
造船と塩業で栄えた町、岡山県玉野市にコワーキングスペース「うのベース」が2024年3月にオープンしました。
オーナーの東本さんは、未経験からWebライターとして独立した経歴の持ち主。孤独を経験したからこそ「みんながチャレンジできる拠点を作りたい」といいます。
この記事では、東本さんがコワーキングを開業したきっかけや、集中と交流を両立させたコワーキングの仕組みについて伺いました。チャレンジしたくてもなかなか踏み出せない人は、ぜひお読みください。
孤独を乗り越え…チャレンジする人を応援したい!
ーーうのベースを開業するまでの経歴をお聞かせください。
奈良県の工業高校を卒業後、岡山県の造船会社と化学プラントの設備メンテナンスをする会社で現場監督として10年間働きました。
現場監督をしながら副業でWebライターを始め、生活の見込みが立ったので2022年に独立しました。現在は、税金や資産運用などの金融ジャンルを中心にライター・ディレクターとして活動しています。
ーーなぜ本業をしつつ副業に挑戦したのでしょうか。
「一度きりの人生を後悔しないように生きたい」と思ったからです。
子どもの頃からチャレンジするのは好きでしたが、転機となったのは父親の死でした。
56歳という若さで父が亡くなったとき、私は27歳でした。「亡くなった父の年齢の半分に差し掛かっている」ことに衝撃を受けたんです。
そこから、後悔しない人生にしたいと思うようになり、独立するために未経験からWebライターを始めました。
ーーお父様の死がきっかけだったのですね。本業と副業の両立は大変だったのではないでしょうか。
はい。早朝から深夜まで本業や家事、育児の合間をぬって必死に書いていました。小さな子ども2人を育てつつ、朝5時に起きて深夜0時過ぎまで副業する生活は、正直かなりキツかったです。
なんとか目標金額を達成し、専業ライターとして独立できたときは本当にうれしかったですね。
ーーなぜ専業ライターとしてご活躍されているなかで、うのベースを作ろうと思われたのでしょうか。
一言でいえば「寂しかった」から。
孤独を経験したからこそ、地方でチャレンジしたい人が一歩踏み出しやすくなるようなコミュニティを作りたかったんです。
私が副業を始めたとき「Webライターで食べていけるのか」という声がありました。子どもが2人いて住宅ローンもあるなかだったので心配されて当然ですが、本当は応援してほしかったんです。
また、フリーランスは孤独です。私は身近にライター仲間がいなくて、相談できず悩んだ経験があります。
それでも成長できたのは、東京や大阪などの遠方で開催されたオンラインコミュニティのオフ会に参加し、いろんな人から刺激を受けたからです。幸運なことに私は参加できる状況でしたが、家庭の事情で遠くまで行けず相談相手もいないまま、動き出せない人もいると思います。
地方に住んでいても、相談でき応援してもらえたらチャレンジするスピードも早まります。そういったチャレンジしたい人が集まる拠点として、うのベースをつくろうと決心しました。
交流と集中の両立│コワーキング空間を快適にする秘密
ーーうのベースの特徴を教えていただけますか。
交流・集中スペースを透明な扉で区切っています。
交流スペースは利用者さん同士が気軽に話せ、集中スペースでは仕事や勉強に打ち込める間取りになっています。

交流/集中スペースをわけることで「話しかけてもいい人」かどうかが明確になります。
一般的なコワーキングだと、カフェのような広い空間に集中したい人と喋りたい人が混ざってしまいます。これだと、交流したい人は誰に話しかけたらいいか迷ってしまいますよね。
でも、うのベースは、話したいときは交流スペースにいる人に声を掛ければいいので、集中したい人に声をかけてしまう心配がありません。空間を区切ったことで、交流も集中もしっかりできるよう配慮しました。
ーー利用者さん同士が交流しやすくなる工夫を教えてください。
玄関でスリッパに履き替えることや、交流スペースに畳の小上がりを設けてリラックスできるよう工夫しました。昼食時には、交流スペースに皆さん集まって食べることが多く、アットホームな雰囲気で会話も弾みます。

また、うのベースには、アプリを使ったオンラインコミュニティがあります。利用者同士でメッセージをやりとりして、一緒に来店いただけることもあります。イベントをきっかけに新たな出会いが生まれることも多いです。
ーー今までどのようなイベントを開催しましたか。一方、イベント時でも集中したい方は通常通りに利用できるのでしょうか?
デザイン系やAIを使った講座や、ライターやデザイナーなどの交流会を開催しました。同業者が集まるイベントは、交流しやすく話が盛り上がりやすいと思います。
もちろん、イベントがある日も集中・交流スペースのどちらも利用できますが、どうしても賑やかになるため、集中したい方への配慮が必要です。イベントは多くても月4回以内に抑え、定期的に利用される方の満足度を下げないようにしています。
ーー空間を交流と集中にはっきりわけることと、細やかな配慮で利用者さんが心地よく過ごせるよう工夫されているのですね。大変勉強になりました!
【後編】は、コワーキングから仕事を生み出す取り組みや、地域活性化を目指したクリエイターチーム結成について伺います。
うのベース
うのベース公式サイト
うのベースInstagram
〒706-0011
岡山県玉野市宇野8−1−1 1F
利用時間:月〜日曜日 6〜22時
※一時利用は平日9〜17時まで
定休日:不定休(公式Instagramをご確認ください)