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スポット  |    2024.10.07

古代で一番立派なトイレも!秋田城跡と秋田城跡歴史資料館

水洗トイレが古代にもあったことをご存じですか?
古代で最も立派な水洗トイレが、秋田県秋田市の「秋田城跡」にあります。

トイレだけでなく、古代の政庁や海外とのつながり、たくさんの特徴ある出土品に出会える場所、秋田城跡と秋田城跡歴史資料館をご紹介します。

秋田城とは?

秋田城とは、現在の秋田県秋田市にある地方官庁のことで、奈良時代から平安時代に置かれました。
当時の政治・軍事・文化の中心で、現在の青森や北海道、中国東北部にあった渤海国などとの交易・交流の拠点でもあった場所です。

天平5年(733)年に、高清水岡に遷された当初は「出羽柵(いではのき)」と呼ばれ、天平宝字4年(760)ころから秋田城と呼ばれるようになったといわれています。

10世紀後半には、古代城柵としての機能は失いますが、「秋田城介(あきたじょうのすけ)」は北方を守る名誉ある役職として受け継がれていきました。

広大な秋田城跡

発掘調査で発見された遺構が、史跡公園に復元されており、史跡公園連絡橋を渡ると、政庁跡にたどりつきます。
政庁跡には、正殿跡、北東建物跡などの遺構が残り、復元された築地塀にかこまれているので、思わず古代の風景を想像してしまいました。

東門をくぐると、東大路に出られます。政庁の模型や変遷の模型が並び、秋田城が変化しながらも続いていたことがわかりました。

さらに行くと、沼地があります。ここは、大祓などのまじないの儀式を行っていた神聖な場所だったそうで、この鵜ノ木地区には、寺院や客館の復元建物跡や井戸の遺構などが発見されています。

そびえる古代の水洗トイレ

さらに歩くと、見えてくるのが、古代一豪華な水洗トイレを復元した建物です。

この建物は、中に入ることができます。中は3つの個室に分かれており、それぞれ発掘されたときの状態、便槽や木樋の状態がわかるように土を取り除いた状態、当時の使用状態という様子で保存されています。

個室内は広さもあり、ぼっとん便所のような感覚で用を足し、甕に入った水をすくって流すようになっていました。現代でいうトイレットペーパー「ちゅうぎ」も置いてありました。

豊富な出土品「秋田城跡歴史資料館」

秋田城跡について詳しく学べるのが、秋田城跡歴史資料館。豊富な出土品の数々が美しく展示されています。

そのなかでも注目に値する「漆紙文書」と「古代のトイレからの出土品」をご紹介します。

漆紙文書

漆紙文書とは、漆液が染み込んだおかげで腐らずに現代まで残っていた紙のことです。
漆工房では、漆の乾燥や異物混入を防ぐために、漆の容器に紙で蓋をしていました。その紙が役所から払い下げられたものだったことから、貴重な当時の記録が、特殊な赤外線カメラで読むことができるのです。

秋田城跡からは漆紙文書が30点以上出土しているそうで、展示物としても見られるほか、漆紙文書や、赤外線をあてて実際に見えた文字を読んでみる機械もありました。

古代で最も豪華なトイレ(水洗厠舎)からの出土品

外を歩いていて、城門や築地塀とあわせてインパクトがあるのが、復元された古代のトイレ、水洗厠舎(かわや)。その説明や発掘に伴い出土した遺物が展示されています。

秋田城跡で見つかった水洗トイレは、秋田城の城外南東側の鵜ノ木地区、寺院兼客館(迎賓館)の北側にあった建物で、古代においてこのような水洗便所遺構が発見された例は秋田城跡のみなのです。

どこが豪華なのかというと、当時個室の壁や屋根がついたトイレはそのものが珍しく、さらに、仕組みそのものも先進的だったためです。このトイレでは、用を足したあと水で流しますが、汚物は木樋を通っていったん沈殿槽にためられ、汚れの少ない上澄みだけを沼に流すようになっていたということです。

これが、西暦756年以降、奈良時代後半に建てられたのは驚きですよね。

便所遺構からの出土品は、未消化の種、便所周辺に群がるフン虫、ハエの蛹、寄生虫の卵、籌木(ちゅうぎ・クソベラ)などです。出土品から野生の果実や栽培された野菜を食べていたこと、トイレを使ったのは地元の人ではなく、外国からの客人だった可能性があるとわかりました。

まとめ〜秋田城跡は古代をより近くに感じられる場所〜

古代のトイレのインパクトがある秋田城跡ですが、ご紹介したもの以外にも、墨書土器やまじないに使ったもの、甲冑、食器、井戸、瓦、お金などバラエティ豊かな出土品がありました。古代の政庁に暮らしていた人々の生活を垣間見れるようで、より身近に感じられます。

ぜひ、出土品をじっくり見たり、史跡公園を歩いてみたりして、古代を感じてみてくださいね。

秋田城跡・秋田城跡歴史資料館の情報

住所 〒011-0939 秋田県秋田市寺内大畑5
電話 018-845-1837
ホームページ  https://www.city.akita.lg.jp/kanko/kanrenshisetsu/1003616/index.html

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この記事を書いた人

くるみ

京都府在住、歴史が得意な5児子育て中ライター。Webライティング・ブログ・Kindle執筆を中心に活動しています。得意ジャンルは、歴史とWeb3。歴史の勉強、読書、神社仏閣や遺跡、博物館巡りが好き。秋田県に生まれ育ち、大学進学を機に関西へ。京都といえども雅な古都ではない、一味違う京都府の魅力&ふるさと東北の魅力をお伝えします。

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