地方創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

スポット  |    2026.01.17

なぜ人が集まるのか~蔵前・カクウチカフェ フタバがつなぐ酒と人とまち~|東京都台東区

なぜ、この店には人が集まるのでしょうか。

それは、安いからでも、SNSで話題だからでもなさそうです。

蔵前の一角にあるカクウチカフェ フタバは、酒を「売る」場所であると同時に、人と人が自然につながる場でもあります。

角打ちという文化を入り口に、酒と人、そしてまちを結び続けてきた理由を、店長・関明泰さんの語りを手がかりに探っていきます。

蔵前・カクウチカフェ フタバが育んできた、人と地域の関係

東京都台東区・蔵前。

古くからの商いと、新しい店や住民が少しずつ重なり合うこの街で、酒屋を起点に人のつながりを生み出してきた店があります。

それが「カクウチカフェ フタバ」です。

現在は角打ちとカフェを併設した店として親しまれていますが、その始まりは現実的な課題からでした。

酒屋としての危機感が、角打ちの原点だった

「もともとは酒屋一本でやっていました」

そう語るのは、店長の関明泰さんです。

酒類販売の規制緩和により、スーパーや量販店などでも酒が買えるようになり、従来型の酒屋は厳しい経営環境に置かれるようになりました。

一方で、展示会などを通じて、酒蔵やメーカーと直接出会う機会は増えていきます。

「いいお酒に出会う機会は増えた。でも、それをどうやってお客さんに伝えたらいいのか、ずっと考えていました」

そこで関さんが行き着いたのが、「売る前に、飲んで知ってもらう」という発想でした。

そのための場として選んだのが角打ちです。

「ただ店頭に並べるだけでなく、実際に飲んでもらって、お酒を知るきっかけを作りたいと思いました」

お酒を知る場から、コミュニティの場へ

角打ちを始めた当初、フタバは「お酒を知ってもらう場」として営業していました。

ところが次第に、別の変化が生まれます。

「お客さんが、お酒だけじゃなくて、ここに来てコミュニティを楽しんでいるんだな、と感じるようになりました」

一人で立ち寄った客同士が、自然と会話を交わす。

そんな光景を目にする中で、関さんは店のあり方を少しずつ変えていきました。

「だったら、もう少し入りやすくして、いろんなお酒を楽しみながら、つながりを作ってもらえる場にしたいと思ったんです」

こうして生まれたのが、「カクウチカフェ フタバ」という現在の形です。

お酒が得意でない人でも気軽に入れるよう、名前にも“カフェ”を入れ、試行錯誤を重ねてきました。

酒蔵・ワイナリーとは「伝える側」として二人三脚で

フタバでは、酒蔵やワイナリーと連携した試飲会を定期的に行っています。

この取り組みについて、関さんは自身の役割をこう表現します。

「酒蔵さんやワイナリーさんは、お酒を作る場所。酒屋は、お酒を伝える場所だと思っています」

「作り手と売り手が分かれた存在ではなく、二人三脚でお客さんに向き合う。その考えのもと、定期的に打ち合わせを行い、『どうすれば楽しんでもらえるか』を話し合いながらイベントを企画しています」

「いいお酒を、ちゃんと伝えたい。そのための場が、ここなんだと思っています」

地域の思いを込めた一本「鳥越」

フタバを象徴する存在の一つが、オリジナル日本酒「鳥越」です。

この酒は、蔵前・鳥越エリアの氏子仲間とともに構想されたもので、関さん自身も酒造りに関わっています。

「蔵前って、台東区の中では少しポツンとしたエリアだったんです。だから、地産地消じゃないけれど、蔵前らしいものが作れないかと考えました」

鳥越祭で知られる地域性を生かし、鳥越神社の千貫神輿をモチーフに、米の旨味をしっかり感じられる酒を目指しました。

「お神輿の“重さ”を、お酒の“重さ”に例えて作った一本です」

力強い味わいの背景には、地域への思いが込められています。

ものづくりと酒が交わる場として

フタバでは、地域のかばん店やものづくりの作家による展示も行われています。

その背景には、関さんが立ち上げに関わった「蔵前商店街」の存在があります。

「5年前に商店街を発足させて、ものづくりをしている方とのつながりができました。その横の関係を、もっと広げたいと思ったんです」

「先日も、御神輿の錺金具を用いた『担ぐ、受け継ぐ』をテーマにしたブランドのNINAFU【になふ】さんの、新作ミニショルダーバッグの先行販売会を開催しました」

お酒を飲みながら、地域の仕事に触れる。

そんな場をつくることで、酒と商い、そして人が自然につながっていきます。

お酒は、人をつなぐコミュニケーションツール

「お酒って、人と人をつなぐコミュニケーションツールだと思っています」

関さんはそう語ります。

フタバが、地域の人たちが自然と集まる場所になっている理由も、そこにあるといいます。

常連と初来店の人、新しく蔵前に来た人と昔から住む人。

立場の違う人たちが、同じカウンターで同じ酒を飲む。その積み重ねが、分断ではなく共存につながっていくのです。

酒屋の存在を、皆さんに伝える「角打ちフェス」

関さんは、酒屋と地域の人たちとのつながりを作るために、「酒屋角打ちフェス」を仕掛けました。フェスの意義についてこう話します。

「街に商店がなくなったら、やっぱり良くないと思うんです。

その中でも、酒屋という存在は、街に絶対に必要なものだと思っています」

便利さや効率が優先される時代の中で、酒屋は単に商品を売る場所ではなく、人と人をつなぐ役割を担ってきました。

角打ちフェスは、そうした酒屋一軒一軒の積み重ねや工夫を、街の外に向けて“見える形”で伝える場でもあります。

「各地の酒屋さんが、角打ちフェスに年に2回集まります。

ぜひ足を運んで、商店の頑張りを見てほしいと思っています」

フタバが日常の中で続けている角打ちの場づくりと、多くの酒屋が一堂に会する角打ちフェス。

その根底にあるのは、「酒屋は街に必要な存在であり続けたい」という共通の思いです。

一杯の酒から始まるつながりを、店の中だけで終わらせない。

関さんの視線は、常に街全体へと向いています。

【酒屋角打ちフェス公式サイト】

https://kakufes.com

気負わず歩ける街の、途中にある店

最後に、初めて蔵前を訪れる人へのメッセージを伺いました。

「背伸びしながら歩く街じゃなくて、ぶらぶらしていたら『こんなお店があるんだね』と思える一日を過ごしてほしいです」

「隣にある系列店の『からあげサイダーフタバ』の揚げ物も、店内で食べてただけます。ぜひご利用ください」

商店街が作る冊子「蔵前かわら版」を手に街を歩き、最後に角打ちで一杯飲む。

そんな何気ない流れの中に、蔵前らしさがあるのかもしれません。

カクウチカフェ フタバは、街の中心でありながら、主役になりすぎない店です。

けれど確かに、人と人、酒と地域をつなぐ“きっかけの場所”として、今日も静かに役割を果たしています。

お店の情報

カクウチカフェフタバ

住所:〒111-0051 

東京都台東区蔵前4-37-4

電話番号:03-3861-1138

営業時間

平 日:15:00~21:30(L.o 21:00)

土日祝:11:00~20:30(L.o 20:00)

定休日:毎週火曜・水曜

アクセス:都営地下鉄蔵前駅A5番出口より徒歩7分

     地下鉄銀座線田原町駅徒歩8分

公式サイト https://sake-futaba.jimdofree.com/

公式Instagram https://www.instagram.com/kakuuchi_cafe_futaba/

公式X https://x.com/kakuuchi_futaba

記事をシェアする

この記事を書いた人

takahashi-tomiyo

静岡県出身、台東区在住のwebライターです。台東区の魅力や、ふるさとの静岡県、気になる街の情報を発信してまいります。

関連記事