千葉県鎌ケ谷市に本社を構える株式会社モラールは、化粧品やその原料の受託製造を中心に、柔軟で創造的な姿勢で独自の存在感を示す企業です。
単なる「モノづくり」を超え、価値を届ける存在として製造業の新たな在り方を探るとともに、地域とつながるユニークな取り組みにも注目が集まっています。

株式会社モラールの事業の歩みと未来への展望

今回は代表取締役社長・光安氏に、事業の歩みと未来への展望についてお話を伺いました。
株式会社モラールの事業について

弊社は、化粧品や化粧品原料の受託製造・加工を中心に、輸入代行業務も手がけています。
もともとは妻の父が45歳のときに脱サラしたのが始まりで、当初は元々勤めていた会社の手伝いなどをしていましたが、その後お客様との出会いを経て化粧品業界に参入して今に至ります。
私が入社した当時は、受けている仕事がほぼ1社からのもので、言わば下請けのような状態でしたが、次第に一社依存で言われたことをやるだけでは生き残れないと感じるようになりました。
そこで、お客様に「作業」以外の付加価値を提供できる存在を目指すようになったのです。
ビジョン「あらゆる枠組みを超えて新しい価値をデザインする」とは?
受託製造業というと「作業を代行するだけ」と捉えられがちで、いかに安く製造できるかが重視される傾向にあります。しかし、新たに化粧品づくりに挑戦したいと考えている方々にとっては、その思いを形にすること自体が大きな価値です。
また、製造業では、品質管理を目的として手順やルールが厳格化されることが多くあり、その結果思考が止まりがちになることもあります。
会社もそこで働く方々も、自立していることに大きな意味があると考え、従業員が自律的に考えられるよう、一人ひとりの判断や工夫を尊重できるような環境づくりに力をいれてきました。
稼働率や規模の拡大ばかりを追い求める場合、機械化・自動化できなければ、従業員の方々に安く長く働いてもらうことを求めることになり、新しい価値を生む余白が失われるといったリスクがあると考えています。
だからこそ、弊社では少量・高付加価値製品に重点を置いているのです。
週休3日制の導入について
週休3日制は、単なる働き方改革ではなく、従業員の創造的な思考や挑戦をするための余白をつくる取り組みです。
製造業では、高い稼働率が利益を生むという考え方がありますが、ただ単に稼働時間を長くしていくと、働いている方々が疲弊してしまいます。使える時間を全て作業に消費するのではなく、考えたり試したりすることができる環境を整えることで、結果としてお客様への提供価値につながると考えています。
また、人は会社での経験のみで成長する訳ではないので、会社以外で色々なことを経験する余白が必要だと考えています。
地域活性化への取り組み|キッチンカー誘致の背景

きっかけの1つは、新しいことを始めたいと考えたことです。同じ業務をやり続けるだけでは変化が無く、新しいことを学ぶ機会がありません。
社内に美味しいものを食べることが好きな人がいるのですが、近隣には飲食を提供するお店がとても少なく、あってもチェーン店ばかりです。
このエリアは飲食店の営業には厳しい立地ですが、1日単位で営業が出来、非日常感のあるキッチンカーであれば出店が可能で、地域の雰囲気も明るくなると考え、結果キッチンカーの誘致を思いつきました。
実際に起きている変化について
小さな範囲では、近隣の方々や社員とそのご家族、キッチンカーのファンの方などが買いに来てくださるようになり、少しずつ人の流れができています。
少し視点を広げると、SNSを通じて興味を持ってくれる人が少しずつ増えているようです。実際に足を運んでくださる方もいらっしゃいます。
私たちの取り組みを通して、鎌ケ谷市に興味を持っていただけると嬉しいです。事業としては、地域の方々をお客様としているわけではありませんが、地域が少しでも活気づき、地域との関係性が築けていることは、従業員の働く環境にも良い影響があると感じています。
出店者の方々との関係性づくりについて
弊社と出店者との関係は、単なる貸し手と借り手ではありません。お互いに求めることを理解し合い、協力しながら価値を高められる関係を目指しています。
弊社はSNSでの発信などを通じて集客や認知を高め、お店にはお客様に喜ばれる商品やサービスを提供していただきながら、地域でのファン獲得につなげる取り組みを進めています。
鎌ケ谷市における今後の地域貢献と展望
今後も弊社の施設やスペースを活用し、地域との開かれた関係づくりを続けていきたいと考えています。大きなことを1つやるのではなく、小さなことをたくさんやっていくことが効果的で、行政との連携も模索しつつ、民間ならではの柔軟な視点で地域の課題に小さなアクションを起こしていきたいです。
私たちがやっていることを見て面白いと思っていただき、自分も何かやってみようと思ってくれる人が増えたらいいなと思います。キッチンカーを呼んでみたいと思う方がいらっしゃれば、いろいろとご協力できます。
少し大きな話になってしまいますが、最終的には1人1人が受け身ではなく、主体的に取り組むようになるといいなと思います。
光安社長の思いやりと地域への取り組み
光安社長の言動や行動からは、社員やキッチンカー事業者、地域に対する温かい眼差しが伝わってきます。社員に対しては、細かなルールで縛るのではなく、創造性を尊重しながら働きやすい環境づくりを意識されている姿が印象的です。
キッチンカー事業者に対しても、自ら毎日商品を購入し、Instagramで発信するなど、応援する気持ちが伝わってきます。社員が毎日投稿されているそうなのですが、それぞれキッチンカーの魅力が自然と伝わってきます。
鎌ケ谷や初富でランチスポットを探している方や、新しいスイーツを探している方は、ぜひ、株式会社モラールのInstagramをチェックしてください。
日によって異なるキッチンカーが出店しているので、新しい出会いがあるでしょう。
私が以前取材した、笑顔の素敵なご夫婦が営む「みみのすけさん」の美味しい生姜焼きに出会えるかもしれません。

株式会社モラールでは、電気代以外の出店費用は基本的に取らず、出店者に積極的にお声がけする姿勢にも、光安社長の温かさが感じられます。
製造業の枠を超え、地域とつながる取り組みを続けている株式会社モラール。
今後の取り組みにも注目が集まります。
会社概要
商号 | 株式会社モラール |
所在地(本社・工場) | 千葉県鎌ケ谷市初富本町2-15-1 |
Tel | 047-498-5545 |
代 表 者 | 光安 秀雄(みつやす ひでお) |
従業員数 | 7名 |
許可番号 | 化粧品製造業(12CZ009004) 化粧品製造販売業(12C0X00052) 医薬部外品製造業(12DZ006023) |
事業内容 | 化粧品の製造(調製・充填・包装・表示)、販売 化粧品企画・開発、化粧品輸入販売の受託 医薬部外品の製造(調製・充填・包装・表示) 化粧品原料の受託加工・調整・小分け 衣料用洗剤の卸販売 各種商品のセットアップ及び包装作業 |
公式HP | https://morral.co.jp/ |