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もの・こと  |    2024.07.17

新1万円札の顔「渋沢栄一」ゆかりの地|岡山県井原市

20年ぶりとなる新紙幣の発行が今月3日から始まりました。新1万円札の顔となったのは、日本資本主義の父と呼ばれ、約500の企業の創設に関わった渋沢栄一。主人公となったNHK大河ドラマ「青天を衝け」では、高い志を持って未来を切り開いた生涯が生き生きと描かれ、偉人・渋沢栄一の理念と功績に大きな注目が集まりました。

©深谷市

その渋沢栄一と深い関わりがある場所の一つが、なだらかな山々に囲まれた農山村地帯である井原市です。一橋家の有志により設立された郷校「興譲館」(現興譲館高)は、農兵を集めるという命を受け同市を訪れた渋沢栄一が、初代館長の阪谷朗廬(ろうろ)と親交を深めたゆかりの地。農兵の募集では大成功をおさめ、15代将軍の慶喜に認められました。まさに、井原は栄一にとって世に出るきっかけとなった地でした。

校門に掲げられている「興譲館」の扁額(へんがく)は、栄一が明治45年(1912)に書いたもの。また、渋沢栄一が朗廬と面会したとされる興譲館講堂は、現在でも当時のまま残っています。

後に、栄一の次女琴子は朗廬の息子阪谷芳郎と結ばれ、井原とのご縁が続きます。ぜひ偉人の功績に想いを馳せながら、井原市を巡ってみてくださいね。

興譲館高等学校

所在地 :岡山県井原市西江原町2257-1
電話  :0866-62-0124(講堂の中の見学は事前に要相談 )
定休日 :なし(校門および講堂外観はいつでも見学可)
HP    :https://www.kojokan-h.ed.jp/index.html

「藍」つながり?藍染織物から井原デニムへ

サッカー日本代表のユニホームの色「サムライブルー」。国旗の色にはない青色が、日本代表のユニホームに採用されたいきさつには、渋沢ゆかりの藍色がかかわっているのだとか。渋沢家は藍玉(発酵させた藍の葉を乾燥させて固めた染料)をつくる農家でした。栄一の商才は、「藍」から始まったのです。

一方、天領であった井原市も古くから綿花や藍の栽培が盛んで、染物に適したきれいな水が豊富にあったことから、藍染織物の産地として発展しました。明治〜大正時代に入ると自動織機を導入した織物会社が設立され「備中小倉」として大量に生産されるようになり、いまにつながる国産デニムの生産の中心地へと成長していきます。

©岡山県観光連盟

井原デニム発信拠点として、井原駅構内に設けられている井原デニムストア。井原デニムを使用したジーンズやスーツ、デニムバッグなどの小物類を販売しています。なんとデニムの着物まで。

井原市内にも何店舗かデニム専門店があり、購入だけでなく加工体験もできます。都市圏の百貨店で特設コーナーが設けられることもありますので、見かけた際には日本製ならではのこだわりを確かめてみてください。

井原デニムストア

所在地 :岡山県井原市七日市町944-5(井原鉄道『井原』駅構内)
電話  :070-5057-6070
営業時間:10:00〜18:00
定休日 :水曜休(祝祭日と重なる場合はその翌日)
SNS  :https://www.instagram.com/ibaradenim/

満天の星々を眺め宇宙空間を感じる“星の郷 美星”

見どころの多い井原市ですが、個人的に外せないのは、星空版の世界遺産といわれる「星空保護区®」の「コミュニティ部門」にアジアで初めて認定された、井原市美星町。肉眼でも流れ星や天の川を見ることができますが、公開天文台では誰でも気軽に天体観察を楽しめます。口径101cmの望遠鏡を通してさまざまな天体が目の前に広がり、そこに吸い込まれていきそうな不思議な感覚を味わいます。

こちらで昼間でも楽しめるプログラムが「4Ⅾ2U」。150インチの大型スクリーンに2台のプロジェクターを使って太陽系をはじめとする宇宙の映像を投影します。専用のメガネをかけて、立体的に宇宙旅行をしている感じです。規模も素晴らしさも別格!地球もまた宇宙の一部なんだと知ることができます。自分が小さい頃にこんな経験をする機会があったら、天文の面白さに強く惹かれていたはず。プラネタリウムでは味わえない感動やロマンを、ぜひお子さんと一緒に感じてみてください。上映時間はHPでご確認を。

美星天文台

所在地 :岡山県井原市美星町大倉1723-70
電話  :0866-87-4222
営業時間:13:45~16:00/18:00~22:00 ※火・水曜は9:30~16:00のみ
定休日 :木曜、祝日の翌日、年末年始
HP    :https://www.bao.city.ibara.okayama.jp/

自然あふれる美しい日本の原風景

最後に、琴線に触れるような美しく懐かしい風景を2カ所ご紹介します。

まずは、井原市内を南北に流れる小田川沿い約2kmに渡って桜のトンネルが続く桜の名所、井原堤。川の水面に映る桜とのコントラストはとても美しく、期間中は夜になるとぼんぼりの灯が夜の川面に映りこみ、より幻想的な雰囲気を味わえます。この穏やかな日本の原風景をずっと守っていきたいものですね。

所在地 :岡山県井原市井原町3616番地付近
電話  :0866-62-8850(問合せ先:井原市観光協会)

続いては、紅葉で有名な景勝地「天神峡」。秋はもちろん、春はツツジや山桜、夏は渓流での水遊び、冬は雪景色など、四季折々の美しい姿を楽しむことができますよ。朱色の「紅葉橋」を背景に入れると、自然とのコラボレーションがとても魅力的な一枚が撮れるのでおすすめです。

所在地 :岡山県井原市芳井町吉井
電話  :0866-72-0112(問合せ先:芳井振興課建設経済係)


渋沢栄一翁一色の盛り上がりを見せる井原市。実は他にも、近代彫刻界の巨匠・平櫛田中(ひらくし でんちゅう)の出身地だったり、弓の名手・那須与一のゆかりの地でもあるんです。さらに最近の研究では、北条早雲の出生地であるという説が有力となっています。

ブドウやゴボウの産地で、お酒もおいしく、ゆったりと流れるのどかな時間。歴史と文化、豊かな自然のなかに散りばめられた、あなただけの“とっておき”を探しに、井原へ出かけてみてくださいね。

井原市観光協会 

所在地 :岡山県井原市七日市町10番地
電話  :0866-62-8850

井原市観光案内所  

所在地 :岡山県井原市七日市町944番地5 
電話  :0866-65-0505 

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この記事を書いた人

AK

貿易・教育・インバウンドなどの仕事をしながら、夫の転勤で岡山県内を転々としています。海とアートと歴史が大好き。旅先で知り合った温泉ライターさんがきっかけでライティング始めました。地域のいいトコ発信します!

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