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歴史  |    2024.02.04

巨大な土偶に会える!遮光器土偶のふるさと・つがる市木造

縄文時代の土偶といえば、真っ先に遮光器土偶を想像する方も多いでしょう。

その有名な土偶が発見された場所が、青森県つがる市木造(きづくり)にあります。

遮光器土偶は国の重要文化財に指定されているので、本物は東京国立博物館に所蔵されていますが、つがる市木造周辺には、遮光器土偶にまつわる遺跡や展示、しゃこちゃんの愛称で親しまれている遮光器土偶のモチーフに出会える場所があるのです。

この記事では、私が実際に訪れた、遮光器土偶にまつわる場所を紹介します。

亀ヶ岡石器時代遺跡とは

青森県つがる市木造にある亀ヶ岡石器時代遺跡は、古十三湖の近くの台地上と低湿地に築かれた、縄文時代晩期(約3000〜2400年前)の遺跡です。

台地上からは住居跡と100基地以上のお墓、死者に供えたと考えられる土器や石器、土偶などが出土し「捨て場」とされている低湿地からも漆塗り土器や遮光器土偶などが見つかっています。

この遺跡の出土品は、江戸時代から「亀ヶ岡物」の名で知られ、多くの好事家たちが珍重し、海外にも輸出されたそう。北海道から北日本を中心とした「亀ヶ岡文化」の名称の由来にもなっています。

例の重要文化財である遮光器土偶は、1887年(明治20年)に発見されたもの。
目の部分がイヌイットなどの北方民族がかける雪メガネ(=遮光器)をかけた人の姿と言われたのが名前の由来です。

また、2021年7月「北海道・北東北の縄文遺跡群」がユネスコの世界文化遺産に登録され、亀ヶ岡石器時代遺跡もそのなかのひとつに含まれました。

巨大な土偶に会える・しゃこちゃん広場

インパクトのある巨大な遮光器土偶(石像)と会えるのが、亀ヶ岡石器時代遺跡のしゃこちゃん広場。
この石像の後方の低湿地から遮光器土偶が発見されたのです。

しゃこちゃん広場では、巨大なしゃこちゃんと写真撮影ができるほか、徒歩で土坑墓跡などの見学が可能。

さらにしゃこちゃん広場の南には、小規模ではありますが「縄文遺跡案内所」があります。
亀ヶ岡石器時代遺跡と遺跡近くにある田小屋野(たごやの)貝塚の解説やグッズなどが置いてあり、ガイドさんがいる場合は遺跡を案内してもらえますよ。

縄文住居展示資料館カルコ

遮光器土偶の精巧なレプリカや竪穴住居、津軽地域の縄文の歴史に会えるのが、1987年に開館したカルコ。

1階に大型の竪穴建物があり、その中は縄文人の家や生活を忠実に再現した模型や出土品があります。
実際に中に入ってみると、縄文人と暮らしているような、生活を等身大で体験するような感覚がしました。

重要文化財である遮光器土偶の精巧なレプリカもあり、ガラスケースの周りをぐるりと1周できます。

後ろや真横などはなかなか見る機会がないので、貴重な体験になるでしょう。

2階はつがる地域の遺跡が時系列で展示されており、縄文時代の気候や地形、出土品の変遷、中近世までの遺跡がわかる場所。

亀ヶ岡遺跡からの出土品や調査研究の歴史、日本海側では珍しい貝塚である「田小屋野貝塚」の発掘の様子や成果報告もあります。

田小屋野貝塚の展示では、出土したヤマトシジミなどの貝や魚類、海獣類の骨、それを獲る際に使った道具類、地域の特色である円筒土器などの出土品が見られるほか、珍しい成人女性の人骨まで見られます。

また、ミュージアムショップでは、オリジナルTシャツなどのおしゃれな縄文グッズが。
もし木造でどこか一箇所だけ行くとしたら、カルコがおすすめですよ。

木造亀ヶ岡考古資料室

しゃこちゃん広場から車で約6分。
木造亀ヶ岡考古資料室は、懐かしい雰囲気が漂う資料室です。

ここでは亀ヶ岡石器時代遺跡から出土した、個人寄託の土器や石器などを展示。
例えば、植物が入った縄文土器や赤漆が塗られた器、土偶、丸い玉を作るときに用いる玉砥石(たまといし)などの出土品が見られます。

巨大しゃこちゃんの駅舎やお菓子

のどかな雰囲気の商店街に突如あらわれる巨大遮光器土偶。
町の有名スポットでもありますが、実はJR五能線の駅「木造駅」なんです。
目を点滅させて電車の発着をお知らせする「いらっしゃいビーム」でお出迎えしてくれるそうですよ。

また、駅の近くにある「當麻(たいま)菓子舗」では、しゃこちゃんのケーキやサブレ、どら焼きなどお菓子のしゃこちゃんを楽しめます。

町中で愛されるしゃこちゃんなのですね。

まとめ〜縄文好きは遮光器土偶のふるさとへおいで〜

かの有名な遮光器土偶のふるさと、つがる市木造。

遮光器土偶の本物は東京にいるので、物足りなさを感じる方もいるかもしれませんが、貴重な出土品は他にもたくさんありますし、ここで縄文人がどんな暮らしをしていたのか想像するのも楽しいですよ。

ぜひ、のどかな場所で縄文を味わってみてくださいね。
(それぞれの遺跡や博物館の距離が離れているため、車での移動をおすすめします)

縄文遺跡案内所の情報

住所 青森県つがる市木造館岡稲元176
問い合わせ先 0173-49-1194(つがる市教育委員会文化財課)
開館時間 常時開館(4〜11月のみ)

縄文住居展示資料室カルコの情報

所在地 青森県つがる市木造若緑59-1
電話 0713-42-6490
開館時間 9:00〜16:00
休館日 月曜日、祝日の翌日、年末年始

木造亀ヶ岡考古資料室の情報

住所 青森県つがる市木造館岡屏風山195
電話 0173-45-3540
開館時間 9:00〜16:00
休館日 月曜日、祝日の翌日、年末年始

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この記事を書いた人

くるみ

京都府在住、歴史が得意な5児子育て中ライター。Webライティング・ブログ・Kindle執筆を中心に活動しています。得意ジャンルは、歴史とWeb3。歴史の勉強、読書、神社仏閣や遺跡、博物館巡りが好き。秋田県に生まれ育ち、大学進学を機に関西へ。京都といえども雅な古都ではない、一味違う京都府の魅力&ふるさと東北の魅力をお伝えします。

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