
今回ご紹介するのは、山形県上山市の 「harappa soba & caffe 」 (以下、はらっぱ)。
かみのやま温泉駅から徒歩すぐの場所にある、空き家をリノベーションして2021年にオープンしたお店です。
11:00〜14:00のそばタイムと15:30〜22:00のカフェタイムの2部制で営業しています。

セカンドライフの挑戦
はらっぱのそばタイムを担当するのは、中島いづみさん(66)。60歳のときに「長年の夢だったお蕎麦屋さんを始めよう」と決意したことが、はらっぱのはじまりでした。
中島さんは東京都出身で、結婚を機に山形県へ移住。
30代半ば、子育ての傍らで参加した「蕎麦打ち体験」が、おそばの世界への第一歩となったのです。
「東京にいた頃は、おそばを食べる機会があまりなかったのです。山形で初めて生蕎麦を食べたとき、その美味しさに衝撃を受けました」と中島さんは振り返りました。
この美味しさを、自分の手でも生み出したい!
その一心で、中島さんは蕎麦打ち道具一式を揃え、2年間蕎麦打ち教室に通い、技術を磨きました。
やがて自宅でおそばを打てるようになると、家族や友人との食事会や年越しの際に、手打ちそばをふるまうように。さらに、蕎麦打ちの楽しさを伝えるべく、自ら周囲に教えるようにもなりました。
「みんながおそば作りを通して笑顔になるのが、何よりうれしかったんです」と中島さんは微笑みました。
そして、子育てが一段落した60歳の頃のこと。セカンドライフを考えたときに浮かんだのは、楽しくおそばを作る時間と、「美味しい!」と笑顔になる人々の顔でした。
「もっと多くの人に、おそばで笑顔になってもらいたい」
そんな思いを胸に、娘たちと協力してお店探しをスタートしました。
その過程で出会ったのが、山形県上山市で空き家再生事業を手がけるNPO法人「かみのやまランドバンク」でした。
物件探しから店舗の改装まで、かみのやまランドバンクにアドバイスをもらいながら、駅前の空き家をリノベーションしてオープンに至りました。現在もかみのやまランドバンクで出会った鏡昌博さんが立ち上げた株式会社「ランドバンク山形」が伴走しています。
つながり
中島さんが大切にしているのは「人とのつながり」。
蕎麦打ちを地域の仲間に教えたり、想いを共にする人たちと手を取り合って店舗づくりを進めたり…。
助け合いながら、これまで一歩ずつ、形にしてきました。
蕎麦打ちから提供まで、基本的には中島さんひとりで切り盛りするため「長時間営業は一人では大変だ…」と考えていたところ、娘の友人がカフェタイムを担当してくれることになり、2部制の運営スタイルも実現できました。
こだわりの手打ちそばを実食!
「はらっぱ」では、すべてのメニューに合わせて、中島さんが専用の「たれ」を用意しています。
もりそばなどのシンプルなメニューはもちろん、バジルそばのようなアレンジメニューも豊富です。
今回はそのバジルそばをいただきました!
バジルの香り豊かな風味と、コシのあるお蕎麦が絶妙にマッチ。
途中でレモンを加えると、爽やかな味わいに変化し、また違った美味しさを楽しめました。
天ぷらも、さっくりふわふわで、口に入れるたびに自然と笑顔に。

まるで自然の中にいるように。癒しの時間を「はらっぱ」で
「おそばでたくさんの人を笑顔にしたい。おそばの魅力を伝えていきたい」とにこやかに語った中島さん。
秋から冬にかけては、お蕎麦打ち体験も開催しているそうです。
そして「カフェはらっぱ」は、蕎麦タイムの後のカフェ営業も魅力のひとつ。
今回は蕎麦タイムのみの訪問でしたが、カフェタイムには心踊るスイーツやドリンクが並び、訪れる人をやさしく迎えてくれます。
自然の中で、心と体をゆったりと満たすような時間を過ごせる「harappa soba & caffe」にぜひ足を運んでみてください!
店舗情報
住所:山形県上山市矢来1-3-1
営業時間:そばタイム11:00 – 14:00
カフェタイム15:30 – 22:00
定休日:水曜日
電話:023-673-2320