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自然  |    2023.10.08

約10万本の花が咲く「彼岸花の里 徳山」で秋の訪れを感じる

「彼岸花の里 徳山」にて

美しい花には強い毒がある。

子供の頃、よく古墳で遊んだ記憶がある。家の近くには全長約70mの前方後円墳(のちに前方後方墳と判明)があり、子供たちにとっては秘密基地のような存在だった。秋になると、古墳が真っ赤に染まる。彼岸花が群生しているからだ。

「あれは『毒花』やで!近付かん方がいいで」

あの時の友達の言葉が理解できるようになったのは、筆者が大人になってからだった。

彼岸花の球根には強い毒性のある「リコリン」が含まれているらしい。そのため、古くから墓地などのモグラやネズミ避けに植えられていたとのこと。お供え物だけでなく、遺体そのものを守るための先人の知恵だった。

滋賀県長浜市には彼岸花の群生地がいくつもある。その中でも10万本もの彼岸花が群生している地域が、長浜市徳山町だ。

自治会の事業として彼岸花を植栽

国道365号線の草野川橋北詰の信号を曲がり、東の方へ車を走らせる。

飯山橋の看板

3kmほど車を走らせると飯山橋に「彼岸花」の看板を発見したので、右折した。橋を渡ると無料で利用できる特設駐車場がある。普通自動車なら約30台は停車できる広さだ。

彼岸花の里の特設駐車場は無料で約30台が停車可能

長浜市徳山町は、かつて彼岸花の群生地だった。しかし、度重なる圃場整備や農道整備のため、彼岸花の数は激減してしまったという。徳山自治会では2007年頃より環境保全活動の一環として一般財団法人セブン-イレブン記念財団の助成を受け、彼岸花の球根を植え続けている。

環境保全活動の様子が掲示されていた

環境保全活動の様子が、駐車場とは反対側(約1km先)に設置してある掲示板に記されてあった。多くの地元住民が尽力されている様子がよくわかる。

10万本、1kmの真紅の絨毯は一見の価値あり

彼岸花は草野川堤防の東側一面に植えられている

殖えた彼岸花は約10万本もの花になり、群生の距離は約1kmも続くことになった。遠くから眺めると、見事な深紅の絨毯が広がっているように見える。実際に歩いてみると、1kmが意外と長い。この長い距離に少しずつ球根を植えるのは骨の折れる作業だろう。

毎年彼岸花を見られるとは限らない

秋空の青色に真紅の彼岸花がよく似合う

過去には鹿の食害によってあまり花が咲かなかった年もあったという。彼岸花の球根は毒性が強いが、茎や花にはほとんど毒は含まれていない。

彼岸花は農作物を守るために植えられることもあるそうだが、ネズミやモグラ以外への効果は期待できないだろう。

彼岸花には1,000種類以上の別名がある

彼岸花とは、ヒガンバナ科・ヒガンバナ属の植物で一般的に「彼岸花」と呼ばれているが、じつは1,000種類以上の呼び方があり、種類もさまざまだという。

徳山に植えられている彼岸花の中にも、1輪だけ白い彼岸花があった。鬼滅の刃のように青い彼岸花はないが、他にも黄色、ピンク色などの彼岸花が存在する。

徳山の群生地に白い彼岸花が1輪だけあった

下記は比較的有名な彼岸花の別名だ。

  • 曼珠沙華(まんじゅしゃげ/かんじゅしゃかとも呼びます)
  • 死人花(しびとばな)
  • 地獄花(じごくばな)
  • 毒花(どくばな)
  • 痺れ花(しびればな)
  • 幽霊花(ゆうれいばな)
  • 剃刀花(かみそりばな)

「死」や「毒」に由来する名称が多いことがわかる。気になるのは彼岸花の毒性ではないだろうか。じつは、彼岸花の球根1個あたり、ネズミ1500匹の致死量の毒が含まれている。人が間違って食べても腹痛や嘔吐に見舞われることになるので注意したい。

人が間違って食べることはほとんどないと思うが、犬や猫などの動物が食べないように気を付けたいところだ。

長浜市徳山の基本情報

徳山の彼岸花の詳細については、SNSで情報をチェックするのがおすすめ。

アクセス方法

近隣の主要都市からのアクセスは、名神高速道路・北陸自動車道の利用がおすすめ。最寄りのインターチェンジ、は京都・大阪・岐阜方面からは「長浜インター」、福井方面からは「小谷城インター」となる。

  • 大阪市からは1時間57分(有料区間あり)~2時間35分
  • 京都市からは1時間32分(有料区間あり)~2時間14分
  • 大津市からは1時間19分(有料区間あり)~1時間51分

JR利用の場合はJR北陸線「長浜駅」または「虎姫駅」。駅からは遠いので、タクシー利用がおすすめ。晴れた日にはレンタサイクルを利用するのも良いかもしれない。

MAP

カーナビには表示されない可能性があるため、Google Mapで「徳山の彼岸花」と検索するのがおすすめだ。

徳山の彼岸花は9月下旬が見頃

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彼岸花は花が咲いてから葉が育つので、一般的な花を咲かせる植物とは少し異なった生長を見せるのも面白い。

花が咲いてから葉が育つのは、桜の花に似ている。「花は桜木、人は武士」と言われるように、義のために命をささげる武士道精神につながることで有名だ。

彼岸花も日本人の多くが愛する花かもしれない。球根部分に毒があるのも、陰があるようでどこか愛おしい。来年もまた、9月末頃に徳山を訪れようと思う。

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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