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フード  |    2024.09.24

YouTuber夫婦が営業!地域で愛されているライダーズカフェ「ライオットてるてる」の魅力

「本当に、岡山は温かい人ばかりですよ」

笑顔で語ってくれたのは、カフェ店主のあき丸さん。

あき丸さんのお店「ライオットてるてる」は、鏡野にあるライダーズカフェだ。ご夫婦で営業しており、県内外から多くのライダーが訪れている。さらに、あき丸さんと奥様のひかりさんは、バイク関連動画のYouTuberとしても活躍しているとのこと。

大のバイク好きであるあき丸さんご夫婦は、なぜ鏡野という地でライダーズカフェを開くこととなったのか。お店誕生のエピソードからお2人が目指すお店像までをうかがってきた。

なぜ鏡野でライダーズカフェを?

ライオットてるてるの外観

なぜライダーズカフェを始められたんですか?

僕は昔からオートバイが大好きなんですよ。だから、脱サラしたらライダーズカフェがやりたいとずっと思っていてね。

夢を叶えられたんですね!でも、なぜ津山みたいな街中ではなく静かな鏡野にしたんですか?

水が入った赤いグラスと店内から見た外の風景

岡山の県北に位置する鏡野町は、人口約12,000人ほどの小さな町だ。奥津温泉や苫田ダムなどの魅力的なスポットはあるものの、ビジネスを始めるには少々勇気がいるであろう。

実は、鏡野でお店を始めたのは偶然だったんですよ。
「そろそろお店を始めたいな」と思った頃、僕らは津山でお店を探していました。いいなと思ったところがあったんですけど、残念ながら縁がなくてね。それで、津山だけでなく真庭や鏡野にもエリアを広げて探してみることにしました。

確かに、津山みたいな街中だとお店探しの段階から大変そうですね…。

やっぱり、僕らが「いいな」と思ったところは他の人も「いいな」と思ってるんですよね。それで、鏡野のここを見つけたんですけど…最初は「僕らはとても手が出せない」と思いましたね。

どういうことですか?

もともとこのお店は鉄板焼き屋さんで、数年間放置されていたんですよ。状態を見る限り、僕らにはどうしようもないなと思ったので、諦めて他の場所を探すことにしたんですよね。
それからしばらくして、たまたまお店の前を通ったときに工事が始まっていることに気づいて「あ、誰かがあの鉄板焼き屋さんを買ったんだな~」って見ていました。

ん??その話でいくと、もともとライオットは他の人がやっていたということですか?

そうなんですよ。工事が終わってから行ってみたら、僕の知り合いがお店をやっていました。

世間は狭いですね(笑)

ホントに、もうびっくりしましたよ。それで「いいお店ができたな~!」って話していたんですけど、実はその知り合いは本業として別の仕事をしていましてね。お店がやりたくて放置状態のここを改装したはいいものの、本業が忙しくてなかなかできない状態だったんですよ。

せっかく改装したのにお店ができないのはもったいないですね。

でしょ?だから「実は僕もお店がやりたくて、今探しとるんじゃ」っていったら「じゃあここでやりませんか?」って話になって。

まさかの展開…!

もうそこからはトントン拍子に話が進みました。まさか諦めた場所でお店をすることになるなんてね。

まさに運命ですね。

本当に。人の縁ってすごいですよね。

コカ・コーラデザインのテーブル席

ライオットてるてるには、アメリカンな雰囲気が漂っている。ライダーズカフェらしさを感じたので、てっきりあき丸さんご夫婦がデザインされたのかと思ったが…実は、ほとんどが前の店主から引き継いだものとのこと。あとはあき丸さんご夫婦が必要に応じて雑貨をプラスしていき、今の「ライオットてるてる」となったそうだ。

「お店をやりたいけどやる暇がない」元店主と、「お店をやりたいけど場所が見つからない」あき丸さんご夫婦の利害の一致。そして、アメリカンテイストが好きという好みの一致…ここまでしっかりとマッチングすることがあるだろうか。

ちなみに、マッチングアプリによる出会いではない。

どんなメニューがありますか?

壁にかけられたメニュー表

アメリカンなお店なので、やっぱりハンバーガーがメインですか?

そうですね。前の店主から「ハンバーガーは絶対にやってほしい」という要望があったので、ハンバーガーの開発にはかなり気合を入れました。いろんなバーガー店を巡っては食べて、試作して…もうハンバーガーを見るのが嫌になるほどでしたよ(笑)

ちなみに、どれくらいの期間を費やしたんですか?

4ヶ月くらいはかかったかなあ。

4ヶ月もハンバーガー漬けですか!?それは大変でしたね…。

またバーガー、またバーガー…でも食べてみないと分からないし…そんな日々が続いて、正直つらかったですね。

苦労の末に完成したハンバーガーなんですね。具体的にどんなこだわりがありますか?

バンズはこだわりましたね!最初はいろんなパン屋さんをまわっていたんですけど、なかなかピンと来るものに出会えなくて…。そんなときに、知り合いがパンを作っていることを知ったんですよ。試しに食べさせてもらったら、ものすごくおいしくて!「ぜひうちのハンバーガーのバンズを作ってくれ」ってお願いしたんです。

じゃあ、今はお知り合いのパン屋さんから仕入れを?

残念ながら、大量生産が難しいという理由で断られてしまいました。代わりにパン作りの師匠を紹介してくれて、その人を訪ねてみたんですよ。そうしたらバンズ作りを快く引き受けてくれて、今は師匠であるその人からバンズを仕入れています。津山小麦を使っていて、とってもおいしいんですよ!

パン屋さんが作っているバンズっていいですね!地産地消なところも素敵です。

あとね、ハンバーガーに添えているポテトの味付けにもこだわっているんですよ。普通の塩ではなく、「魔法の塩」を使っています。

なんですってー!?

ポテトだけおかわりする人もいるほど人気なんですよ。

筆者もハンバーガーを食べてみた

チーズバーガーとポテトのプレート

こちらがライオットてるてるオリジナルのハンバーガー。いくつかあるハンバーガーメニューの中でも、チーズバーガーが特に人気とのこと。たっぷりのチーズがとろけていて、「最高」以外の言葉が見つからなかった。

チーズバーガーを片手で持った様子

分厚く肉々しいパティと、クリームのようになめらかなチーズが口の中で溶け合い、噛むたびに幸せな気分に♪ヘビーに見えるかもしれないが、厚めにカットされたトマトが入っているので、意外とさっぱりといただけた。

こだわりのバンズは、クセがなくあっさりとした味わいだった。「ほのかに甘い」「小麦の香りがしっかりする」といった個性が控えめなおかげで、具材のおいしさが強く感じられたように思う。さらに、食感もふわふわで、噛んだときに歯がもふっとやわらかく沈んでいく感覚が心地よかった。

横に添えられたポテトは、細めのカリカリ仕上げ。「魔法の塩」で味付けされているだけあって、一般的な塩味よりも旨味が強く、まるで魔法にかかったかのように手が止まらなかった。1本ずつゆっくり食べていたのが次第に2本ずつに、そして3本ずつに増えていることに気づいたときには、もうお皿は空になっていた。

無意識に食べるスピードを加速させてしまうほどのおいしさ…ポテトだけおかわりする人がいるのも納得だ。

他の人気メニューも食べてみた

トレーに乗った担々麺と別添えの山椒ボトル

ハンバーガーの他に、ライオットてるてるにはもうひとつ看板メニューがある。それがこちらの担々麺だ。

担々麺は、もともと飲食関係の仕事をしていた奥様・ひかりさんの強い希望でメニュー化されたものである。ハンバーガーと肩を並べるほどの人気メニューで、お客さんから「特盛を作ってくれ」といわれたこともあるそう。

トッピングの温泉卵を崩した担々麺

麺はコシのある中華麺。トッピングに甘めに味付けされたひき肉、もやし、ねぎ、温泉卵がのっている。

スープが赤くて辛そうに見えたが、食べてみると見た目ほど辛くはなかった。ごくごくと飲めてしまうほどだったので、辛いものが苦手な人や子どもでも食べやすいだろう。温泉卵を絡めるとマイルドさが加わり、より食べやすさが増して絶品だった。

あまりのおいしさに、スープまで一気に飲み干してしまった筆者。のちにあき丸さんから「残ったスープに白ご飯を入れるとおいしいですよ!」といわれ、空になった器を見て激しく後悔した…。本記事を見て「担々麺が食べてみたい!」と思った人は、ぜひ白ご飯も一緒に注文してほしい。

層になった瓶入りのスイーツ

こちらもあき丸さんおすすめのメニューだ。「瓶プリン」と名付けられた本メニューは、ムース、ゼリー、ホイップクリーム、フローズンストロベリーで構成されたスイーツである。暖色系でまとめられた姿がなんともキュートで、写真映えも抜群だ。

層になった瓶入りのスイーツを手に持った様子

写真では伝わりにくいかもしれないが、なかなかのビッグサイズだ。手に伝わるズシッとした重量感とともに、「甘いものをたっぷりと堪能できる」という喜びに胸も高鳴った。

甘酸っぱくさっぱりとした味わいだったので、チーズバーガーと担々麺をたいらげた後でもぺろり。ライオットてるてるは、食事だけでなく甘い物がほしくなったときにもおすすめのカフェだ。

この他にも、オムライスやうどんなどさまざまなメニューがありますよ!

なんてワールドワイドなメニュー展開。何回でも来たくなりますね。

ライダーズカフェは入りにくい印象があるのですが…

ライオットてるてるの店内の様子

ライオットてるてるは、お店がおしゃれで料理もおいしいのですが…やっぱり“ライダーズカフェ”となると行きにくいという人もいると思うんですよ。実際に私も「原付バイクにすら乗れない私が入ってもいいのかな?」と不安になりました…。

それね、めちゃくちゃいわれます。以前、知り合いに「バイクに乗っていないから行けないと思うけど、頑張ってください」といわれました。

実際のところ、お店側の意見としてはどうなんですか?

バイクに乗っていなくても大丈夫ですよ!ライダーズカフェといってもライダー専用のカフェではないので、どんな人でも大歓迎です。
最近は、バイクではなく車で来てくれる人も増えていますよ。

そうなんですね!ほっとしました。
「どんな人でも大歓迎」ということは、子どもも大丈夫ですか?

もちろん!うちはキッズスペースを用意しているので、小さい子どもがいる人でも大丈夫ですよ。

マットが敷かれたキッズスペース

お店の奥には、ちょっとしたキッズスペースがある。秘密基地のような雰囲気があるので、子どもだけでなく大人もテンションが上がりそうだ。

そして、遊び場にはマットが敷いてある。「子どもが転んでもケガをしないように」と配慮された空間なので、安心して遊ばせられるだろう。

鏡野でカフェをするのは難しくないですか?

車のおもちゃが並んだカウンター席

あき丸さんとひかりさんにとって、ライオットてるてるは初めての飲食事業ですよね?

僕は初めてなんですけど、ひかりは前に飲食関係の仕事をしていたので、思ったよりもスムーズに始められましたよ。

そうなんですね。鏡野でカフェをやることに難しさを感じたことはありますか?

難しいし不安もあるんですけど…いろんな人が広めてくれたおかげでなんとか営業を続けられています。

なるほど、SNSによる拡散ですか?

確かに、僕らのXやインスタを見て来てくれる人も多いですね。でも、それだけじゃないんですよ。インフルエンサーの人や岡山県内の飲食店さんが食べに来て、いろんな人に「あのお店はおいしいから行ってみんちゃい」っておすすめしてくれるんですよ。

サイン色紙が飾られた壁

店内には、ライオットてるてるを訪れた著名人の色紙が飾られている。

この他にも、岡山県内で人気店を営む人々が多く訪れ、ライオットてるてるの魅力を広めたり飲食業の仲間としてアドバイスをしてくれたりしているそうだ。

飲食業界ってつぶし合いのイメージがありません?

確かに、悪質な口コミをする人もゼロではないでしょうから…。

そうですよね。でも、岡山の人たちは「つぶし合い」ではなく「協力」の姿勢が強いんです。他店のいいところはしっかりと広めて、困ったことがあればアドバイスをする。そんな温かい地域なんですよ。

それ、すごく素敵ですね!

本当にいい人ばかりなんですよ、岡山って。
あと、ここに来てくれるお客さんも素敵な人が多いんですよ。雨や雪の日はバイクに乗れないでしょう?そんな日には車で遊びに来てくれるんですよ。「ここがつぶれたら困るからね!」って。

どうしよう…愛があふれすぎていて涙が出そうです…。
こんなに温かい人が多い場所であれば、「地方に移住してお店を始めてみたい!」という人も挑戦しやすいかもしれませんね。

もちろん、岡山の人が全員親切だとは限りませんけど、少なくとも僕の周りはいい人ばかりなのでチャレンジする場所には向いていると思いますよ!

飲食事業を通じて、もっと岡山が盛り上がるといいですね。

「ライオットてるてる」が目指すものは?

ライオットのロゴがついたガラス窓

これからどんなカフェにしていきたいですか?

全国のライダーが遊びに来てくれるようなカフェにしていきたいですね!
SNSを見て県外から来てくれる人が増えてきてはいるのですが、近隣の県の人がほとんどで…もっとたくさんの人に知ってもらって、ここを目指して来てもらえるようなカフェにしたいです。

いろんな県のライダーさんと出会えるのが楽しみですね!ライダー以外も大歓迎とのことなので、今度は家族で遊びに来ますね。

ぜひ、お待ちしております!

ライダーもそれ以外の人も「いらっしゃいませ」

数多くのステッカーが貼られた透明板

運命的な出会いから始まった「ライオットてるてる」。お客さんや地域の人からの応援を受けながら、夫婦で仲良く営業している。

「ライダーって強面の人が多そうで怖い…」「ライダーと常連以外はアウェイになりそう…」

そんな心配は無用だ。原付バイクですら乗りこなせない筆者が行っても、あき丸さんとひかりさんは笑顔で迎えてくれた。アットホームなカフェなので、ライダーもそれ以外の人もぜひ気軽に足を運んでみてほしい。

店舗情報

所在地〒708-0426
岡山県苫田郡鏡野町西屋47
TEL080-2890-8885
公式YouTube・SNSYouTube
X(あき丸さん)
X(ひかりさん)
Instagram

※掲載情報は公開時点のものです。場合によっては内容が変わっている可能性があることをご了承ください。
※実食レビューは個人の感想に基づいて執筆しているため、感じ方には個人差があります。
※画像の転載は禁止しております。

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この記事を書いた人

夏目ミノリ

自然に囲まれて暮らすWebライター兼カメラマンです。 元結婚式場パティシエ(調理師免許、製菓衛生師保有)。 斧を使って薪割りをすることから、SNSでは「薪割りWebライター」と呼ばれています。 田舎暮らしの日常、グルメ、観光スポットなどの執筆が中心。 愛のある文章であらゆる情報を発信します。

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