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もの・こと  |    2024.09.10

教師自ら表現を学び・伝える!さいたま市で活動する演劇教育サークル『みのりの会』

公演フィナーレ

2024年8月12日に、演劇教育サークル『みのりの会』定期公演『目と耳で楽しむ「おはなし劇」の会』が、さいたま市岩槻区で開催されました。

アマチュアによる演劇サークルの公演ですが、毎回満席となる人気の公演です。今回はその『みのりの会』の魅力を探ります。

本当にアマチュアサークル?

1時間前から開場待ちの列が!早めに受付開始

会場は定員100名のコンパクトなものですが、毎年この公演は立ち見が出るほどの盛況ぶり。

出演者も「本当はもっと声をかけたいけど、会場が一杯になってしまうから控えているんです」と言うほど。

演目は現代劇、狂言、落語など、レパートリーも豊富。観客を飽きさせない構成で、大人だけでなく子どもも楽しめるよう工夫されています。観客からの笑いも多く、見どころ十分の公演です。

また、この公演には大道具は無く小道具も最低限のもののみ。そのため、風景をも伝える表現力が必要とされます。観客からは「本当にアマチュアなの?」「入場無料なんて信じられない」といった感想が飛び出すほどです。

そんな演劇教育サークル『みのりの会』とは、どんなサークルなのでしょうか。

親しみやすい落語で会場中が沸いていました

プロから学び吸収しているサークル

空間使いが要となるひとり舞台

演劇教育サークル『みのりの会』は、毎年2月頃から公演に向けて準備を始め、公演までの週末に稽古を行っています。

自身で演じたい演目を選ぶところから始まり、演じ方の案を考え、それに対し指導を受けるといった形。稽古は発声・滑舌練習といった基礎からしっかり行います。

その指導をしているのが、日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』でアトムの声優を務めた、俳優・声優の清水マリさんです。

清水マリさんが担当される前は、俳優・声優の小沢重雄氏が20年ほど指導していらっしゃいました。

小沢氏が逝去された後、『みのりの会』から指導オファーを受けた清水マリさん。その当時の気持ちを語ってくださいました。

「正直、小沢さんの指導を受けた人達の指導者が、私に務まるのか?それが正直な気持ちでした」

当時、誰かを指導することもあまりなく、まして先輩である小沢氏が指導してきたサークルを担当することに、不安があったそうです。

「でも、皆さんが勉強熱心で、どんどん吸収していくのを感じ、今ではこの会を指導しに来るのが楽しみなんです」

と、アトムの声で語る清水マリさん。 そんなプロをも魅了する『みのりの会』の誕生は、意外なところにありました。

指導している清水マリさん

実は…「自ら表現を学び子どもたちに伝える」教師が作ったサークル

代表のともべあきおさんの狂言「柿山伏」

このサークルメンバーのほとんどが、現役や元教師。

「小学校教員を中心として発足したこの会は、児童の表現力を高めるためにまず自らが朗読・語り・演劇を学ぼうということからスタートしました」

と、代表のともべあきおさん。

「欧米で普通に行われている、演劇的手法を生かしたドラマ教育を実践していこう」という目標もあったようで、その想いが公演で表現されているのを感じます。

福の神を追い出すという「びんぼうがみとふくのかみ」

今回の舞台はどうでしたか?

全員参加の演目では、清水マリさんも子ども役で出演

今回最後の演目に出演もされた、清水マリさんに公演の感想を伺いました。

「今年も、メンバーが足りないからと自分も出演しましたが、子どもの役で無理は無かったか心配でした。皆さんが子どもに見えたと言ってくださってホッとしています」

「この公演では、皆さんで空間の使い方などを学び研究し活かしていたので、ほとんど稽古をつける事が無かったんです」

メンバーが自分の演目を作り込んで稽古に参加していたので、細かい指導はあまり必要なかったとのこと。それであのステージとは、すごいとしか言いようが無いほどのクオリティーです。

ーともべあきおさんは、公演を終えていかがですか?

「満席のお客様方の反応がとてもよく、演じる方も稽古以上のパワーが発揮されたようです。
準備では、お客様が楽しんでいただけるような作品選びと演じ方に苦労しましたが、その成果が出たように感じました」

『みのりの会』では、基本的に自分の演じたい演目をセレクトしますが、自分のやりたいものが、すんなりと演じられるとは限らないので、演目選びから大変だったようです。

その苦労が結果としてパワーとなり、観客を巻き込んでの素晴らしい時間となっていたのだと改めて感じます。

ひとり何役もこなす一人芝居

魅力ある『みのりの会』のこれからは

この公演では、各自が複数の演目を担当

最後に演劇教育サークル『みのりの会』の今後の展望について、ともべあきおさんに伺いました。

「『みのりの会』では、会の趣旨を2つ掲げています。

1.語りや演劇を学ぶことで演じ手の自己実現を図る

2.観客の心に届くような舞台作品づくりをめざす

そのため、メンバーの負担になるような大きな劇場で大人数を集める公演を目指すのではなく“これならできる”という、ギリギリのラインでの良い舞台作品を作り続けて行きたいと考えています」

そして、この記事を読んで『みのりの会』に興味を持たれた方へのメッセージとして

「自分たちの演じたい作品を、演じたいように自由に表現できるのが、アマチュアなりの良さだと思います」

「私たちの公演をご覧になった方で、入会希望の方はいつでもご連絡ください。演劇経験、年齢、性別、職業は不問です」

「ただし、必ず1度は公演をご覧になってください」

とのこと。

公演を観たら、自分も表現してみたくなるのではないでしょうか。

今年の公演は終了してしまいましたので、次回の公演を楽しみに待ちたいところです。

ちなみに、Web上では公演日程などの情報は公開されず、紹介制での観覧となることから、一度問い合わせてみるのもいいかもしれません。

<お問い合わせ>

080-5175-6524 トモベ (ショートメールも可)

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この記事を書いた人

youyou

【神奈川県公認Mediallライター】 『人生の旅人パフォーマーyouyou(ゆうゆう)』として、イベント司会の他、物語を作ってのひとり芝居や、朗読などで表現をするパフォーマー、声優活動をしています。 埼玉県春日部市在住。海辺の生活に憧れて、2017年から始めた神奈川県での二拠点生活は、シェアハウスに始まり、現在はオーシャンフロントの部屋でひとりの城を築いているところです。 国内専門のひとり旅(特に乗り専)が趣味。 さらにライターとして、二拠点生活のヒントや、旅で出会った面白いネタ、地域の情報などを記事にしています。

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