岡山県岡山市東区瀬戸町にある1955(昭和30)年創業の老舗和菓子店『松栄堂(しょうえいどう)』。2代目である松下幸男さんと奥様の久美子さんが2人で切り盛りしています。
かしわ餅と赤飯が人気ですが、実はたい焼きのおいしさにも定評があるお店です。
今回は「おいしい!」と噂のたい焼きについて徹底紹介するので、ぜひ参考にしてください。
もちろん、かしわ餅や赤飯の紹介もありますよ!
松栄堂のこだわり
松栄堂の和菓子作りへのこだわりは、たくさんあります。その中でも特にこだわっていることを3点紹介します。
松栄堂の和菓子作りで特にこだわっている点
- 国産原料のおいしさにこだわった素材を使う
- 独自の自家製あんこを使う
- 鮮度が命なので個数限定で作る
国産原料でおいしさにこだわる
国産原料で作る和菓子では、素材の香りや風味を感じることができます。しかし、松下さんは、卵はL玉サイズにこだわり、小麦粉も「このメーカーのこれだ」と感じたものを使うことで、とにかくおいしい和菓子を追求。そのため、添加物を多用し、外国産原料で作る安い和菓子とは風味も香りも違います。
どんどん価格が高騰している国産原料にこだわった和菓子作りをするのは大変だと思いますが、職人の心意気を感じます。
例えば、赤飯やかしわ餅に使うもち米は、岡山県真庭郡新庄村の「ひめのもち」というおいしい高級ブランドのもち米を取り寄せて使うのです。「原価は高くなるが、おいしいものを提供したい」とのこと、大いに賛同します!
少し値段が高くても、「安心安全な和菓子を食べたい、子どもや孫に食べさせたい」というのは誰しも納得されることと思います。
独自製法の自家製あんこで差別化
あんこは、一般的に「つぶあん」「こしあん」に分けられますが、松栄堂では「つぶごろし」を作り、使っています。桜餅などのこしあんでなければならない商品以外はすべて「つぶごろし」を使うそうです。
「つぶごろし」とは、小豆をほどよくつぶして皮の食感は残しつつ、食べやすくした「つぶあん」と「こしあん」の中間のあんのこと。
これが、たい焼きやかしわ餅によくマッチしていて、おいしいのです。
個数限定で作る
個人商店であり、冠婚葬祭で受注するもち類などの製造もあるため、その日に売り切るだけの量しか作らないのがこだわりです。余計な添加物を使わないということは、もち類はどんどん硬くなります。つまり、鮮度にこだわっているのです。
おいしいものをできる範囲で作り、当日に食べ切るというのは、本当にSDGsですよね。
お店自慢のたい焼き
おいしいたい焼きを作るポイントは、生地を少し寝かせること。寝かせが足りないと焼き上がりがよくないそうです。
先代が始め、今の御主人で2代目なのですが、先代の技と風味を守るため、日々真剣に頑張っています。
「たい焼きは焼き上がりが一番おいしいので、作り置きはしない」という徹底ぶりも、さすがだと脱帽です。
そのため、たい焼きは電話で予約注文(086-952-0483)が必要になります。突然、訪問しても生地を作り寝かせる時間と焼く時間を入れると40分くらいはかかるので、お店の段取り(職人は松下さんだけ)も考えて、前日までには予約するのがベストでしょう。
焼型は5匹分なので、可能であれば5匹以上で注文してくださいね。なお。出店などで不在の場合もあるため、数日前に電話で相談してみるのがよいでしょう。なお、毎月29日は、近くにある赤磐市の『足王神社』の月並祭に出店するので不在になります。
食べてみると、皮はパリパリで中はもっちり、あんこは頭から尻尾までたっぷり入っていて、とてもおいしかったです。甘さひかえめのちょっと小ぶりサイズのたい焼きは2個くらいペロリと食べられます。おすすめですよ!
なお、手足のケガや病気にご利益があると全国に知られている「足王神社」についての記事もご覧ください。
足王神社の月並祭でも出店
江戸時時代から、手足のケガや病に御利益があると知られており、地元住民だけでなく全国でも有名な『足王神社』。赤磐市和田519にあります。
毎月29日の月並祭では、人気の「栗入り赤飯」「紅白まんじゅう」「大福」「かしわ餅」などを販売しています。足王神社で許可をもらって販売することになった理由は、地元の和田の婦人会から40年ほど前に「ぜひ出店してほしい」と打診があったからです。昔から地元で愛されるおいしい和菓子屋さんだったことが、うかがい知れますね。
月並祭は平日に当たることが多いにも関わらず、出品した赤飯、かしわ餅、紅白もち、草餅はほとんど売り切れます。私が行った時も、かしわ餅、紅白もちは売り切れで、なんとかぎりぎりで栗入り赤飯を購入できました。
大人気の栗入り赤飯とかしわ餅
赤飯は国産栗を惜しげもなく使用しており、もち米のモチモチした食感が絶品で、本当においしく、赤飯好きの筆者と息子も舌を巻くうまさでした。足王神社でお祓いもされているそうです!ご利益がありそうですね。
これからは、赤飯は松栄堂で購入することにします!
かしわ餅は、写真のようにカブトの形にして柏の葉に包むそうです。「男の子の節句なので、カブトの形にしたい」という手作りならではのこだわりがあります。
一般的に、かしわ餅は「平たく丸い形」「折り曲げて重ねた『あみ笠』というカブトのような形」の2種類の形があるそう。松栄堂のかしわ餅は、『あみ笠』タイプですね。
「江戸時代、武家の子孫繁栄と子供の成長を願ってカブトの形になった」という説があり、手作りのかしわ餅を提供するお店では、カブトの形にしているところが多いそうです。
モチモチで甘さ控えめのかしわ餅は子どもだけでなく、健康に気を配る大人にもおすすめです!小豆ポリフェノールとサポニンも入っているので。
取材当日、かしわ餅を買おうと思っていたら、午前中に売り切れたとのこと。なんでも、午前中にGoogle Mapsを見て買いに来たお客さんがいて、その他の和菓子も大人買いをしたそうです。筆者はたい焼きを予約していたので、なんとか、たい焼きだけはゲットできましたが、和菓子作りはもち米を炊き、あんこをつくるところから始めないといけないので、当日作れるものではありません(ここ重要です!)。
なので、前もって電話で予約をするのがよいと思います。
松栄堂でおいしい和菓子を買いましょう!
松栄堂は、創業66年を超える老舗の和菓子屋さん。夫婦2人で仲良くおいしい和菓子を提供するために、誇りをもって頑張っています。
年末年始は、お餅や赤飯などの注文が相次ぐため、1時間しか寝られないこともあるそうです。また、4月29日の足王神社の春の大祭では、かしわ餅や栗入り赤飯、串団子など全部で数千個も作るそうです・・・。それほど人気なのです!
さすがに12月30日や大祭前にはお手伝いの方が来られるそうですが、大変な作業です。また、元旦と1月2日は足王神社でも出店するそう。これも超ハードですよね。
物価高騰、燃料費上昇などでどんどん利益が圧迫される中、懸命に頑張ってお店を守っているのには理由があります。
それは『安心安全でおいしい和菓子をお客さんに提供しつづけること』。
ご夫婦の経営努力で、かしわ餅やたい焼き、焼きもちは1個140円、紅白まんじゅうは1パック280円、串団子は160円、よもぎ餅と白大福は150円です(すべて税込価格)。手作りの和菓子がこの値段で買えるなんて、驚きます。安心安全な国産原料を使い、おいしく作られた和菓子ですよ!もう、あり得ません、びっくり。
この記事を読んだ方が松栄堂の和菓子に感動してファンとなり、これからもお店が続くように応援してくれると筆者も嬉しい限りです。「これからも元気で和菓子や赤飯を作り続けて行って欲しい」と願います。
購入したいものがあれば、数日前に電話で予約しておけば、売り切れで買えないということは避けられます。まずは電話をしてみましょう。ご夫婦だけでやられているので、電話に出られない場合もあります。その際は、少し時間が経ってからかけてみてくださいね!
松栄堂の情報
住所:岡山県岡山市東区瀬戸町下130-2
電話番号:086-952-0483
定休日:1/3のみ(年中無休)
営業時間:9:00~17:00(ただし、午前中に売り切れになることが多い)
アクセス:瀬戸駅から徒歩5分
駐車場:普通車3台分
お店は、瀬戸駅から500mほど西にいったところにあります(県道178号線沿いの一段下がった場所)。昔の消防訓練高のあった場所の向かいです。地図を載せておきます。
なお、お店から道なりに東(県道96号線、JR万富駅方面)へ2.5kmほど行くと、以前、紹介した笹埜醤油店もあるので、ぜひこちらにもお立ち寄りください。
ぜひ笹埜醤油の記事もご覧くださいね。自分好みのおいしい醤油を買えますよ!