Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンをキュレーションする地方創生メディア

もの・こと  |    2024.09.12

仲間と共に成長し続ける「オール宮城ソフトボールクラブ」|チームはかけがえのない居場所

2024年9月15日・16日にかけて宮城県で開催される「ハンズホールディングスCUP 2024東日本大会」(以下、ハンズホールディングスカップ)。

ハンズホールディングスカップは、日本知的障がい者ソフトボール連盟が主催する知的障がい者ソフトボールの東日本大会です。

この大会は、知的障がい者スポーツの認知度向上と魅力発信を目的としており、8チームが参加して熱戦を繰り広げます。各チームには1企業が応援サポーターとして付き、大会を盛り上げます。

参加する8チームのうち宮城県から出場するチームは「オール宮城ソフトボールクラブ」です。今回の記事では、オール宮城ソフトボールクラブの監督である森英行さんにお話を伺いました。

地域との交流や生涯スポーツの場として

オール宮城ソフトボールクラブは、2001年に宮城県で行われた「第1回全国障害者スポーツ大会」に参加した宮城県チームの活躍を契機に発足しました。以後、生涯を通してスポーツを楽しむことや、地域の方々と交流を交えながら障がいのある方もない方も共にスポーツを楽しむチームづくりに取り組んでいます。

チームは総勢34名。仕事や家庭の都合でなかなか参加できない選手もいますが、毎週日曜日に行われる練習には常時20名ほどが参加しています。

高校生から社会人まで幅広く在籍しており、共に練習に励んでいます。

オール宮城ソフトボールクラブには、宮城県内の特別支援学校である「岩沼高等学園」ソフトボール部の卒業生も多く在籍しています。岩沼高等学園を卒業した後、そのままチームに入るケースが多いそうです。チームの存在は、卒業後もスポーツを楽しめる生涯スポーツの場としての役割も果たしています。

また、練習は地域の方も交えて行っています。選手にとって地域の方と交流できる貴重な場にもなっているのです。

フラットな関係で気の置けない仲間でありたい

「チームにはプレー能力が突き抜けて高い選手もいないし、強靭なメンタルを持っている選手もいません。だからこそ互いに支えあい、励ましあいながら活動し、試合や大会に挑んでいます。普通の『気の置けない仲間』が集まっているチームなんです」と語るのは監督の森英行さん。

特別支援学校の教職員でもある森監督が、チームの監督に就任したのは2014年のことです。前監督で同僚でもあった相澤晴朗(せいろう)さん(現:日本知的障がい者ソフトボール連盟理事長)が連盟の立ち上げに向けて動き出すタイミングで、声をかけられたことがきっかけでした。

チームに元教え子が在籍していたため、以前から選手たちの良さを知っていたことも、監督を引き受ける大きな後押しとなったと言います。

森監督は、選手と監督、先生と教え子という垣根を越えて、同じ目線で同じ目標を共有できる仲間でありたいと語ります。フラットな関係を築くことで、選手にとって安心して過ごせる居場所、仲間と触れ合える場所であってほしいと考えているのです。

選手の「のびしろ」を常に意識する

森監督が選手を指導するうえで常に意識しているのは、選手の「のびしろ」だと言います。

「わたしたちが想像する『のびしろ』を超えるプレーが生まれたときに、やってきてよかったと思います。『この選手ならこのレベルまでいける』と考えていたところを、ポンと超えてくる瞬間があるんですよね」

監督の想像を超える成長が見られるときは、今まで打てなかったボールが打てるようになったときなどの技術面だけではありません。ゲームでミスをしてしまったとき、気持ちを切り替えて前を向こうとする姿に選手の精神面での大きな成長を感じられると言います。

そんな瞬間が訪れたとき、指導者としてのやりがいや喜びが感じられると仰っていました。

指導者として試行錯誤する日々

チームに在籍している選手ひとりひとりの個性はさまざまです。言葉の理解や気持ちのコントロールなど、それぞれに持っている能力は異なります。選手の個性と向き合い指導することは簡単なことではありません。

「選手の指導には力を尽くしているはずなのに、もっといいやり方があったんじゃないかと毎回課題が残ります。それは試合に勝っても負けてもあります。いつも自分の足りなさに気づかされるんです。指導するというのは本当に奥が深い仕事です。試行錯誤していたらあっという間に10年経ってしまいました」

指導者として常に葛藤していると森監督は吐露します。

「自分の至らなさが悔しくてやめられないんです。『次はこういう風に指導しよう、こんな風にやってみよう』と思うから、次の練習、そのまた次の練習につながっていくんでしょうね」

選手各々の個性に真剣に向き合ってきた森監督ならではの言葉が、深く心に響きました。

スポーツを通して成長してほしい

森監督は、チームスポーツを通して身につけた精神力は社会生活の中でも役立つと考えています。「技術面だけでなく、人としてもまっすぐに、誰からも背中を押してもらえるような選手になってほしい」と話します。また、ハンズホールディングスカップなどの大会があることで目標が生まれ、選手たちの生活に張りが出ているとも感じているそうです。

オール宮城ソフトボールクラブは、仲間と共にこれからも成長し続けていくことでしょう。大会を通して、障がいのある方もない方も共にスポーツを楽しみ、お互いを認め合う社会が更に広まっていくことを願ってやみません。

クラウドファンディング「希望のバットを振れ!」

8月15日より支援スタート!「希望のバットを振れ」知的障がい者ソフトボール東日本大会を応援してください!

クラウドファンディング「希望のバットを振れ!」は、知的障がい者スポーツの未来を切り拓くために立ち上がりました。

9月に宮城県で開催されるハンズホールディングスカップは、選手たちに自己実現と希望をもたらす貴重な機会です。この大会を通じて、知的障がい者スポーツの魅力を広く発信し、社会の理解と支援を促進することを目指しています。

このクラウドファンディングは、単なる大会運営支援にとどまりません。知的障がい者の余暇活動の充実、指導者への支援、そして将来的には西日本大会や全国大会の実現まで視野に入れた壮大なプロジェクトです。

皆様のご支援が、知的障がい者スポーツの新たな章を開く力となります。このプロジェクトにご注目いただき、共に知的障がい者スポーツの未来を創造しませんか?

あなたの支援が、選手たちの希望の光となるのです。

記事をシェアする

この記事の地域応援ブランド企業

ハンズホールディングスCUP 2024東日本大会

「ハンズホールディングスCUP 2024東日本大会」は、共生社会の形成と知的障がい者スポーツの活性化を目指す大会です。日本知的障がい者ソフトボール連盟主催のもと、ハンズホールディングスグループが主管し、8つの企業・団体の協賛を得て開催されます。東日本各都道府県から7チーム約140名の選手が参加し、熱戦を繰り広げます。障がい者スポーツの普及と理解促進に貢献する重要な大会となります。 なお、本大会のクラウドファンディング「希望のバットを振れ!知的障がい者ソフトボール東日本大会を応援してください!」を実施しております。皆様のご支援をお待ちしております。

この記事を書いた人

さきの めぐみ

生まれも育ちも栃木県。普段は、福祉・教育を中心に執筆している元特別支援学校教員のライターです。 グルメや観光スポットなど、まだまだ知られていない栃木県の魅力を発信していきます!

関連記事