地方創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

もの・こと  |    2025.05.03

飯能で生まれる、ちいさな賑わい「生産者×クリエイター直売会」|埼玉県 飯能市

東京から電車で約1時間。自然豊かな里山と歴史あるまちなみが残る、埼玉県飯能市。このまちの中心部で、二カ月に一度だけ開かれる「ちいさな直売会」が、いま静かに注目を集めています。

会場は、まちなかの信用金庫の前。広場にテントや什器が並び、飯能産の素材を使った焼き菓子、自家焙煎のコーヒー、養蜂家のはちみつなど、個性豊かな“つくり手”たちの品々が所狭しと並びます。

“直売会”と聞くと、大規模な市場やイベントを想像するかもしれませんが、ここはとてもささやかで、あたたかな空間。それでも訪れるたびに「また来たい」と思わせてくれる、不思議な魅力が詰まっています。

“まちの素材”が“つくる人”を通して届いていく

この直売会を発起人は、飯能の農産物を軸に地域とクリエイターをつなぐ「くるくるはんのう」と、まちの事業者に伴走する「飯能信用金庫」。それぞれが異なる立場ながらも「地域の魅力を、もっと日常に」という想いから始まったこの取り組みは、2024年12月にスタートし、今回で3回目の開催を迎えました。

くるくるはんのうの片野さん(左)と飯能信用金庫の吉野さん(右)

つくり手の想いがあふれる、6つの出店ブース

目を引く赤色のキッチンカー「Las Fincas(ラス・フィンカス)」では、グアテマラ出身のマリルーさんと、カナダ出身のマキシムさんご夫婦が、彩り豊かなオリジナルバーガーや、見た目も楽しいドーナツを提供していました。

この日は、飯能のさつまいも専門店「芋はん」とコラボした限定ドーナツも登場。地元ならではの食材との掛け合わせは、この直売会ならではのひとつ。訪れた際には、ぜひ飯能で生まれたコラボ商品を探してみてください。

自家焙煎珈琲の「森見ル焙煎所」からは、飯能産の柑橘類やドリップバッグギフトセットが新登場。かわいらしくも洗練されたパッケージは、贈り物としても喜ばれる一品。コーヒーの試飲をされた方が、嬉しそうにギフトセットを買っていく姿が印象的でした。

また、シフォンケーキ専門店「and A」では、“よもぎ”や“はちみつ”など、飯能の素材を使った季節の味が人気。添加物を使わず、小さなお子さんでも安心して食べられるやさしい味わいが、ママたちにも好評です。

パンとお菓子の「ömatsu」からは、こどもの日に向けたアイシングクッキーが登場。色とりどりのデザインに足を止める親子連れも多く、会話が弾んでいました。

オリジナルブレンドのハーブティーが並ぶ「Garden mieli」では、「今の気分に合ったお茶を選びたい」と、来場者がじっくり話を聞きながら商品を選ぶ姿も。試飲もできるので、ついついまとめ買いしてしまう方も多いのだとか。

そして、飯能産の“生はちみつ”を扱う「まほら屋」は、非加熱・無添加にこだわり、自家養蜂で丁寧に育てた“生はちみつ”を販売。季節によって味わいが変わるこの“天然の恵み”は、小さなお子さんから大人まで、幅広い世代から愛されています。

この直売会では、出展者が替わったり、季節の素材や飯能の農産物を取り入れたコラボ商品があったりと、毎回新鮮な気分で買い物を楽しめるのが特徴。まちなかにある商店街からは、自分たちのお店の合間を縫って時折り買い物を楽しむ姿も見られました。

西川材の魅力を身近に。西川バウムの木のぬくもり

もうひとつ、この直売会に欠かせない大切な役割を担っているのが「西川バウム合同会社」。飯能産の「西川材」を使った什器の貸し出しや、椅子、杉板などの展示販売も行っていました。

以前、ふらりと立ち寄った方が思わず椅子を購入する場面も。購入された方は、二か月後の直売会にも再び足を運び、ここで椅子を買ったことを嬉しそうに話す姿が印象的でした。

釘を一本も使用しない組み立て式の什器。直売会を訪れる方のなかには、この什器の仕組みや、西川材の質感を興味津々にたしかめる方も。

この日訪れた飯能に暮らす方から、「二か月楽しみに待っていた」という声が聞こえてきました。直売会をきっかけに地域との交流がうまれ、続けていくことで飯能のものが暮らしになじんでいくような。こうしたつながりの輪が、どんどん広がっていく可能性を感じる時間でした。

“つくる人”と“まち”が、おたがいに育て合う

この日、飯能信用金庫のスタッフが地域のお年寄りに声をかけたり、農家さんとクリエイターが談笑している様子が印象的でした。

まちで続けること。季節ごとに形を変えていくこと。新しい出会いがありながら、顔なじみも増えていくこと。直売会には、地域に根ざす“つくり手”たちと、それを育てる“まち”の両方が映し出されているようでした。

次回の開催は、6月13日(金)。
まだ知られていない、ちいさなまちのあたたかい風景に、ぜひ足を運んでみてください。

生産者×クリエイター直売会

住所:埼玉県飯能市八幡町1-3(飯能信用金庫 飯能中央支店)

日程:偶数月の15日(土日の場合は変動あり)

時間:10:00~15:00

Instagram:https://www.instagram.com/hanno_shinkin/

記事をシェアする

この記事を書いた人

ハネジユキエ

沖縄出身、埼玉在住のフリーライター。30代、二児の母。ものづくり、伝統芸能、暮らしを豊かにするモノ、地域を元気にするヒト、大人からこどもまで楽しめるコトを取材しています。

関連記事