都内から神津島に移住して、一番驚いたのは「水」のパワー。
神津島は離島の中ではめずらしく水に恵まれ、島のいたるところから水が湧き出ています。その中のひとつである「多幸湧水」。神津島に暮らす人々に愛され、大切に守られている場所です。
湧水と聞くと、泉からポコポコ湧き出るところをイメージしますが、神津島の湧水は違います。
ドバドバドバー!
これ本当に湧水なの?と初めて見た時は目を疑いました。ドバドバと勢いよく湧き出る水を見ていると、島の強いエネルギーを感じ、パワーがもらえる気がします。
今回は、豊かな水が湧き出る神津島のパワースポット「多幸湧水」の魅力をご紹介します。
神津島はどこ?東京から飛行機で45分。手つかずの自然が残る島
神津島は東京から約180km離れた伊豆諸島の中間に位置し、周囲約22km、人口約1750人の島です。標高572mの天上山をはじめとする雄大な山々、日本一の透明度を誇ったことがある青い海に囲まれた自然あふれる島です。
東京からのアクセス方法
- 東京竹芝から高速ジェット船で3時間45分
- 東京竹芝から大型船で12時間
- 調布飛行場から飛行機で45分
※季節によって本数や所要時間は変わります。詳しいアクセス方法は神津島観光協会HP
飛行機なら45分で、あっと言う間に大自然を満喫できる場所に到着です。調布飛行場を飛び立ち、伊豆諸島の島々を越えだんだんと神津島が近づいてきたときの感動はひとしお。青々とした海の色も壮大な山々も「ここは本当に日本?」と疑うほどの迫力です。
神津島の豊かな水の秘密は「水配り伝説」と「天上山」
神津島は離島にも関わらず、なぜ豊かな水に恵まれたのでしょう?その秘密は「水配り伝説」と島のシンボルである「天上山」に隠されていました。
水配り伝説から始まった神津島の水の歴史
神津島はかつて、伊豆諸島の神様が集まり各島へ水を分けるための会議をおこなった場所であるという伝説が残っています。
水の配分の日、先着順で水を配ることにした神津島の神様は、御蔵島、新島、八丈島、三宅島、大島の順番に水を配った。しかし、寝坊して遅れてやってきた利島の神様は少ししか水がもらえないことに怒り、わずかに残った水に飛び込み大暴れ。神津島全域に水が飛び散り、いたるところで湧水が流れ出るようになったとか…
神津島に湧き出る水の秘密が伝説として語り継がれています。神様が集まって会議をしていた場所、そんな神秘的な雰囲気が島全体から感じられます。
天上山は天然のダム!島のシンボルが作り上げた豊富な水
天上山の山頂にはほとんど木が生えていない、白い砂漠のような場所があります。天上山の火山岩は流紋岩(りゅうもんがん)というきめ細かい岩質。降った雨が山頂の土の中に深く入り込み、ゆっくりとろ過され地下水となり、島の水道水として利用されてます。
島のシンボルである天上山が、ダムの役割をして島民の生活を支えているのですね。
多幸湾の海で遊んでいると、ところどころに冷たい水が湧き出ているのが分かります。海水と湧水が混ざる不思議な体験ができますよ。
多幸湧水に行ってみよう
多幸湧水は、島の集落とは反対側にある多幸湾にあります。多幸湾の船客待合所からは徒歩2、3分ほどで行けます。
多幸湧水までの道のりは歩道が整備されているので迷うことはありません。目の前にはエメラルドグリーンに輝く多幸浜。その奥には神津島のシンボルである天上山の白い岩肌が見えてきます。絵画のような美しい景色に、思わず足が止まり見入ってしまいます。
近づくと、滝のように勢いよく落ちる水音が聞こえてきます。
真夏でもひんやりと冷たく、水しぶきがシャワーの様で気持ちいい。手ですくって飲んでみると、なめらなで優しい味わいです。訪れる際に水筒、ペットボトルを持参すればおいしい水を持ち帰ることができますよ。
多幸湧水には、多くの島民がポリタンクや空き瓶を持って水を汲みに訪れます。料理やご飯を炊くのに使うとおいしくなるのだとか。神津島では湧水が暮らしに溶け込んだ生活をしています。
湧出口から海まで続く小川は子供の遊び場に最適
ひんやりと冷たい湧水は、多幸浜の砂浜を流れていき、やがて30m先の海に浸透していきます。この湧水の流れによってできた小川が、小さな子どもが楽しめる遊び場になります。
葉っぱを流してみたり、足を入れて遊んだり。我が家の姉妹はずーっとこの小川で楽しんでいました!ファミリーで訪れて、海を眺めながらゆっくりとした時間を過ごすこともできますよ。
神津島の絶景を眺めながら多幸湧水でパワーチャージ!
神津島の絶景を眺めながら、長い年月をかけて磨き上げられた湧水を飲む。なんとも贅沢な時間です。ここでしか見ることのできない景色、空気を感じにぜひ一度訪れてみてはいかがですか?
飲んだ後は体中がリフレッシュしてまた頑張ろう、というパワーがもらえるはずです。
施設情報
多幸湧水(たこうゆうすい)
住所:〒100-0601東京都神津島村榎木が沢
利用時間:通年
交通手段:村営バス、車、レンタサイクル
駐車場:有(5台ほど駐車可能)
集落がある前浜とは反対側にあるので、車で行くことをオススメします。レンタサイクルは、山越えのアップダウンがあるので体力に自信のある方は良いかもしれません。早朝に行けば日の出も楽しむことができますよ!
参考:
神津島観光協会HP https://kozushima.com/kanko/meisho/wakimizu/282/
COLOCAL「水にまつわる人々の営みを知る島の旅 斉藤アリスさんが巡る神津島」https://colocal.jp/topics/lifestyle/tokyo-takarajima/20190306_123391.html