
岡山県赤磐市は多くの山々や河川があり、とても自然豊かな場所です。赤磐市野生動植物調査会は、多くの生きものが生息するこの美しい自然を保全するため調査活動を行っています。今回は、その活動の一部を紹介するので、読まれた方が日本の豊かな自然の保全について考えてくだされば幸いです。
赤磐市の滝山川で調査を実施

今回の調査会では、赤磐市にある滝山川に生息する動植物を調査しました。調査には、小学生以上の子どもと保護者など50名以上が携わり、赤磐市役所環境課の職員さんや実施団体「赤磐市野生動植物調査会」のメンバーの方々が世話役として尽力してくださいました。
魚の取り方や注意事項などの説明を受け、全員ライフジャケットを着用して調査開始です。子どもも大人も魚とりを楽しめる時間でした。

採取した動植物については、それぞれの分野の専門家の方々が生態や見分け方などをレクチャーされ、有意義な時間を過ごせました。
滝山川の動植物の種数変化

今回の調査では、魚は6種類しか捕獲できず、7年前の調査よりも2種類減っています。水生昆虫においても、タガメが確認されないなど種類が減っていることが分かりました。また、残念なことに、外来種であるアメリカザリガニの成体や大量のウシガエルのオタマジャクシも発見されました。
恐らく、7年間の自然環境や河川環境などの変化が原因で、水生動物の生態系に影響が出ているのだと考えられます。
昨年の砂川での調査でも、水生動物の種類の減少や外来生物の繁殖が確認されています。筆者もこの2回の活動に参加しただけでも、自然環境の保全活動や保護活動が必要だと深く感じた次第です。特に、外来種の増加については大きな課題だと思われます。

なお、植物についてはほぼ変化はなく、多くの種類が確認されたことから、貧栄養化していない豊かな河川であることは間違いないでしょう。
生物多様性を保持するためには環境保全が大切

生物多様性を保持するには、生きものが生息できる環境を改善して維持することが大切です。
今回、調査した滝山川は日頃から住民の方々によってゲンジボタルの保護活動が行われており、川は保全され非常にキレイな状態を保っていました。このように高い環境保護意識を持つことで生物多様性を維持することが可能となるのです。

実際、今回の調査でもホタルのエサとなるチリメンカワニナが確認されました。ゲンジボタルはカワニナしか食べないので、ホタルの保護にはカワニナが生息する環境を整えることも必要です。

毎年6月上旬に開催される「滝山川ほたる祭り」でたくさんのホタルが飛び交う様子を見られるのは、住民の方々の熱心な環境保全活動のおかげです。
生きものたちの生息環境は、人が出すゴミ(空き缶やプラスチック製の食品包装、ナイロン袋、ペットボトルなど)によって悪化していることが分かっています。
川のゴミ拾い大作戦などの活動でゴミを除去して環境を保全した後、ゴミをポイ捨てしないように心がけ、子どもたちにも教育することで環境保護につながります。もし、川掃除などの機会があれば家族で実践して頂ければ幸いです。
「赤磐市野生動植物調査会」および「あかいわ美土里の和」では、数か月に1回は自然観察会などの活動を行っていますので、興味がある方は、ぜひ参加してみてくださいね。環境保全の必要性をご理解いただけると思います。
赤磐市野生動植物調査会について

「赤磐市野生動植物調査会」は別記事で紹介した「あかいわ美土里(みどり)の和」の兄弟組織です。赤磐市長から、赤磐市の植生調査などへの協力を依頼され活動しています。
「あかいわ美土里の和」の自然観察会や里山を守る活動が評価され、専門性の高い調査を行うために「赤磐市野生動植物調査会」が組織されたそうです。
南さん(事務局)、柏さん(魚類)、波田さん(植物)、橋本さん(全般)を始めとするメンバーの方々のご活動には頭が下がります。
「あかいわ美土里の和」については以下の記事をご覧ください。
岡山県赤磐市を流れる【砂川】にはどんな魚がいるの?生物調査に参加した衝撃の結果は!
磐山の里山再生とSDGs|市民活動グループ『あかいわ美土里の和』の14年間続く活動とは?
「赤磐市野生動植物調査会」については以下の記事をご覧ください。
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「赤磐市野生動植物調査会」および「あかいわ美土里(みどり)の和」の情報
住所:岡山県赤磐市下仁保216-25
電話番号:090-4571-7290
メール:midori01@carrot.ocn.ne.jp
事務局長:南 裕三
公式サイト:あかいわ美土里の和
公式Facebook:あかいわ美土里の和、赤磐市野生動植物調査会