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フード  |    2024.11.15

老舗和菓子屋『御菓子司 清月』で味わう、かながわの名産100選『よねまんじゅう』の魅力|神奈川県横浜市

神奈川県には、「かながわの名産100選」があるのをご存知ですか?

かながわの名産100選は、観光振興に寄与することを目的とした取り組みです。団体や県民からの推薦のもと、”神奈川県の名産品”を県が選定し、県内外に発信しています。

「よねまんじゅう」も選定品のひとつ。今回は、よねまんじゅうを製造・販売している「御菓子司 清月(おんかしつかさ せいげつ)」にお邪魔しました。よねまんじゅうの歴史や魅力をお届けします。

地元民に親しまれている老舗の和菓子屋「御菓子司 清月」

ご対応いただいた店主の田村さん(手前)と奥様(奥)

御菓子司 清月(以下、清月)は、明治43年創業の老舗和菓子屋。現在は4代目の店主がお店を切り盛りしています。老舗の味を守るだけでなく、現代人の味覚に合わせた商品の開発にも積極的に取り組んでいるのが清月の特徴です。

御菓子司 清月の外観

清月があるのは、JR鶴見駅から徒歩5分ほどの場所。「いつ見ても月はきれいだ」というメッセージのもと店主がデザインした藍色ののれんが目印です。入口に扉はありません。オープンな雰囲気のため、ふらっと気軽に立ち寄れます。

ハロウィンの期間には、かわいらしい看板も!

思わず目移りしてしまう和菓子

陳列されている和菓子の一部
多くのファンがいるビスコッティ

店内には、たくさんの和菓子が陳列されています。和洋折衷なものからかわいらしいものまで、バラエティに富んだラインアップ。どれを購入しようか迷ったときは、店主やスタッフさんに相談してみてください。希望や好みに合ったものをおすすめしてくれます。

地域に根付いたお店だからこその繋がり

100歳の常連さんが手作りして持ってきてくれるという「寿つまようじ」
ひと袋に2枚のシャツと計6本の爪楊枝が入っています

清月のショーケースに置かれている「寿つまようじ」は、100歳の常連さんが作って持ってきてくれているそう。丁寧に折られた折り紙のシャツに爪楊枝が入っています。お買い物の際に、ひとつ手に取ってみてください。いろいろな柄から好みのものを選べます。

持ち帰り用の紙袋にも注目!

清月ののれんに記載された店名の文字は、横浜生まれの俳人・俳画家 飯田九一氏による書です。紙袋には、同氏の「御菓子司 清月」「京浜つるみ駅前大通り」という書とともに、俳句が記載されています。

持ち帰り用の紙袋

どんな俳句なのか知りたい方は、紙袋をチェック。どこかに答えが記載されています。清月で買い物をして紙袋を受け取ったら、ぜひ探してみてください。

かながわの名産100選「よねまんじゅう」の歴史

よねまんじゅう:1個90円(税込)

民謡『お江戸日本橋』で唄われていたり、『眠狂四郎』シリーズに登場したりする銘菓「よねまんじゅう」。実は鶴見の発祥ではありません。

一説によると、よねまんじゅうは浅草待乳山の下で鶴屋の娘 よねが売りはじめたもの。よねまんじゅうを売るお店は鶴見橋の袂に40軒もあったとされ、元禄から享保年間ごろまでは江戸の銘菓とされていました。

その後、”初手一口は餡がなし”とされるほどの分厚いお餅で塩あんを包んだよねまんじゅうは、安さと腹持ちのよさが支持され、東海道を往来する旅人や駕籠かきで賑わう鶴見で親しまれるようになります。竹籠に詰めて売られていたことから、お土産としても高い人気を得ました。

しかし、明治5年の鉄道の開通によって旅人が激減。次第によねまんじゅうは姿を消します。

現代のよねまんじゅうは、小ぶりで食べやすい上品な和菓子にアレンジされています。

一度姿を消したよねまんじゅうが完全復活を遂げたのは昭和57年のこと。清月3代目 田村ひろじさんが、鶴見菓子商工業協同組合の30周年記念事業として復活させました。

昭和生まれのよねまんじゅうは、江戸時代のものを現代風にアレンジ。俵型で食べやすく、甘さ控えめのあんを羽二重餅に包んだ上品な和菓子として生まれ変わりました。小ぶりなことに加え、1個90円(税込)という手に取りやすい価格から老若男女を問わず愛されています。

お土産にぴったりな箱入りやセットも販売されています

「よねまんじゅう」のやわらかくて上品な甘さに舌つづみ

よねまんじゅうはお茶請けにぴったりな和菓子

よねまんじゅうを手に取って、まず驚くのが赤ちゃんのほっぺのようなやわらかさと弾力。実際にいただいてみると、菓子切りで切ったり、爪楊枝で持ち上げたりしても崩れない絶妙なかたさともちっとした食感です。歯切れの良さも相まって、とても食べやすく仕立てられています。

一般的なお饅頭とは似て非なる食感

ひと口食べると、口の中で羽二重餅が溶けると同時にやさしい甘さと素材の風味が一気に広がります。後味の余韻は短く、とても上品な味わいです。シンプルでありながら奥深く、何個でも食べられます。お茶請けやおやつとして、家に常備しておきたくなります。

よねまんじゅうの味は3種類

3種類のよねまんじゅう

よねまんじゅうは、こしあん・白あん・梅あん、3つの味があります。価格はどれも1個90円(税込)です。素材の風味を最大限活かした3種類のよねまんじゅうは、”上品”という特徴はそのまま、まったく異なる味を楽しめます。

店主曰く、白あんはフルーツと一緒に食べるのもおすすめとのこと。いちじくや柑橘類など、すっぱいものや果汁の多いフルーツが合うそうです。

爽やかな梅あんは、コアなファンが多いひと品

御菓子司 清月でおすすめの和菓子

よねまんじゅうだけでなく、さまざま和菓子を販売している清月。ここでは、よねまんじゅうと一緒に購入したいおすすめの和菓子をご紹介します。

御目出鯛(おめでたい)

御目出鯛:520円(税込)、箱入り550円(税込)

「御目出鯛」は、こしあんと粒栗をフランス産のバターをたっぷりと混ぜ込んだ生地で包んで焼き上げた和洋折衷なお菓子。お祝い事やお土産としておすすめです。敬老の日には配られたこともあるそう。おめでたいときにみんなで食べたいお菓子です。

外箱は店主の娘さんによるデザイン。ポップでかわいらしいイラストが素敵ですよね。

鯛の形をしていて縁起を担げそうな御目出鯛
ぎゅっと詰め込まれたこしあんと大きな粒栗

御目出鯛はかなりの重量級。こしあんと粒栗が贅沢に詰め込まれています。こしあん好きにはたまりません。「包丁で半分に切って、断面を楽しんでもらえたら」と店主がおすすめしてくれました。美しい断面を見るとわかる通り、どこを食べてもおいしい御目出鯛は、シェアして食べるのにもぴったりです。

ビスコッティ

プレーン、ショコラ:各200円(税込)

清月で唯一の洋菓子「ビスコッティ」は、イタリアの伝統的な焼き菓子。イタリアン料理のシェフ、山田宏巳氏のレシピをもとに作られています。イタリア好きな店主が友人に向けて焼いたところ、好評だったことから販売を開始。和菓子屋である清月がレギュラー商品として販売を続けるほど、多くのファンを獲得するに至っています。

イタリア人のお客さんも絶賛

ビスコッティは、二度焼きによって非常に固く仕上がっています。歯を痛めてしまわないよう、コーヒーや紅茶などに浸しながら食べましょう。店主によると、イタリアの中部では、ヴィン・サント(聖なるワイン)というちょっと甘い赤ワインにつけて食後に食べるようです。

筆者のおすすめは、プレーンのビスコッティとブラックコーヒーの組み合わせ。ティラミスのような味を楽しめます。

鶴見の名店「御菓子司 清月」のよねまんじゅうを食べてみよう

かながわの名産100選に選出されている「よねまんじゅう」は、清月にて購入できます。地元民から親しまれているよねまんじゅうは、横浜土産としても喜ばれるひと品です。お近くにお立ち寄りの際に、ぜひ清月を覗いてみてください。

御菓子司 清月

  • 住所|神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4丁目28‐18
  • 電話番号|045-501-2877
  • FAX|045-501-2875
  • 営業時間|9:00~18:00
  • 定休日|日曜日、祝日
  • アクセス|JR鶴見駅 徒歩約5分
  • リンク|公式オンラインショップ

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この記事を書いた人

大橋とおる

【神奈川県公認Mediallライター】 東京都出身。関西出身の両親の影響でたまに出てしまう方言が玉に瑕。旅行と音楽が大好きなWEBライターです。Mediallを通じて、「久しぶりに地元に帰ってみよう」「週末に出かけてみよう」など、読者の皆さまの行動に繋がる地域の魅力を発信します!

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