武田信玄の秘密の銘湯?!渋温泉について
日本の温泉街というと、皆さんはどこを思い浮かべますか?本日紹介するのは、今から約1300年前に仏教僧の行基によって発見され湯地場として栄えてきた全長600mの渋温泉街です。
戦国時代には武田信玄の隠し湯のひとつとして、江戸時代には小林一茶や葛飾北斎などの文人たちも訪れていた由緒ある温泉街です。
地面を掘ればすぐにお湯が出てしまうほど多くの源泉に恵まれた渋温泉。旅館と外湯はどこも100%源泉掛け流しで、それぞれ成分や湯色・効能が異なります。多彩な泉質からぜひお気に入りを見つけてみてください。
石畳にからんころん湯下駄を鳴らして。大人気!9つの外湯巡り
温泉街には9つの外湯(共同浴場)があり、苦(九)労を流すといわれているそうです。宿泊者は早朝6時から夜の22時まで無料で入浴を楽しむことができます。
お宿で浴衣と手拭い・外湯共通の鍵をもらい、いざ石畳が広がる街並みへ。古風な浴衣に下駄を履いて、1番湯から9番湯までゆっくりと巡る時間はまさに至福のひとときです。
レトロな街並みを散策しよう!
外湯はもちろん、最大の魅力がノスタルジックな街並み。格子窓や土壁、外に張り出した欄干など、複雑に入り組んだ昔ながらの木造建築が立ち並ぶ風景は、まるで異世界へタイムスリップしたかのよう。
無料で遊べる卓球場や昔懐かしい射的場、夜遅くまで旅人をもてなすBARなどがあり、お子さまからご年配のかたまで1日中楽しむことができます。
一度は見たい!千と千尋の神隠しの世界
筆者が夜の温泉街を散歩していたとき、突如現れた見覚えのある旅館。1758年創業の『金具屋』さんは「木造四階建 斉月楼」と「金具屋大広間」が国の登録有形文化財に登録されています。
中には3つの大浴場と5つの貸切風呂、職人が一つひとつすべて異なる造りに仕上げた29もの客室があり、大正~昭和初期の面影をそのままに残しています。
筆者が宿泊した感動の御宿『炭乃湯』。滋味あふれる信濃懐石膳を最高のおもてなしで
筆者が宿泊したイチ押しのお宿が、渋温泉街で最も高いところに位置する『炭乃湯』さん。こちらは山間部ならではの炭を扱う事業から、お宿へ業態変更した歴史があります。
6階建てながら全12の客室という贅沢な造り。最上階にある露天風呂からは、北信五岳、志賀の山々が望めます。
丁寧なおもてなしでご提供いただく地元の食材を使用した滋味深い信濃会席膳は、食前酒からはじまり、御造り・すき焼き・蒸し物・ご飯・デザートに至るまで合計10品以上を堪能することができます。(長野県産牛の白すきやきプラン)
食材には長野県北信産のきのこ類や長野県産牛、中野市産の神農ポーク、飯山市産のみゆきポーク、信州サーモンなど地元の食材がふんだんに使用されています。
なかでも飯山市産みゆきポークは、現在市内の養豚農家4軒のみが生産している希少なお肉。ほぼすべてが市内で消費されるため「幻の銘柄豚」とも呼ばれているそう。柔らかな肉質とコクのある脂の甘みで市民の方々から愛されています。
また、味付けにもお宿の工夫が感じられます。地元野菜は甘味噌で、牛肉は白出汁で、豚肉は白しめじ・黒鮑と一緒に信州味噌で。信濃の味噌文化を堪能できます。
〆には、竹炭と鰹出汁が絶妙にマッチした竹炭麺のほか、野沢菜と皇室献上農家のお米を使った粒立ちの良いご飯まで。
チェックアウトの日は、朝食後にロビーで食後のコーヒーを堪能。出発の際はスタッフの方々に見送っていただき、終始丁寧なサービスをしていただきました。
都内からは車で約3~4時間、日頃の慌ただしさを忘れて、レトロな渋温泉街で癒されてみてはいかがでしょうか?