颯爽と自転車を走らせ、ジョギングやウォーキングなども楽しめるサイクリングロードは地域の憩いの場ですね。
北海道には多くの大規模自転車道(サイクリングロード)が存在しますが、今回は札幌恵庭サイクリングロードのひとつ「白石こころーど」にあるタイルアートをご紹介します。
白石こころーどとは?
札幌恵庭サイクリングロードは、「白石こころーど」「陽だまりロード」「エルフィンロード」の3つのサイクリングロードから成り立っています。札幌市白石区東札幌にあるコンベンションセンターから、白石区を抜けて厚別区までいき、さらにJR北広島駅まで続くサイクリングロードです。
桜並木の続く通りもあり、四季折々の景色も美しく、自然を堪能できるサイクリングロードとして多くの人が利用しています。
「白石こころーど」とは、白石区間にあるサイクリングロードの愛称です。
このサイクリングロード、昔は線路だった?
「白石こころーど」は、かつて線路だった場所です。昭和48(1973)年9月に廃止されるまでは、旧国鉄千歳線がありました。近くのアサヒビール園の裏には、このように旧国鉄月寒駅跡地を偲ぶ石碑が建てられています。
その後、線路の跡地を「市民の憩いの場所にして欲しい」という区民の要望を受けて、サイクリングロードとして生まれかわったという由来があります。「白石こころーど」は地域に住む人々の想いから生まれたサイクリングロードでもあるんですね。
トンネルの中はまるで絵本の世界
「白石こころーど」のいくつかのトンネルの壁面は、まるで絵本の世界のような美しいモザイクタイルアートで彩られています。このタイルアートは、江別市出身の彫刻家原田ミドー氏監修のもと、地域住民の手によって10年以上の歳月をかけてつくられました。
かつてサイクリングロードのトンネル内には落書きが後を絶たず、防止策としてタイルアート制作がはじまったそうです。
地域住民の手によってつくられたタイルアート
実は筆者はこのタイルアート制作に、ほんの少しではありますが関わりました。町内会でお手伝いを募集していたため、2度ほど制作のお手伝いに行ったのです。制作現場には色とりどりのタイルが準備されており、その数の多さに「このタイル全部貼って作るの?」と、驚愕した覚えがあります。
小さなタイルに接着剤を塗って、トンネルの壁面に次々貼っていく作業は、思ったより重労働で大変でした。
しかし、ただの味気なかったコンクリートの壁が、タイルが組み合わさることで、一つの美しいアートになっていく様は圧巻でした。また、サイクリングロードを走っていた親子が何をしているのだろうと近づいてきて、飛び入りでタイルアート制作に関わることもあり、「芸術って人をつなぐんだなぁ」と、感動を覚えたものです。
タイルアートは「白石こころーど」だけではなく、他のサイクリングロードにも存在し、中には小学校や中学校の生徒たちが協力してつくられたものもあります。
地域に住む人の手によりつくられるアートの世界。なんだかとても素敵だと思いませんか。
いつの時代にも、その地域に住む人たちの生活を豊かにしたいという先人たちの願いが、何かの形を創り出していきます。
「白石こころーど」をサイクリングするときには、ぜひトンネル内のタイルアートに注目してみてください。タイルアートを創り上げた一人一人の思いに、きっと触れることができます。
参考:白石区役所HP
【白石こころーどMAP】