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スポット  |    2025.07.09

山間なのに塩湯の温泉!?ゆのまえ温泉湯楽里のミステリー

宮崎県に面している熊本県の湯前(ゆのまえ)町。 

山々に囲まれた湯前町では海に面していないにもかかわらず、塩分を含んだ温泉が湧き出ており、長年この地方の神秘のひとつとして語り継がれてきました。 

ですが、この一年で科学的解明も進んでおり、そんな神秘のミステリーの裏側が注目を集めるようになってきたのです。 

今回は、そんな塩湯の温泉に入浴できる「ゆのまえ温泉湯楽里」の支配人である渋谷さんと、経営アドバイザーである黒澤さんに、塩湯の謎についてお伺いしてきました。 

地下水脈で宮崎の海岸とつながる神社!?

渋谷さんと黒澤さんによると、湯楽里の温泉は近隣にある潮神社と呼ばれる神社の近くから源泉をひいているとのこと。 

ユニークなのが、この潮神社。名前だけなら、海の近くにある神社のようにも聞こえます。 

ですが、実際には潮神社から一番近い宮崎県内の海でも車で2時間弱と、海の近くにはありません。では、なぜこんな名前なのかというと、潮神社の裏にある潮井戸の水には、山間にもかかわらず塩分が含まれていたから。 

今でも、潮井戸のそばには「地下水脈で宮崎の日南海岸とつながっていると伝えられており、それが潮神社の名前の由来になった」という伝承に関する看板が立てられています。 

また、湯楽里の温泉はこの近くから源泉をひいていますが、渋谷さんや黒澤さんによると、昔からこの地方では塩湯が湧出すること自体は知られており、湯治に訪ねる方も多かったそうです。 

熊本県内でも山間にある湯前町で塩湯が沸くことは知られていながら、「それがなぜ沸くのか?」については長年言い伝えレベルのミステリーのままだったと言えます。 

塩湯が沸くのは海岸とつながっているためではない? 

そんな言い伝えもあった湯楽里の塩湯。 

実は、この数か月で「なぜ山間の湯前町で塩湯が沸くのか?」について科学的解明が進んできており、ようやく多くの人にその理由が知られるようになってきました。 

その理由は、潮神社の言い伝え通り、今の地下水が宮崎の海に繋がっているから…ではありませんでした。今、湯楽里で沸いている塩湯はかつての太古の海水だったのです! 

簡単に言えば、大昔に大陸プレートの下に海洋プレートが潜り込むように沈んでいくとき、海水が一緒に押し込められ、それが地表に沸きだしたもの。それが今の湯楽里に湧出している塩湯なのです。 

こうした科学的な解明が進んだのは、実は2025年に入ってから。まだほんの数か月しか経っていません。 

そのため、最近では『化石海水型温泉 湯楽里のなぞ』と題して、湯前町のなかでも講演会などが開催されています。 

詳しくは公式Instagramでも紹介されているので、ご興味のある方はぜひご覧ください! 

長年の言い伝えを経て、その神秘が科学的手段によって解明されようとしているのです。その意味では、湯楽里は今ホットなスポットだと言えます。 

なぜ塩湯の解明に至ったのか? 

ちなみに、なぜこうした塩湯の背景の解明に至ったのかお伺いしたところ、地元の地質学の先生からの助言があったり、たまたまほかの研究で湯前町にいらしていた専門家の方から「湯楽里の温泉の成分が有馬温泉の泉質に似ている」といったお声があったからだそう。 

有馬温泉も海洋プレートに由来する温泉が沸き出る温泉地。こうした声を踏まえて調査に入ったところ、塩湯の原因解明に至ったとのことです。 

もともと湯楽里側でも、潮神社の近くから源泉を引いており、塩湯で湯治されていたなどの言い伝えがあることも知られていたことから、塩湯が沸くこと自体は不思議に思われなかったそうです。 

ですが、その背景について言い伝え以上のことは知られておらず、こうしていろいろな方の手を経ることで解明にいたりました。 

ただ、これはあくまで湯楽里の源泉に関する研究結果です。潮神社の潮井戸は伝承通り、本当に宮崎の海と地下でつながっている…なんてこともあるかもしれませんね! 

湯楽里は立ち寄り温泉から宿泊まで! 

こうした背景で湧出している神秘の温泉「ゆのまえ温泉湯楽里」。 

宿泊施設としても利用できますが、立ち寄りでの温泉利用もできます。 

黒澤さんによると、湯楽里のように太古の海水が長い時間をかけて温泉化した「古代の湯」は、全国的にも非常に珍しいものだとのこと。

湯楽里の立ち寄り温泉では、大浴場はもちろん、露天風呂に檜風呂、サウナなど充実の設備が整っているので、湯前町を訪ねたらぜひ立ち寄ってみてください。

太古のロマンを感じながら入浴する温泉は、 ほかでは味わえない体験となることでしょう。

ゆのまえ温泉 湯楽里

〒868-0623 熊本県球磨郡湯前町1588番地7 
電話番号:0966-43-4126 
定休日: 毎月第2・第4月曜日 
公式サイト:https://www.y-yurari.co.jp/ 
営業時間 
 (一般) 午前10時~午後9時30分受付(午後10時迄)     
 (家族湯) 午前10時~午後8時30分受付(午後9時30分迄) 
 (宿泊者) 午前6時~午前8時 / 午前10時~午後9時30分受付(午後10時迄)  
入浴料  
 大人(中学生以上) 500円 
 子供(3歳以上) 300円 
 回数券(11枚綴り) 5,000円(1枚サービス) 
 家族風呂(1時間) 1,100円(30分延長毎に550円)+人数分の入浴料     
※ 家族風呂は2名から、当日のみ予約可能 

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この記事を書いた人

さるかんね?人吉球磨

熊本県公認モンバサダー|熊本県人吉球磨のグルメ・観光・イベント情報などを発信していきます! 球磨焼酎案内人 |JR肥薩線サポーター | kindleにて『初心者のための人吉観光ガイド』出版中

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