
小田急線・京王井の頭線の下北沢駅から下北沢南口商店街を進んだ先の六又路近くにあるクラフトビールとハードサイダーの専門店「北沢小西」。国内外300種類以上の銘柄と有料試飲(角打ち)も楽しめるスタイルは、今では多くのクラフトビールファンが訪れる場所となっています。
2025年で創業93年となるこのお店は、11年前に販売の主力をクラフトビールに転換しました。クラフトビールのどのようなところに魅了されて現在までの営みが続いているのか、店主である三代目の倉嶋太一さん恵美さんご夫妻にうかがいました。


酒屋を継ぐことで出会ったクラフトビール
――「小西」という屋号の酒屋は、江戸時代から始まる由緒ある老舗店舗です。北沢小西は1931年に「青山小西」で修業した先々代がのれん分けで創業したお店だそうですが、クラフトビール専門店へと転換していったキッカケは?
(恵美さん)私たちが結婚した当時は太一さんが会社員で、嫁の私とおかあさんと二人でお店を切り盛りしていました。2003年には酒類販売免許の自由化でスーパーやコンビニがお酒の販売でライバルとなったこともあり、お嫁に来る時から「酒屋は大変だから継がなくていい」と言われていたんです。けれど酒屋を閉めてケーキ屋さんに場所を貸す話が進んだ時に、間に入っている親戚の税理士さんからおかあさんは「本当は人に貸したくない」と思っていると聞かされて。私が一念発起してワインショップに転換したものの一年を通じて安定した売り上げにはならない。やっぱりビールかな?と太一さんが並行して休みの日にイベントを自分でやり、ビアフェスなどに情報を集めに行ってくれる中で「クラフトビール」に出会って、これでやっていこうと二人で決めました。

クラフトビールならではの、業界とファンのコミュニティ
――当時は販売店も少なく先見の明があったとはいえ、今までの酒屋さんの仕入れや販売のやり方とは勝手が違って大変だったのではないですか?
(太一さん)自分なりに動き回る中で、出向いた先の方がとても協力的に「一緒に盛り上げていきましょう」と歓迎してくれたことが大きかったです。同業者では東京府中の「ビアハウスケン」さん、ブルワリーでは山梨の「FAR YEAST BREWING」さん、大阪の「箕面ビール」さんにお世話になりました。
ケンさんには「仕入れのやり方が分からなければ聞いて下さい」とか、箕面ビールさんには「少量の発注ですみません」と伝えると「クラフトビールとはそういうものです」と逆に励まされたこともありましたね。FAR YEAST BREWINGさんは大手デパート向けに紅白のラベルが素敵なKAGUAを卸していました。そのKAGUAとの出会いは販売から1年もしない初期の頃で、当時からイベントに誘って下さり大変お世話になりました。

(恵美さん)それまでは、お酒はメーカーにお願いして卸してもらうもの、同業者は家族ではないから商売を教えあう相手ではないと言われてきただけに、作り手も売り手もみんながフラットで「一緒に盛り上げていく」という世界がとても新鮮で。実は私は日本酒とビールは苦手だけど、これならいけると感じました。
そして、クラフトビールを取り扱ってからの助けとなったのがお客さんです。クラフトビールの世界はマニアといえるほど詳しいお客さんがたくさんいます。お勧めで仕入れた銘柄を求めて、新しいお客さんが買いに来られることがいっぱいありました。お客さんに教えられてクラフトビールの楽しさを知って、これまでやってこられたと思います。

北沢小西でビール選びに迷ったら
――業界の方とお客さんの両方からお店を盛り上げてもらった結果、国内外300種類以上の品揃えが実現したんですね。私もお店の有料試飲(角打ち)で楽しませてもらっています。初めてのお客さんだと種類が多くて持ち帰るにしても店内で飲むにしても何を買うか迷ってしまいそうですが、そんな時はお客さんに対してどうしていますか?

(恵美さん)選ぶのに迷っているお客さんに対して、私は気になって手に取ったビールがどんな場所や作り手によって醸造されているかのストーリーを伝えて、それに共感したら飲んでみたらとお勧めしています。
(太一さん)今は国内のビールだけでも多くの種類がありますが、欧米のビールもお勧めです。特にアメリカは国内のブルワーも修行し影響を受けているクラフトビールの先進地。今は円安で値が張りますが、小口の航空便で取り寄せるため話題のビールをよいコンディションで販売しています。味わいのイメージが掴めているなら個性のあるアメリカのビールも是非挑戦してみてください。
北沢小西の楽しい有料試飲(角打ち)

北沢小西では有料試飲(角打ち)が可能です。1名から4名までのグループで、開店から21時まで試飲が楽しめます。16時までは商品代のみの抜栓料なしで試飲ができ、16時以降は1本につき110円の抜栓料がかかります。また、バックヤードの貸し切りも可能で、1名から6名までのグループで利用できます。平日は15時から21時まで、休日は13時から21時まで利用でき、30分毎に550円の室料がかかります。

北沢小西では平日(火曜休/不定休あり)は14時から、土日祝日は11時から開店。休日のお昼に下北沢を散策しながら店頭の目印となるスターウォーズのキャラクターR2-D2を見つけて店内に入り、あなたの知らないクラフトビールの扉を開いてみてはいかがですか。知らなかったストーリーや新たな味わいにきっと出会えることでしょう。

【北沢小西】店舗情報
HP:https://kitazawakonishi.com/
住所:東京都世田谷区代沢5丁目28−16
TEL: 03-3421-0932
営業時間:14:00〜22:00、土曜日11:00〜22:00、日祝日 11:00〜21:00
定休日:火曜休/不定休あり