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もの・こと  |    2024.11.28

【玉ちゃん図書室】は玉川学園のオアシス!地域に届ける本 と居場所

「読書は好きだけど、本を何冊も購入すると費用がかかるし、場所をとる」「子どもに絵本を読んであげたいけど、忙しい」このような悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが、町田市玉川学園にある「玉ちゃん図書室」です。玉ちゃん図書室は、地域住民のアンケートから生まれた温かみのある交流スペースです。寄贈された本を共有し、お子さんから大人まで誰もが自由に利用できる居場所として2021年に開室しました。朗読会や工作教室など、さまざまなイベントも開催しています。

この図書室は図書館とは異なり、おしゃべりも自由で、本との偶然の出会いを大切にしたユニークな貸出システムを採用しています。「玉ちゃん図書室」を運営されている、玉川学園地区社会福祉協議会(以下地区社協)玉ちゃん図書室担当理事の舩生(ふにう)さんと図書室チーフの森崎さんにお話をお聞きします。

玉ちゃん図書室設立のきっかけ

地域に縁のある作家のコーナー

ー よろしくお願いします!まずは、玉ちゃん図書室を設立したきっかけについて教えてください

舩生:玉ちゃん図書室を始めたきっかけは、2019年に玉川学園地区社協が行った地域住民へのアンケートなんです。地区社協というのは、町内会自治会や地域で活動する団体で構成され、市社協ではまかなえない地域の福祉のために地域住民自身がボランティアで活動している組織です。「地域にどんなものがあったらいいと思いますか」というアンケートをとったところ、子育て支援や居場所づくりといった回答が多かったんです。もう一つ、地域のみなさんは本をたくさん持っていて、処分するにはもったいないという意見もありました。

森崎:そこで、地域の方から寄贈された本をみんなで共有して、子どもも大人も楽しめる場所を作ろうと、この玉ちゃん図書室が設立されたわけです。

ー素晴らしいですね!地域の方々の想いが形になった図書室というわけですね。玉川学園地区社会福祉協議会については、公式ホームページをご覧ください。

寄贈本とボランティアスタッフが支える図書室

POPが付けられ、整理された本棚

ーこの図書室の本は、すべて寄贈されたものなのですか?

舩生:そうです。図書室にあるのは、すべて寄贈本です。現在は、1人10冊まで寄贈本を受け付けています。本を寄贈したい方は、お気軽にご相談ください。

ースタッフの方は何名ぐらいいらっしゃるのでしょうか

舩生:現在は27名、全員ボランティアです。「できることを、できるだけ」というスタイルで図書室の運営に関わってくれています。

森崎:具体的には、図書室が開いている日は、午前と午後で2名ずつスタッフが常駐しています。常駐以外にもパソコンでデータを入力したり、チラシを印刷・配布したり、皆さんさまざまな形で活動を担ってくれています。また、朗読会や講演会の企画を考えてくれる方や本の紹介POPを書いてくれる方もいるんですよ。それぞれが得意なことを活かして、図書室の運営に関わってくれています。「わたしもお手伝いできますよ」という方は玉ちゃん図書室ホームページからご連絡いただければうれしいです。

ー個々の能力を活かして楽しみながら運営に参加するのは、とてもいいですね。イベントは、どのくらいの頻度で行われていますか

森崎:おすすめの本を自由に紹介し合う「ふれあいブックカフェ」は、毎月第2水曜日10:30〜11:30です。お子さん向けの読み聞かせや工作などをする「お楽しみDAY」は、毎月第3土曜日10:30〜11:30です。その他、講演会や読み聞かせは不定期で行っています。イベントの詳細は、図書室のホームページをご覧ください。

玉ちゃん図書室のあゆみ

暖炉がある素敵な室内

舩生:2021年10月のオープン当初、玉ちゃん図書室は別の場所にあったんです。そのあと、2023年にここに引っ越してきました。

森崎:この場所のオーナーさんが、図書室の運営に賛同してくださって、今の場所をお借りできたんですよ。

 ーこの場所、すごく落ち着きます。図書室にピッタリなお部屋ですね

森崎:そうでしょう。素敵な場所ですが、ここをお借りできるのはあと1年半なんです。玉ちゃん図書室を続けていくためにも、次の引越し先を早く見つけたいと考えています。

ーそうなんですか!それは残念ですね

森崎:別の場所に引っ越して、またその近所の方にも利用していただきたいと思います。私たちは設立当初から「図書室」という言葉にこだわりを持っています。誰でも本を読んだり、勉強したり、おしゃべりしたりできる、そんな場所を目指しています。

舩生:一般的に「図書館」はおしゃべり禁止ですが、ここの「図書室」では大歓迎です。本の感想やおすすめの本について話したり、お子さんに絵本を読み聞かせたり、宿題をしたり、自由に過ごして欲しいですね。

ーここで、静かに読書する方もいらっしゃるのですか。本を読むのに最適な環境だと思うのですが

舩生:もちろん、読書する方もいます。でも、多くの方は読みたい本を借りて帰りますね。玉ちゃん図書室では、図書館のようにリクエストを受け付けたり、本の貸し借りをデータで管理したりしていません。大まかなルールとして、本を借りる場合は1回5冊、1カ月程度で返却してくださいとお願いしています。

森崎:図書室が閉まっているときは、玄関前のボックスに本を返却していただくシステムです。また、玉ちゃん図書室は『きんじょの本棚』とも連携しています。ここまで返却に来られない方は『きんじょの本棚』に返しておいていただければ、大丈夫です。

(筆者注)『きんじょの本棚』とは、どこで借りて返してもいい街の本棚です。町田市内外に150カ所以上あります。詳しくは、町田市立図書館のページをご覧ください。

ーとても自由なシステムですね。たまたま図書室を訪れて、出会った本を借りるということですね

舩生:そうですね。「たまたま出会った本を読んでみる」という読書は、とても大切ではないでしょうか。今は、本の値段が高くなり「自分に合うかどうかわからない本」を購入して読む方が少ないですよね。玉ちゃん図書室で、さまざまなジャンルの本と出合ってほしいと願っています。

これからの玉ちゃん図書室

工作作品が飾られたピアノ。生演奏と朗読のイベントが開催されたこともある

ー図書室を運営するうえで、課題はありますか

森崎:玉ちゃん図書室をもっと多くの方に知ってもらいたいと思っています。安心して過ごせる場所や学習室として、お子さんや子育て中の方に利用してもらいたいですね。そのために、子ども向けのイベントも多く企画しています。

舩生:地域には、玉ちゃん図書室を知らない方もまだまだいます。本を借りるだけではなく、居場所として図書室でゆっくり過ごしてもらいたいですね。

ボランティアスタッフの新谷さんに聞きました。

新谷:玉ちゃん図書室でボランティアをするようになってから、図書室を利用する方やスタッフ同士で交流が生まれました。今後も玉ちゃん図書室を中心とした交流の輪が広がっていくといいなと思っています。

地域住民がつくる温かい空間!玉ちゃん図書室

玉ちゃん図書室は、地域住民の方々が主体となって運営されている、温かい雰囲気の図書室です。地域の方々が寄贈した本が並び、誰でも自由に借りて返却できるシステムは、素晴らしいですね。

森崎さんと舩生さんの熱い思いが伝わる、地域密着型の図書室。ぜひ、玉ちゃん図書室に足を運んでみてください。

【玉ちゃん図書室情報】

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この記事を書いた人

wakka

神奈川県出身、東京都在住のライターです。生花店店長やベーカリーカフェで働いた経験があります。趣味はお散歩と読書。お散歩で見つけた地域の魅力を発信します。

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