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フード  |    2025.09.28

日本でここだけ!モルドバ料理を提供するNOROC|東京都葛飾区

皆さんはモルドバという国を知っていますか?東ヨーロッパにある国で、西はルーマニア、北、東、南はウクライナと国境を接しています。国土の約60%がブドウ畑で、国民の4人に1人がブドウの生産に従事。もちろんワインの製造も盛んに行われていて、食通の間ではおいしいワインを作る国として知られています。そんなモルドバの料理を日本で唯一楽しめるのが、葛飾区亀有にある「NOROC」(ノーロック)です。

東京にいながら異国体験!素材を生かしたおいしい料理とワインに舌鼓

店名のNOROCは公用語のルーマニア語で「乾杯!」と「幸運を!」を意味しています

NOROCはJR亀有駅の北口から歩いて5分ほどの場所にあります。お店を切り盛りしているのは倉田昌明さんと、モルドバ出身のディアナさんご夫妻。2014年にオープンし、地域の人だけでなく、モルドバ大使館の職員、モルドバ出身の人々、亀有から遠く離れた地域に住む食通が、現地の味を求めてこのお店に集います。

モルドバ料理の特徴は、素材の味を生かしていること。日本人のお客さんから「日本人向けにアレンジしているのか?」と聞かれることもあるくらい、日本人の舌にもなじむ味です。しかし、スパイスやブドウの葉などは現地から輸入したものを使用。レシピはすべて、料理上手だったディアナさんのお祖母様直伝で、モルドバ出身のお客さんのお墨付きです! 

では、どのような料理なのか見てみます!日本でも広く知られているものであれば、ボルシチがありますね。ロシアのボルシチと比較すると、甘さは控えめ。ビーツの味をしっかり感じられる味わい深い一品です。

サワークリームはモルドバから持ち込んだ菌を増やして手作りしています

他にも鶏ひき肉とみじん切りの玉ねぎをクレープ状の生地でくるんだブリヌイや、3日間マリネに漬けた焼き鶏のシャシリクなどは、モルドバ料理を食べたことがない日本人でも味や見た目をイメージしやすいでしょう。

そして欠かせないのがワイン!2019年に日本で開催されたイベント「日本で飲もう最高のワイン」では、最高評価にあたるベストワインプラチナ賞を受賞するほど。イギリスの女王・エリザベス2世が愛飲しており、「世界最大の総距離(全長200キロメートル)を持つワイン貯蔵庫」「世界最大の貯蔵数」としてギネスブックに認定されているMilestii Mici(ミレスチ・ミーチ)社のワインも、モルドバで生産されています。

「『モルドバ料理はワインに合うように作られている』と初代の駐日モルドバ大使が仰っていました。当店でしか味わえないワインもたくさんあるのが自慢です。モルドバ産のワインは悪酔いしないともいわれているので、苦手な人にもおすすめです」(昌明さん、以下同)

昌明さんにおすすめしてもらった赤ワイン。美味

実際にお酒に弱い筆者も飲んでみました。ブドウの味をしっかり感じられる芳醇な味わいが印象的。肉料理と交互に口に運ぶと、互いの良さを引き立て合います。もちろん、心配だった二日酔いもありませんでした。

モルドバ大使館の応援もあり、お店が知られるように

モルドバの雑貨で彩られた店内。くつろげる座敷もあります

でも、なぜモルドバ料理のお店を開くことになったのでしょうか。きっかけは、倉田さんご夫妻の出会いでした。

昌明さんがご友人と食事をしていた際に、ご友人の奥様と、その友人だったディアナさんが合流。その縁から、昌明さんとディアナさんは人生を共に歩むことに。

モルドバ風チーズケーキ。濃厚なチーズの風味にラズベリーソースの酸味がマッチ

しかし当時、昌明さんは朝から晩まで仕事で忙しく、時には土日に出勤することも。せっかく一緒になったのだから、もっと二人でいられる時間がほしい。そんな思いから、二人でモルドバ料理のお店を始めることになりました。

ところが、都心から離れていること、亀有駅からNOROCまでの道のりにたくさん飲食店があること、お店が2階にあって少し入店しづらいこと、何よりモルドバ料理の知名度がないこともあり、最初は苦戦を強いられました。

そこで、倉田さん夫妻は飲食店が集うイベントに積極的に参加。料理の味とお店を知ってもらい、着実に食べた人の心をつかんでいきました。お店のオープンから2年後の2016年には日本にモルドバ大使館が設置。大使館によるモルドバワインの普及に合わせて、NOROCも紹介されるようになりました。

モルドバ料理をもっと多くの人に知ってほしい

NOROCが扱うワインの一部。中には貴重なものも。もちろん白ワインもあります

「当店ではかつしかプレミアム付商品券を使用できるため、その案内をお客様にすることがあります。その際に他県から足を運んでくださる方が多くいることを知り、とても驚きます。先日は、カナダ在住のモルドバ出身の方が訪日した際に、わざわざ当店を調べて来てくださいました」

そう昌明さんが話す通り、日本人には異国の食体験を、モルドバ人には故郷の味を提供しているNOROC。人種を問わず、愛されているお店だということがわかりました。そんなお店の今後の展開を聞いてみました。

「モルドバ料理とワインのおいしさを、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。直近では2025年10月24日から26日にかけてテクノプラザかつしかで開催される『第41回葛飾区産業フェア』に出展する予定です。当店自慢のブリヌイをお楽しみください」

なお、NOROCの味はスーパーマーケット「NATIONAL AZABU」で直接購入できる他、NOROCのオンラインショップでも購入可能。お店の訪問がおすすめですが、「行くのが難しい」という方は、こちらも利用してみてはいかがでしょうか?

関連リンク

NOROC:https://www.noroc2014shop.com/

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この記事を書いた人

増田 洋子

東京都在住。インタビューが好きなフリーランスのライターで、紙媒体とWebメディアで執筆中。ネズミを中心とした動物が好きで、ペット関連の記事を書くことも。

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