遺跡と聞くと、どこか歴史的なロマンを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
浜松市の北部にある井伊谷(いいのや)地区は、2017年に放送された大河ドラマ「おんな城主 直虎」の井伊家ゆかりの地です。
第1話で、直虎の子供時代が描かれたシーンのロケ地となっていたのですね。
遥か昔の遠い時代にタイムスリップしたかのような感覚に陥る、パワースポットをご紹介します。
天白磐座遺跡とは
天白磐座(いわくら)遺跡は、巨岩の陰から勾玉や多数の土器などが出土し、古墳時代の祭祀(さいし)場だったことが分かっており、静岡県指定史跡になっています。
高さ約20mの丘の頂上に、40m四方に渡って群在する数十個の巨石を見ることができる神秘的なスポットです。
磐座(いわくら)とは?
そもそも、磐座とはどんな意味を持つのでしょうか?普段あまりなじみのない言葉ですよね。
磐座は、自然の中にある大きな岩や岩の群れのことで、神が降り立つとても神聖な場所とされています。
日本は古来から、自然界に存在する特定のものに、神々や超越的な力が宿るとして信仰してきました。
磐座は古代の日本人にとって、神々とつながり深い感謝や祈りを捧げる場所、そして祭祀(さいし)をすることで人々や地域社会との絆を深める重要な基盤となっていたのです。
まずは渭伊神社(いいじんじゃ)からお参りしてみよう
天白磐座遺跡は、渭伊神社を通り過ぎた奥にあります。
渭伊神社は延喜式内社(えんぎしきないしゃ)と言われ、千年以上の歴史があります。
奥浜名湖地域でも数少ない貴重な神社になり、井伊家に敬われていました。
「渭(い)」は「水が清い」という意味を持ちます。井伊谷は水が豊かに湧き出る地だったのですね。
とても美しい手水舎
手水舎に足を向けると、思わずハッと息をのむようなたたずまいがそこにはありました。
鮮やかなシダ類と思われる植物が、石造りの水鉢から豊かに垂れているのが目に入ってきて、思わず見とれてしまうような美しさです。
渭伊神社の御神木
2本の杉の木が、渭伊神社の御神木です。手前の木が、奥の天生杉に寄りかかるような形でたたずんでいます。渭伊神社の手前にあり、悠久の時を感じます。
歴史を感じさせる渭伊神社
階段が少なく、お参りしやすい位置にあり静かな環境です。
お参りが済んだら、いよいよ天白磐座遺跡へ向かいましょう。
渭伊神社から左手に進むと矢印の看板があり、木の階段を上っていきます。
遺跡まで徒歩3分くらいとそれほどきつくはないと思いますが、木の根が這っている所がありますので、スニーカーなど歩きやすい靴で来ると安心です。
神聖な雰囲気の漂う天白磐座遺跡
巨大な岩が何個も鎮座している静謐な空間は、とても荘厳な雰囲気を感じます。
静かにそこにたたずんでいると、近くを流れる神宮寺川の心地良いせせらぎの音や、ツクツクボウシの虫の声など、自然豊かな音色を聞くことができ、心が穏やかになっていくのを感じました。
筆者が訪れたのは10月の初めで気温は32度でしたが、木々に囲まれていて日差しが少なく、涼しい風が通り抜けてとても気持ちが良かったです。
祠があります。岩を這う木の根の力強い生命力を感じます。
岩の形もそれぞれ。存在だけがその歴史を静かに語るようです。
太い木の根が岩と同化したようなものもあります。
木はまっすぐに伸びて、どこか別の惑星につながっているかのように思えました。
何かスピリチュアル的なものを感じるのも、パワースポットならではの体験と言えるかもしれません。
体感温度が1~2度低く感じられ、心も体もリフレッシュできる場所です。
木々に囲まれているため、外が暗くなってくると少し怖さがあるかもしれません。
日中のお天気の良い日に行くのがおすすめです。
近くには、井伊家の菩提寺である「龍潭寺」や、後醍醐天皇の皇子である宗良親王を御祭神とした「井伊谷宮」もありますので、合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
天白磐座遺跡
住所 : 静岡県浜松市北区引佐町井伊谷1151-177
営業時間:見学自由
駐車場 :あり
アクセス:【バス】浜松駅北口バスターミナルから奥山行きバスで約1時間10分
「北神」で下車、徒歩約5分