松原宿は、異国文化が行き交った長崎街道の宿場のひとつ。
江戸時代、長崎出島から日本中へと広がっていくために通った長崎街道。砂糖を運んだ食文化の道として「シュガーロード」とも呼ばれています。
徳川吉宗に献上するための象が歩いたことを後世に残すために、クリスマスのイルミネーションの時期には「象のイルミネーション」が飾られるとか。
「この旅館の前を象が通ったんですよ」と旧松屋旅館の入り口で教えて頂きました。
長崎街道 松屋宿 ひな祭り
松原宿ひな祭りでは、約700体の雛人形が飾られています。
毎年好評のひな祭りは、「わが家の雛人形も飾ってほしい」と年々数を増やしているそう。
長崎街道松屋宿ひな祭りの主会場となっているのは「旧松屋旅館」。
旧松屋旅館の中で飾り付けができなくなった雛人形は、近所の民家や神社にも飾られ、地域住民で盛り上げるイベントになっています。
コロナ禍に突入する前には、旧松屋旅館の中だけで開催されていたひな祭り。
コロナ禍となり、松原宿ひな祭りの存続のため「どうしたら密にならないか」と考えてくれたのは松原宿活性化協議会のみなさん。
「外からもお雛さまが見えるようにしたら良いたい」「窓を開放して飾り付けたらどうやろうか」という意見をもとに、旧松屋旅館の街道からもお雛さまを見て楽しむことができる今のスタイルができたそうです。
一家に一つというスタイルや、高価なものなので家の中で大事に飾り付けする、というイメージが強い雛人形。
開放的に飾り付けられる雛人形は、春の陽気を肌で感じて喜んでいるように見えます。
大正時代の雛人形~御殿飾りの雛人形~
旧松屋旅館の1階和室の真ん中に飾られている「御殿飾りの雛人形」。
松原宿活性化協議会の皆さんが半日かけて飾り付けたという雛飾りです。
御殿飾りの部分は、1つ1つのパーツを組み立てていくそうで、大正時代から受け継がれてきている雛人形を飾り付けるには、時間も集中力も気力も要するのだそう。
「屋根の部分は複雑に組み立てるんですよ」と教えて頂きました。
関西飾りと言い、現在よく見かけるお内裏様とお雛さまの位置が左右違っています。譲り受けた際に頂いた写真等を参考に、忠実に飾り付けるそう。
同じ雛人形は1つもない。
愛情を込めて組み立てられた雛人形たち。
1つとして同じ表情の雛人形はありません。
色々なお雛さまを堪能してみてはいかがでしょうか。
着物を着てお雛さま気分⁉
小学生までなら、着物を着付けしてお雛さまと一緒に写真撮影も可能です。
松原宿活性化協議会の方が着付けをしてくれます。
2階の雛人形が飾られている部分は、窓が取り払われていて、下から見上げる人たちに手を振ってお姫様気分が味わえる特別な場所。
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに手を振る女の子と観客にほっこり。
地域で盛り上げるひな祭り
旧松屋旅館には、地域の子ども達が作ったお雛さまの飾り付けを見ることもできます。
子ども達の作品にほっこりするのもいいですね。
旧松屋旅館に飾ることができない雛人形は、神社の社務所や境内、民家の一角を借りて飾られています。
神社の一角に飾られている雛人形は、常に誰かが傍に居て見守っているわけではありませんが、触ったり汚されたりすることがありません。
お雛さまが見る人を温かい気持ちにさせるのでしょうか。雛人形を大切にしている気持ちが伝わってきて、自然と敬意を払って見物することができる環境にも感動してしまいました。
人形供養は一大イベント
2024年3月2日、松原八幡神社では人形供養が行われました。
雛人形の他にも、沢山の人形が並べられました。
御祈祷が終わり、手作りの「ヒトガタ」を火にくべます。本物の人形を焼くことはせず、手作りのヒトガタで、お焚き上げです。
人形供養を行う松原八幡神社に繋がる階段には、雛人形が飾られ圧巻です。
朝早くから、松原宿活性化協議会のみなさんが並べたり、ヒトガタを準備されたり、人形供養にあわせて、旧松屋旅館では手づくりの桜餅も振舞われました。
屋台も出て、盛り上がりを見せた松原宿ひな祭り。
地域のみなさんが、声を掛け合いながら作り上げているイベントです。
2024年は、2月25日~3月31日の土日・祭日に開催されています。
3月3日の暦の上でのひな祭りが終わっても雛人形を見に行くことができます。
ぜひ、足を運んでみてください。
旧松屋旅館
〒856-0009 長崎県大村市松原本町77−1