世界一大きな桃があることで有名な岡山県赤磐市。たびたび、ピンクの桃の絵柄のガスタンクがテレビなどで紹介されています。
そんな赤磐市で、生物多様性の観点から、市民も参加して地域の自然について考える活動【砂川生きもの探検隊】が開催されると聞き、子どもと参加してきました。
生きものが大好きな愛媛大学理学部生物学科卒の私だけでなく、息子もとても楽しみにしていた活動です。
砂川に生息する魚については、在来種はわずかに減少し、特定外来種が2種捕獲されるという衝撃の結果となりました。
今回は、赤磐市野生動植物調査会と赤磐市の取り組みを紹介するので、興味のある方は、ぜひ次回の活動に参加してくださいね。
【砂川生きもの探索隊!】の概要
目的は、『2019年の実施から5年が経過し、砂川の生態系がどのように変わったかを調査すること』です。
場所は、赤磐市医師会病院周辺の砂川、開催日は2024年7月7日でした(開催時間は10時から12時)。
2024年【砂川生きもの探索隊!】での調査の様子
親子連れの30名ほどが参加。赤磐市役所環境課の職員さんや実施団体「赤磐市野生動植物調査会」のメンバーの方々が世話役として尽力されていました。
魚の取り方や注意事項などの説明を受け、子どもはお借りしたライフジャケットを着用して調査開始です。
運よく、梅雨時期の晴れ間が続いた日でしたが、いつもの砂川よりも少し水深が深い状況でした。
砂川で捕獲された魚や昆虫について
1時間程度、各自が魚とりや虫とりを行って捕まえた魚などを持ち寄り、鑑定。講師の方々が簡単に解説してくれました。
「魚類」
魚は9種類を捕獲。「カマツカ」「ミナミメダカ」「オオクチバス(ブラックバス)」「ブルーギル」「ヨシノボリsp」「ドンコ」「オイカワ」「タモロコ」「フナ」です。
捕獲できませんでしたが、水に入る前に大きなコイのような魚も目撃しました(複数人が見ています)。
なお、ヨシノボリspとは、種類を特定できないが、ヨシノボリの仲間であるという意味です。
捕獲された「オオクチバス」「ブルーギル」は特定外来種であるため、適切に処分されるとのことです(川に戻してはいけないため)。
「その他」
クサガメ、アメリカザリガニなどが捕獲されました。
「昆虫類」
捕獲された昆虫はショウリョウバッタとハグロトンボのヤゴだけでした。また、ハグロトンボやオオシオカラトンボの成虫などが飛んでおり、アメンボもいました。
「回収されたゴミ」
ビン、缶、お菓子などの包材(プラ製品)、ビニールシートなど本来、川にあるべきものではないゴミが多く回収されました。
講師の方々による解説と呼びかけ
講師の方々から、「植物」「昆虫」「魚」などについて色々と楽しい解説がありました(一部のみ紹介)。
また、赤磐市の職員の方から、ゴミ問題についての呼びかけもあり、自然と環境問題について考えるきっかけになったと思います。
「植物についての解説」
河原にはススキの仲間で、銀色の穂がススキより美しい「オギ」が自生することを教えていただきました。なお、オギは砂地の河原でしか繁殖しないとのこと。
あとで調べてみたのですが、オギはススキよりも穂が大きくてふっくらしており、猫の毛を撫でているような柔らかな触感のようです。また機会を見つけて、ススキとの比較をしてみようと思います。
「昆虫についての解説」
ショウリョウバッタの名前の由来やハグロトンボのヤゴの特徴などについて説明を受けました。
ショウリョウバッタは漢字で書くと「精霊飛蝗」となりますが、お盆に精霊流しで流す船の形に似ていることやお盆の時期によく見られることが名前の由来だそうです。
「魚についての解説」
カネヒラは時期的なタイミングもあり、今回は取れなかったとのこと。
そして、特定外来生物の取り扱いについて周知頂きました。「運搬してはいけない(生きたまま持ち帰らない)」「川に返してはいけない」「増やしていけない」という外来生物法という法律があるのです。
みなさんも気をつけて下さいね。日本固有の在来種が絶滅の危機に直面していますから!
「主催者(市職員)からの呼びかけ」
回収されたゴミを紹介しながら「ゴミをポイ捨てしないようにしましょう!」「環境保護に努めましょう!」との呼びかけがありました。
豊かな自然や生物多様性を守るには、本当に大切なことです。
ゴミ拾いに参加すると「ゴミはゴミ箱へ!外へは捨てない!」ことの大切さが分かるので、ぜひ家族でゴミ拾いや地区清掃に参加してくださいね。
5年前の調査で砂川の生き物に変化はあったのでしょうか?
今回の調査では、前回よりも水かさが増えていたため魚の捕獲が難しく、単純な比較はできませんが、大きく異なるところがありました。
それは、特定外来種である「オオクチバス」「ブルーギル」が見つかったことです。
これらの魚が幼魚や生後1年程度の大きさで見つかるということは、すでに数年前から棲息していることになります。このまま放っておくと大変なことになるかもしれません。
捕獲された魚の種類は5年前の調査と同じく9種類でした。しかし、2種類が特定外来種であるうえ、岡山県には40種類以上の淡水魚が存在するのに対して、実質7種類というのはかなり少ないように思われます。
岡山市内を流れる西川でも魚種の減少がみられるので、全国的に生物多様性の減少が起きており、危機的な状況といえるでしょう。
赤磐市野生動植物調査会について
事務局の南様からうかがったお話と公式サイトの説明をもとに紹介します。
「赤磐市野生動植物調査会」は「あかいわ美土里(みどり)の和」の兄弟組織で、赤磐市長から赤磐市の植生調査などへの協力を依頼され活動しているそうです。
「あかいわ美土里の和」が地道に続けてきた自然観察会や里山を守る活動が評価され、専門性の高い調査を行うために、専門家が集まって2016年に生まれた組織が「赤磐市野生動植物調査会」となります。
「あかいわ美土里の和」は、里山の保全に取り組んでいるボランティアグループで、その活動が高く評価されて岡山県備前県民局から「地域づくり推進賞」が贈呈されています。
自然に興味がある人は、ぜひボランティア活動に参加してみてはいかがでしょうか?
色々な発見があって楽しいと思いますよ。
「赤磐市野生動植物調査会」および「あかいわ美土里(みどり)の和」の情報
- 住所:岡山県赤磐市下仁保216-25
- 電話番号:090-4571-7290
- メール:midori01@carrot.ocn.ne.jp
- 事務局長:南 祐三
- 公式サイト:あかいわ美土里の和
- 公式Facebook:あかいわ美土里の和、赤磐市野生動植物調査会
赤磐市市民活動実践モデル事業とは?
赤磐市市民活動実践モデル事業について、赤磐市市民活動実践モデル事業実施要綱から抜粋して簡単にまとめ、説明します。詳細は、赤磐市市民活動実践モデル事業実施要綱をご覧ください。
『目的』
市民活動団体などから地域課題の解決につながる事業提案を募集し、補助金交付された事業を市と協働で実施することで、協働のまちづくりを推進すること。
『提案の種類』
・市民提案型事業(実施主体が市と協働することで、より効果的な課題の解決が期待できると考える事業を提案)
・行政提案型事業(市が実施主体と協働することが適当と考えるテーマを提示し、事業企画案を公募)
『実施主体(提案団体)の要件』
非営利など、いくつかの必要要件を満たす「市民活動団体」「ボランティア団体」「NPO法人」などに限る
『提案できる事業の要件』
・公益性及び社会貢献性があり、市との協働により効果的な課題解決や地域の活性化が期待できる事業
・先進性、先駆性等の工夫又はアイデアがあり、現在実施されていない事業
・赤磐市総合計画の方向性に沿った事業
あなたもSDGsや環境問題に触れてみませんか?
赤磐市では、その他にも様々な活動が開催されています。
なお、「赤磐市野生動植物調査会」および「あかいわ美土里の和」では、数か月に1回は自然観察会などの活動を行っていますので、興味がある方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
環境問題や地域の良いところを肌で感じることができ、家族で参加すると子どもの教育にもつながります。
積極的にかかわることで意識改革につなげ、皆で地域を守っていきましょう!