
『磐山(いわやま)』は岡山県赤磐市の住宅街の奥になる里山。『あかいわ美土里の和』という市民団体が名付けて、管理している里山で、地域の人々に愛される知る人ぞ知るパワースポットです。この記事では、赤磐市民の筆者が『あかいわ美土里の和』へ取材した知られざる神秘や謎を紹介します。ぜひ、訪れてその素晴らしさを体感してくださいね。
磐山ってどういう場所?

この活動で登山道を整備しているときに、東側の山頂に巨石を発見したことが『磐山』という名前の由来だそう。かつては石切り場もあったそうです。現在は、登山道がいくつか整備され、気軽にハイキングができる素敵な里山に生まれ変わりました。
なお、『あかいわ美土里の和』については、関連記事『磐山の里山再生とSDGs|市民活動グループ『あかいわ美土里の和』の14年間続く活動とは?』をご覧ください。
磐山はパワースポットだった!

磐山がパワースポットだと考えられる理由はいくつかあります。不思議なことに、磐山に存在する陰陽石については全く文献や伝承はなく、客観的・地形学的に推測するしかないので、磐山について独自調査をされている『あかいわ美土里の和』の南さんの考察をもとに理由をまとめてみました。
- 風水的に理想的な場所だから
- 実は霊場であったから
- 太陽信仰にもつながっているから
風水的に理想的な場所だから

前述の東側の山頂(磐山山頂)から周りの風景を望むと、風水的に理想的な場所であることが推測されるそう(南さんの考察)。
風水では大地の気を「龍脈」、高い山からわき出した龍脈が緩やかになる場所を「穴(けつ)」と呼びます。また、穴に現れる気は、左右にある「砂」という地形と「水(九曲水となる吉井川)」、その奥の「案山(あんざん)」に囲まれることで安定するとされています。
つまり、磐山は穴として理想的な場所にあり、パワースポットと考えられるのです。筆者も、地形を見ながら南さんの考察を聞くと、納得できました。
実は霊場であったから

磐山を整備していく中で西側の山頂に「陰陽石」と思われる石組みや巨石、先手観音石仏、祠などが次々と見つかりました。そこで、この山頂は「観音山」、祠の上にある巨石は「座禅石」と名付けられました。

陰陽石にはいくつかの分類がありますが、磐山のものは「2個の石を組み合わせて洞窟状の空間を作っているもの」と考えられるそうです。
原始信仰では自然崇拝が行われており、山や樹木、石などに神が宿ると考えられていました。磐座(いわくら)信仰は神が降臨した石が神聖視されたもので、このうち陰陽石は子孫繁栄などの信仰の対象とされてきたのです。こちらの考察についても全く異論はありませんし、八百万の神が存在する日本では普通のことだと思われます。
太陽信仰にもつながっているから

また、磐座の陰陽石は太陽信仰とのつながりも示唆されることから、パワースポットであると考えられます。世界に存在するストーンサークルと同類のものでしょう。
南さんが磐山の陰陽石を起点として、夏至・冬至の「日の出・日の入り線」を地図上に書き入れたところ、驚くべき発見があったそう。
特に注目すべき点は、陰陽石からの夏至の日の入り線が出雲大社や日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)に、冬至の日の出線が淡路島にある伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)につながっていることです。そして、陰陽石からの夏至の日の入り線と冬至の日の出線はほぼ重なるという事実も判明。つまり、磐山の陰陽石から見ると日御碕神社と伊弉諾神宮は太陽信仰上、深い関係があると考えられます。
日御碕神社は「日の本の夜を守る」という役目がある神社であり、太陽信仰と深い関係にあります。また、ブラタモリでも紹介されましたが、伊弉諾神宮には「陽の道しるべ」というモニュメントが設置されるほど、太陽信仰と深い関係があるそう。伊弉諾神宮を中心として東西南北の位置や夏至・冬至の太陽の通る道に日本の主要な神社が配置されているのです。
なお、夏至には夕陽が冬至には朝日が、陰陽石のスリット(隙間)に沿って30分間も移動することも判明しています(後記)。
磐山のある場所や信仰の対象とされた陰陽石の存在などから、やはり磐山は赤磐市のパワースポットといえるでしょう!
陰陽石の謎とは?

陰陽石は自然にできた岩であり、恐らく1つの巨石が割れて陰陽石組みになったと考えられています。しかし、それだけでは、夏至の夕日や冬至の朝日が、陰陽石のスリット(隙間)に沿って30分間も移動することなどありえないでしょう。
これが陰陽石の謎です。
南さんの調査では、陰陽石は農耕が始まって以降、人の思惑によって人工的に調整されたのではないかと考えられています。最初は農事用暦として利用するため、巨石の下に詰石などで角度などを調整したようです(調整痕あり)。その後、支配者が権力の象徴として太陽祭祀を行うようになり、支配のために精神的思想の偶像として更に加工を施した可能性もあります。
文献等が残っていないので、現時点ではあくまでも想像の域を出ないのですが、いつか本格調査で真実が分かる日が来ればいいですね。
磐山の陰陽石はこのような経緯で日本でも類いまれな精密なものになったのでしょう。真実はどうであれ、磐山の陰陽石は一級品の遺跡といえます。
恐らく約2000年もの間、狂うことなく夏至の夕陽や冬至の朝日がスリットを通り続けことはまさに奇跡としかいいようがありません。最大の理由は赤磐市の大地が安定していることにあるそう。
赤磐市にある特定非営利活動法人「地球年代学ネットワーク」によると、「赤磐市とその周辺に広がる大地は、日本海の拡大に伴う地殻変動を受けないまま現在の位置に移動した日本で最も安定した大地である」とのことです。精密に調整された石組みが安定な土台の上で、ずっと機能しているなんて、古代から続くロマンですよね。
パワースポット磐山へ遊びに行こう!

パワースポットとしても遺跡としても超一級である磐山。20台ほど停められる無料駐車場も完備されているので、運動がてら癒しを求めて遊びに来ませんか?
山なので歩きやすい服装で、できれば長袖長ズボンで行くのがポイントです。熱中症や害虫対策も忘れずに!
磐山付近の地図
磐山では不定期で、赤磐市里山再生の会『あかいわ美土里の和』が開催するイベントがあるので、そちらに参加するのもおすすめです。保険加入などの関係で事前予約が必要になるので、イベントについては南さんに確認してくださいね(下記)。なお、連絡はメールが確実です。
「あかいわ美土里の和」の情報
住所および連絡先は事務局についての情報となります。
住所 | 岡山県赤磐市下仁保216-25 |
連絡先 | 090-4571-7290(南さん) |
メール | midori01@carrot.ocn.ne.jp |
公式サイト | https://akaiwa-midorinowa.jimdosite.com/ https://midorinowa.weebly.com/ https://www.facebook.com/profile.php?id=100066417105510&sk |