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スポット  |    2024.08.10

ジョンソンタウンを散策。地元の人が通う「@bout/Summer Cycle Cafe」とは|埼玉県入間市

埼玉県入間市にある、米軍住宅が建ち並ぶ「ジョンソンタウン」を知っていますか。

英語で書かれた標識、白い板壁が基調の家屋。歩いているだけでアメリカに来たような気分になれます。フォトジェニックな場所として、若い世代にも人気のスポットです。

戦後は、建物の老朽化や取り壊しが進み、街全体が縮小したこともあったそう。1996年ごろから「良い住宅地にしたい」という新しい街づくりの構想が掲げられ、米軍ハウスの改修や、米軍ハウスを模した新しい建物の建築など、約10年かけて街の再生が行われていきました。

今では米軍ハウスに魅了された多くのクリエイターが集まり、店舗や住宅地として70軒以上が建ち並んでいます。

歩いてるだけでも楽しいジョンソンタウン。

散策していくと、中心エリアから少し離れたところに1軒のお店があります。

@bout(アバウト)/Summer Cycle Cafe(サマーサイクルカフェ)

店内に入ると、レコードから音楽が流れていて、ゆったりとした、落ち着いた空間が広がっています。

この場所では、朝の時間帯のみオープンしている@bout(アバウト)と、ランチタイム以降オープンしているSummer Cycle Cafe(サマーサイクルカフェ)の2つのお店を楽しむことができます。

@bout(アバウト)/中嶋正己さん

朝7時~10時までオープンしているのは、コーヒーとパン、ケーキ、焼き菓子などをたのしめる@bout(アバウト)。出迎えてくれるのは、建築デザイン関連の仕事を本職として務めるオーナーの中嶋さん。店内にある、中嶋さんの英国製のスピーカーやコレクションされたレコードの数々は、音楽雑誌でも紹介されるほど。 淹れたてのコーヒーを片手に、レコードから流れてくる音楽に耳をかたむける、朝から贅沢な時間を過ごすことができます。

Summer Cycle Cafe(サマーサイクルカフェ)/夏井裕士さん

ランチタイム以降オープンしているのは、肉料理が楽しめるSummer Cycle Cafe(サマーサイクルカフェ)。飲食店経営を20年以上務める店主の夏井さん。多彩なメニューで提供する、こだわりの肉料理はどれも絶品です。実は沖縄での生活も長かった夏井さん。最近のメニューでは沖縄料理も登場したりと、幅広いメニューが楽しめます。

営業日も、料理も、その日流す音楽も、あえて何も決めないスタイルで営業するお二人。貸し切りでのワークショップなど、お店の使い方もアレンジできるそうです。

気兼ねなく、ゆっくりと過ごせる空間をつくりたい

人と話すのが好きで、お客さんとの会話を大切にされているお二人。

中嶋さんがお店にいるときは、好きな音楽の会話の流れから、好みのレコードをかけてくれることもしばしば。 ジャズ、クラシック、洋楽、邦楽とジャンルはいろいろ。レコードのことを学ぶだけでも、興味深い時間を過ごすことができます。

年齢も、出身も、職歴も異なるお二人が、今のスタイルでお店をはじめることになったきっかけをお伺いしました。

もともとはジョンソンタウン内の別の場所にあったエアストリームで、Summer Cycle Cafeを始めた夏井さん。所沢市内で肉料理専門店「ウシトコ」を経営しながら、ここで新たに始めたきっかけは、コロナ禍での生活の変化があったからだそうです。

「コロナ禍で所沢市内のお店を休まないといけない日々が続いたときに、自転車に乗ることを始めてみた。その時に初めてジョンソンタウンに行ってみると、エアストリームを見つけて、ここでもお店をやりたいと思った」(夏井さん)

自転車に乗る人たちが、気軽に立ち寄れるサイクルカフェとして始めたSummer Cycle Cafe。

メンテナンス道具やサイクルラックなど、自転車に欠かせない道具も揃ったお店です。 そこにオープン当初から常連さんとして通われていたのが、ジョンソンタウンに住んでいた中嶋さんだったようです。

本職は建築関連のデザイナーとして、日本各地にある数多くの建築や都市開発プロデュースを手掛けていらっしゃる中嶋さん。事務所兼住宅として7年前からジョンソンタウンで暮らしているそうです。

「コロナ禍のとき、在宅で仕事をしていると誰とも喋らないで一日が終わることが多かった。自分もいつかはお店をやりたいと思っていたから、夏井くんに声をかけて、ジョンソンタウン内で一緒に始めてみることにしました」(中嶋さん)

現在、お店でのケーキや焼き菓子の提供をサポートしている古玉さんも含めて、三人でお店をスタートすることにしたそうです。

コロナ禍での暮らしの変化をきっかけに始めたお店。中嶋さんは、夜中まで働き詰めだった生活リズムを一変して、朝の時間帯を受け持つことにしたそうです。

開店準備と同時に、住居の引越しやお店の移転、生活スタイルの変化など、当時の大変さを感じさせないほど、明るく振り返るお二人。

「派手にすることなく、気兼ねなく、ゆっくりと過ごせるようなコンセプトにしたかった」と話すように、お店の雰囲気はお二人の人柄そのもの。

今では、ジョンソンタウンの住人やお店に通う人たちの、居心地の良い場所となっています。

建物の良さを生かし、昔の雰囲気のままに。ジョンソンタウンでの暮らしとは

実際に、ジョンソンタウンで暮らしている中嶋さん。過去に2回、ジョンソンタウン内で引越しをし、一番古い米軍ハウスの建物と、平成ハウスと呼ばれる米軍ハウスを模して建てられた建物の両方での居住を経験したそうです。

一番古い米軍ハウスに住んでいたころの中嶋さんのご自宅。建築雑誌の表紙を飾っていました

「快適性は人によって違う。ジョンソンタウンの住居は基本的には築50~60年の古民家。でも余計な手を加えず、そのままの価値を保ちながら住むことに意味がある」と、これまで住んだどの物件も、建物の良さを生かし、昔の雰囲気を感じながら生活していたと語る中嶋さん。

古民家での暮らしは、夏は暑く、冬は寒いこともあるそう。だからこそ、風が吹けば涼しいと感じるし、太陽の暖かさを感じられるとのこと。生活のなかで起こるあらゆることを、そのまま楽しめる方たちが、ジョンソンタウンには暮らしているようです。

ちゃんと楽しみながら「変わらない」ことを続けていきたい

@boutの営業時間が終わると、自宅に戻り建築デザインの仕事を始める中嶋さん。

Summer Cycle Cafeの営業を終えると、所沢市内に移動して、自身が経営する「ウシトコ」で夜までキッチンに立つ夏井さん。それぞれ別の仕事を持ちながら、自分のライフスタイルに合うカタチでお店に立つお二人。

「今のまま変わらずに、元気で続けていければいいな。中嶋さんとか、お客さんから学ぶことはまだまだ多くて。きっとすべてを知ることはできないから、ちょっとずつ元気に、色んなことを学びながら過ごせていけたら」(夏井さん)

「今のスタイルでどこまでやっていけるかを大事にしたい。うまくいかないことがあってもすぐに変えちゃいけない。続けることが大事。うまくいったら、もう一軒別の場所でも一緒にお店を出したいな、なんて話もしているよ」(中嶋さん)

食べるために働くことよりも、遊ぶために働くことが大事だと教えてくれました。

「ちゃんと楽しまなきゃ」という想いとともに、今日もたくさんの人を迎え入れています。

型にはまらない、あえて決めないアバウトなスタイルで、ワクワクを提供しながら、これからもお店を続けていきたいそうです。

@bout/Summer Cycle Cafe

住 所:埼玉県入間市東町1-2-25

※営業日・営業時間はSNSからご確認ください。

Facebook https://www.facebook.com/about0428

Instagram https://www.instagram.com/summer_cycle_cafe/

ジョンソンタウン

住 所:埼玉県入間市東町1-6-1

駐車場:コインパーキング完備(駐車可能台数86台)

※その他の店舗情報、住宅空き情報などはHPよりご確認ください。

https://johnson-town.com

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この記事を書いた人

ハネジユキエ

沖縄出身、埼玉在住のフリーライター。30代、二児の母。ものづくり、伝統芸能、暮らしを豊かにするモノ、地域を元気にするヒト、大人からこどもまで楽しめるコトを取材しています。

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