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もの・こと  |    2023.09.15

江ノ島で地曳網体験〜片瀬西浜で140年7代目 地曳網 殿網〜

藤沢片瀬海岸で地曳網を体験できるのご存知でしたか??

体験できるのが、地曳網 殿網

首都圏でもっともアクセスの良い海水浴場のひとつである片瀬西浜海岸。

ここで地曳網体験ができます!

体験型ビーチレクレーションの中でも、特に満足度が高いとされる地曳網。

今回は創業140年、立地・アクセスも随一、殿網をご紹介します。

地曳網って?

地曳網(ぢびきあみ)漁という、代表的な漁業技術での漁を指します。

古くは、紀伊国(和歌山県)で盛んに行われていたそうです。和歌山県の入り組んだ海岸の砂浜では、村人や漁師の集団によって、小規模な地曳網漁が行われていました。

漁法は、陸岸を拠点にして海の沖合に網を張りまわし、網の両端に付けた引き網を引き、浜辺に引き揚げるもの。

みんなで網を揚げています

地曳網漁は多くの人手と資金がかかるため、豊漁であれば一攫千金を期待できるものの、常に漁があるとは限りません。
そのため、豊富な資金力と必要時のみ動員できる労働力が確保できる地域(海から近い場所に田園がある千葉九十九里など)で、特に発展した歴史があります。

回遊魚が豊富な時代は盛んに行われた地曳網漁も、工場や生活排水からの漁場汚染による回遊魚の減少や、沖合船引網漁の発展により衰退しました。

現代では、観光客(団体向け)地曳網として残されています。大勢の人手が必要なのは、今も昔も変わりません。

片瀬西浜での地曳網

昭和30年代には、地曵網はすでに「観光地曵網」として残されます。

片瀬海岸での地曳網の網元は、代表的な3件「西網」、「殿網」、「マルス」の網元が行っていました。この3件の他にも、ずらっと立ち並んでいたのだとか。

20年前には、代表的な3件を残すのみとなります。

現在では「殿網」だけとなりました。

殿網の歴史

藤沢市史によると、江戸時代末期から操業されていたそうです。

浮世絵も残っています。引用:http://tonoami.co.jp/caution/index.html

基本的に、屋号継承は血族内のみ。いわゆる世襲でした。

現在7代目にあたります。今年で13年目に入ります。

実は7代目は、血族ではないそうです。ではなぜ、始めることができたのでしょうか?

それは、知人の声掛けがあったため。

声を掛けられたきっかけは、継続してやり続けられる方が居なかったことでした。

事業としての採算が合わない、漁業組合と折り合いがつかないなどで、数ヶ月で辞めてしまう方が続出していたのだとか。

そこへ奮い立ったのが7代目。なぜ、”継続”出来ているのか?人物像に迫ります。

殿網7代目のプロフィール

株式会社 殿網 代表取締役 秋田光聖さん。

殿網 事務所内で撮影。

大学時代、ライフセービングチームのキャプテンとしてご活躍していた秋田さん。

大学を卒業するにあたり、夢中だったサーフィンをレベルアップしたくて、単身ワーキングホリデーで1年間オーストラリアへ渡ります。

一旦帰国後、学生ビザで2年間、再度オーストラリアへ。それこそ365日サーフィンする生活を送ります。

オーストラリアで卒業後、就労ビザを取得され、現地で就職します。オーストラリア国内で、当時最大の大手サーフショップに就職。
4年間勤めた間で、サーフボードのトップセールスを記録し、地元新聞に取り上げられたこともあるほど。
「日本人」であるのも、非常に珍しいことだったそうです。

そのままオーストラリアで永住を望むも、大手サーフショップはリーマンショックで倒産。

仕方なく帰国されました。すぐに就職先を探し、飲食業界へ転身されます。

就職先は飲食業界でも幅広く展開をされている会社でした。そこで学んだものも大きかったと、現在では感じるのだそうです。

その後、知人からの声掛けで、地曵網で生計を立てることを決心されます。

創業当初3年間は採算も合わず、ましてや子育ての真っ最中でもあった秋田家。非常に苦労なさったと伺いました。4期目から軌道に乗せることができたそうです。

秋田さんのお話からうかがい知ることができたのが次の2点でした。

  • 観光地曵網を事業として成立させるには、並々ならぬ苦労があった
  • その苦労に立ち向かえるバイタリティーを持ち合わせていないと、達成できない

また、御本人の性格として「他人が出来ないことをやってのける」ことで、達成感を得られる性分であったことも、深く関係しているのでしょう。

殿網で楽しめること

話を地曵網に戻します。

その昔、お殿様へ魚を献上していたことが由来となっている「殿網」。

獲れる魚は季節によって様々です。春から初夏はイワシ類、梅雨頃はイカ、冬場はハマチなどが獲れるのだそうです。

ここでの地曳網は、以下が楽しめます。※要予約

  • 目の前に緑の江の島、西側には勇壮な富士山を望める
  • 伝統漁法を抜群なロケーションで体験
  • ビーチでのドリンク&バーベキュー

贅沢な時間を楽しむとは、まさにこれを言うのでしょう☆

殿網を利用されるお客さんは、その多くが会社の福利厚生での利用だそうです。

特筆すべきは、福利厚生としての満足度の高さではないでしょうか?

それとご一緒に参加する家族全員が楽しめること。

お腹が空いたらBBQで飲んだり食べたり。地曵網で獲れたてのお魚と戯れ、実際に食べることもできます。

朝から夕方まで、一日を通して片瀬西浜を楽しむことができるのが、地曵網 殿網の醍醐味と言えるでしょう。

いざ、地曳網!

あらかじめある程度引き揚げます。
網が見えてきました。
網の中には魚がいっぱい!!
江ノ島が間近に見える抜群のロケーション。
獲れた魚は氷で鮮度を保ちます。
この日は大漁で、大人も子供も喜んでいました。

お魚はBBQで食べるも良し持ち帰るも良しです。浜辺での一日を満足に過ごせるのではないでしょうか。

まとめ

地曳網は、歴史も古い伝統的漁法です。

現代では「自分達で引き上げた網で獲れたお魚を手に出来る」ビーチアクティビティとして残されています。

必ず大漁とは限らない自然相手で、ロマンを求め、網を引く。

みんなで力を合わせて網を引く団結感網を上げるまでの期待感などは、昔の人も抱いた感情ではないかと推測できます。

地曳網 殿網では、日本の漁業の歴史を噛み締めつつ、絶好のロケーションと海の幸を味わえます。

楽しみながら、歴史と自然を感じることが可能なのです。

団体での予約が必須ですが、現在では人が集まることに制約がなくなりつつあります。

ぜひ、片瀬海岸で地曳網を体験してください!!

アクセス

住所:神奈川県藤沢市片瀬海岸3丁目26-15
小田急江ノ島線 「片瀬江ノ島駅」徒歩8分
江ノ島電鉄線 「湘南海岸公園駅」徒歩10分
※専用の駐車場はございません。周辺の有料駐車場をご利用ください

地曵網のご案内、予約方法などは殿網ホームページをご参照ください。

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この記事を書いた人

TomokazuYamaoka

湘南に移住し3年。 コミュティに馴染み、つながり、地域のオンリーワン・ナンバーワンを執筆させて頂いております。 いち早く良好なコミュニケーションを築きあげるのが得意。 "取材"の概念より、もう一歩踏み込む「ここでしか聞けない話」を記事にするのがモットーです。 太い"サーフィンつながり"は、余すことなく駆使します。 また、料理経験で舌が肥えました。 能登半島への思いを込めて、能登&加賀料理作りました。

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