには、子どもを持つ母親の強い覚悟があった。
もともとは調理師だった新米Webデザイナー
nackoさんの本業は調理師で、岡山県内にある飲食店に勤務している。勤続年数は約10年で、接客を経て現在は調理場で腕を振るっているそうだ。
Web関係の仕事っていろいろあると思うのですが、なぜデザインの道へ?
「経済的に自立したい」と思うことがあって、いろいろ自分にできる仕事を探していたんです。そうしたら、たまたまWebデザイン関係のスクールの広告が出てきて、パソコン触るのは好きだしやってみようかな~って。
それでスクールに?どんな感じでした?
4ヶ月間オンラインでWebデザインの勉強をしました。基本的には座学で、作ったものを添削してもらったり、たまに勉強会みたいなものがあったり…勉強会においては子どもがいて全然参加できなかったですけどね。
とりあえずはスクールを卒業したけど…
スクールが教えてくれるのって、本当にWebデザインの基本だけだったんですよね。仕事の取り方とか、サイトデザインをした後に管理まですべきなのかとか、そういった実践的なことまでは教えてくれなくて。卒業したものの「どうしよう…」って途方に暮れてました(笑)
会社員と違って新人研修がないですもんね…。でも、今はWebデザイナーとしていくつかお仕事受けられてますよね?インスタでWebサイトを制作してたの見ましたよ。
ありがたいことに、知り合いを通じてお仕事をもらえることがちらほらあって。でも、自分で営業して仕事を取っていくっていうのはまだなので、とにかく動かなきゃって思ってます。
その行動力はどこから?
nackoさんは、3人のお子さんを持つお母さんですよね。
そうですよ。上2人が小学生、下の子はまだ保育園に行っています。
小さいお子さんがいると、新しいことに挑戦するのって勇気がいりませんか?
そうなんですけど…実は今、私のモチベーションを上げてくれているのは子どもたちなんです。
…というと?
この前、5歳の長男に将来の夢を聞いたら「警察官」って答えたんですよ。内気な性格の息子の口から「警察官」という言葉が出てくるとは思わなくて…びっくりしちゃいました。しかも、その後に「ママの将来の夢は?」って聞かれたんです。
え!?
私も同じリアクションしちゃいました(笑)冷静になって考えてみると、私、将来のこと全然考えられてなかったんです。「子どもたちが大きくなって、自由な時間ができてからでいいや」ってのんびり構えてたんですけど…“いつか”って言ってちゃダメなんですよね、ちゃんと“今”考えないと。そう思ってからは、自分に何ができるのか、どんな人間になっていきたいのかを考えるようになりました。
そうやって考えて、調べて…を繰り返していった結果、Webデザイナーを目指すことを決められたんですね。
そうです。できるかどうかは分からないけど、とりあえず興味を持ったものからチャレンジしてみようと思っています。
「私の背中を押してくれたのは子どもたちなんです」と笑顔で語ったnackoさん。アイコンのように、彼女の眼はやる気でメラメラと燃えていた。
ずばり「ママの将来の夢」は?
今後、どんな活動をやっていきたいですか?
「子どもに誇れる母親になりたい」ですね。誰かの役に立つデザインをしていきたいのはもちろんですが、それだけでなく子どもが「ママが作ったのすごい!」と喜んでくれるような、そんなカッコイイ背中を見せていきたいです。
確かに、デザインって目に見える形で残るから、お母さんが作ったデザインが多くの人の目に触れるのは自慢でしょうね。
あと、育児と仕事に悩んでいるママたちの助けになれるようなこともやりたいですね。「やってみたい仕事があるけど子どもが小さくてなかなか…」「経済力をつけたいけど、どうしたらいいの…」って悩んでいるママはたくさんいると思うんです。自分に何ができるかはまだ分からないけど、助けを求めているママを応援できるような存在になりたいですね。
まだまだWebデザイナーとしてはひよっこ。右も左も分からない中でも、笑顔で前向きに将来を見るnackoさんは最後までキラキラと輝いていた。
筆者も3人の子を持つ母。育児の大変さも、子どもを抱えて何かに挑戦する不安も痛いほど分かるからこそ、彼女のポジティブな思想には胸と目頭が熱くなった。
「できるかできないかじゃない、やってみるんだ」
Webデザイナー「nacko」の物語は始まったばかり。今後、彼女がWebデザイナーとしても母親としても、どういった世界を彩っていくのか…ぜひ注目していきたい。
「nacko.design」公式SNS
https://www.instagram.com/nacko.design/
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