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フード  |    2024.07.20

佐渡島の味と文化を守りたい|おばんざいと塩むすびがおいしいお店「佐渡保存」

東京都江東区・清澄白河。おしゃれなカフェや雑貨店、ギャラリーなどが点在し、コーヒーを片手に散歩する人で賑わうエリアです。

新潟県新潟市の西方約45キロ離れた場所に位置し自然の恩恵に包まれた離島、佐渡島。山地の雪解け水で育ったお米や養殖カキ、南部の温暖な気候で育ったフルーツなどが有名で、人口約5万人の島には毎年50万人以上の観光客が訪れています。

そんな自然の恵みの宝庫である佐渡の食材を活かした料理を、東京にいながらにして味わえるのが「佐渡保存」です。

古民家のような店内からは、忙しさに追われる日々に余白を与えてくれる温かい雰囲気が感じられ、故郷に帰ってきたような懐かしさに包まれます。

今回は、佐渡保存の代表・武田俊さんに、佐渡島の料理の魅力やお店を始めたきっかけについてお聞きしました。

時間をかけて味わいたい 佐渡産にこだわった料理の数々

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線の清澄白河駅から徒歩7分。深川資料館通りから一本入った住宅街に溶け込むように佇む「佐渡保存」。店の中に入ると、ところどころに飾られた草花や佐渡産の加工品が並べられた棚が目に入ります。

ボリュームのあるご飯からデザートまでメニューが充実

「佐渡保存」のテーマは、新潟・佐渡島の食の魅力を伝えること。

食材の宝庫である佐渡島のよさがわかる、伝統的な料理を食べてもらいたいんです」という武田さんの思いが込められた料理がそろいます。

「いろいろな料理が小鉢に入って並ぶ、佐渡の食卓の雰囲気を出しています。お皿の統一感がないというのも田舎料理の特徴なんですよ。いくつか佐渡から持ち帰った食器も用意しています」

希少なお米「クラシックコシヒカリ」の塩むすびに感動!

「佐渡保存」には佐渡産の食材を使ったメニューがいっぱい。取り寄せる食材はお米やアスパラガス、佐渡番茶、みかん、いちじくなどさまざま。メニューは旬の食材の調達に合わせて内容が替わります。

今回は看板メニューの「佐渡島のみかん農家の生姜焼きと塩むすび(佐渡番茶付き)」を注文しました。

おばんざいも魅力的ですが、何よりも注目したいのは塩むすび。「クラシックコシヒカリ」という希少な銘柄のお米が使われており、都内で食べられるお店はあまり聞いたことがありません。

「今出回っているコシヒカリは品種改良されたものがほとんどです。お店で出しているコシヒカリは品種改良前の従来型コシヒカリ100%で、自然に飛んでいるトキに配慮して少ない農薬で育てています。従来型コシヒカリを栽培する農家は新潟県に1%程しかいないんですよ。貴重なお米を是非味わってほしいです

素材の味をゆっくり味わいたいおばんざいと塩むすびのセット

提供されたお料理プレートがこちら。ふっくらと握られた塩むすびを頬張ると、程よく効いた佐渡産の塩と一緒に、おばんざいを引き立ててくれる優しい味わいを感じます。お米に甘みがあり、口の中で一粒一粒の食感を楽しめる塩むすびは、主役級のおいしさでした。

おばんざいは、佐渡島産のみかんで作られたジャムを使った、脂身までさっぱり感じる生姜焼きがメイン。いご草という海藻で作られた新潟の郷土食「いごねり」は、こんにゃくよりも歯切れのよい食感がクセになる味。噛むと磯の香りがふわりと漂い、酢味噌のさっぱりした味付けの中に海藻の豊かな風味が感じられます。

佐渡島産のみかんを使用したジャムは購入も可能

お茶の風味と食感が楽しい「佐渡番茶白玉あんみつ」

食後のデザートは「佐渡番茶白玉あんみつ」をオーダー。

すっきりとした後味の佐渡番茶は、本来玉露にする一番茶もブレンドされているため風味が豊か。その茶葉を粉砕し練り込んで作られた白玉は、粒立ちのいい食感が心地のいいアクセントになっています。器の底には佐渡番茶の寒天とゼリーが敷きつめられていて、黒蜜との相性が抜群です。

他にも、デザートメニューには白玉がのった佐渡番茶プリン、佐渡島産の柿やいちじくを使った自家製ジャムを添えたアイスクリームなどがありました。

自然に恵まれた佐渡島の食材をたっぷりと使用した料理やデザートは格別の味。普段の忙しさから離れ、落ち着いた店内で料理を味わう時間は、自分のからだと心が喜んでいるように感じられ、ほっとするひとときでした。

お店の立ち上げのきっかけは佐渡島の祖母の味

色彩のコントラストが美しい佐渡の田園風景(画像提供:佐渡保存)

「佐渡保存」をオープンしてから約7ヶ月。今では大勢のお客さんに愛される人気店になっています。立ち上げのきっかけは、佐渡島に住む武田さんの祖母の手料理でした。

「小さい頃よく食べた、祖母が作る佐渡料理が記憶に残っているんです」

その味が忘れられず、魅力あふれる佐渡島産の食材を多くの人に知ってもらいたいと考えた武田さん。2018年にジャム、オイル漬け、乾物などの加工品の販売に特化したお店「hozon」をスタートさせます。

イベントで料理の準備をする武田さん(手前)(画像提供:佐渡保存)

その後、保存食のお店だけでなく佐渡島の伝統料理も知ってもらいたいという思いから、カフェの営業に移行することを決意。

オープンに向けて武田さんは、毎月佐渡の知り合いの家やお店に足を運び、その土地で食べられている料理の研究を重ねてきました。

そして2024年、佐渡産の食材を使った料理が食べられるお店「佐渡保存」がオープンします。お店で出しているメニューは、武田さんの祖母と、現地の家庭からヒントを得て考えられた佐渡島の味そのものです。

「店名に”保存”とつけたのは、保存食の意味もありますが、佐渡ならではの食の魅力を広めて、佐渡の独自性を未来に残していきたいという思いを込めたかったからです。佐渡から離れた東京でも、佐渡の食文化を伝えることで佐渡の活性化に繋げられると信じています」

都会の喧騒に疲れたらほっと一息つける場所でありたい

大好きな佐渡の魅力を広めるため、佐渡島の食材を使った料理を提供する武田さん。訪れるお客さんたちにこんな思いをもっています。

「佐渡島出身者だけでなく、田舎から東京に出て頑張っている人たちを応援したいです。東京の忙しさに疲れたら、田舎の味を食べてゆっくり過ごせる場所でありたいですね」

さまざまな地域から人が集まる東京は、都会のざわめきを感じる場所。だからこそ、懐かしい故郷を思い出しながらゆっくり過ごし、明日への活力を与えてくれる「佐渡保存」のようなお店が必要なのかもしれません。

今後について武田さんは「旬の食材を使ったメニューをさらに増やしたいです。佐渡産の日本酒やクラフトビールなどのお酒を楽しめる夜の営業もしてみたいですね」と声を弾ませます。

進化を続けていく佐渡保存。佐渡島から届く季節の食材を楽しみに、一息つきに何度でも訪れたいお店です。

【店舗情報】

佐渡保存
住所:〒135-0022 東京都江東区三好2丁目13−3
アクセス:東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2出口から徒歩3分
電話:03-6873-3526
営業時間:9:00〜17:00(16:30ラストオーダー)
定休日:月・火 おすすめメニューや最新情報はInstagramをご確認ください。

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この記事を書いた人

岸野 真利英

北海道旭川市出身、東京在住で、バリスタをする傍ら2人の子供を育てるママライターです。周りは自然や公園が多く、下町文化の中に新しいカフェも点在しています。素敵なお店や地域の魅力をシェアできたら嬉しいです。北海道に帰省する際は、地元の情報も発信していきますね!夢はライターをしながら北海道と東京の2拠点生活を実現することです。

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