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フード  |    2024.01.23

日本トップレベルのバーテンダーが、軽井沢のBarにいる。茂澄仁さん(COCKTAIL WORKS 軽井沢)

2023年、権威あるバーテンダーの大会(第33回 H.B.A. CLASSIC 創作カクテルコンペティション、サントリー ザ・カクテルアワード 2023)で、立て続けにファイナリストとなったベテランバーテンダーが軽井沢にいます。どんな人なのか、大会へのチャレンジにはどんな思いがあるのかを聞いてみました。

バーテンダーはここにいる 

軽井沢を訪れる人が多く訪れる旧軽井沢銀座通り。グルメスポットの他、周辺には上皇ご夫妻の出会いの場となった軽井沢会テニスコート、戦前の外国人の避暑地として発展した頃からの教会が周辺に点在する。

その旧軽井沢銀座通りの入り口と、旧三笠ホテルへ向かう三笠通りへ分かれる三叉路の地点から100mほど軽井沢駅寄りに進んだところ。

そのバーテンダーがいるお店「COCKTAIL WORKS 軽井沢」はあります。

茂澄仁さん

キャリア30年のベテランにして、創作カクテルの全国大会ファイナリストの茂澄仁さんに話を聞いてみました。

HBA 創作カクテルコンペティションとサントリー・カクテルアワード

HBA 創作カクテルコンペティション

ーー2023年は6月に日本ホテルバーメンズ協会の「HBA CLASSIC 創作カクテルコンペティション」に、9月にはサントリーの「カクテルアワード」に出場され、お忙しい1年でしたね。出られた大会がどういったものか説明していただけますか。

日本ホテルバーメンズ協会(HBA)はホテルのバーテンダーを中心とした1万8千人規模の会員組織で、過去にホテルメトロポリタン長野にいたことから、その会員資格で出場しました。
昨年で33回となりますが、2年に1回の開催ですので、大変歴史ある大会です。全国の支部(長野県は西関東支部=神奈川県・山梨県・長野県・静岡県東部)の中で予選を経て、本選に出場できるのは12支部合計で20名です。 

HBA CLASSIC 創作カクテルコンペティション作品「ペンシー」

サントリー・カクテルアワード

サントリーのカクテルアワードは所属という縛りはなく「バー・ホテル・レストラン等に勤務されているバーテンダー」が基準です。書類選考⇒選抜された60名がお台場のサントリー本社で競技審査のセミファイナル、そこから私も12名のうちの1名に選ばれてサントリーホールでのファイナルに出場しました。

所属という縛りがなく、ファイナルには12人しか残らないという点では、サントリーの方が難関だったかもしれません。12人の中にはHBA32回チャンピオンの中野賢二さんと30回チャンピオンの吉田宏樹さんもいましたしね。カクテルアワードも2024年で30周年ですから、多くのバーテンダーが目指す大会になっています。

サントリー ザ・カクテルアワード 2023作品「風雅」

美味しいカクテルを作りたい

ーーバーテンダーとしてどのようなキャリアでいらしたんですか。

飲食のキャリアは1993年に東京でスタートしました。お酒も出すお店といった程度で、バーテンダーとして本格的に腕を磨き始めたのは1998年ホテルメトロポリタン長野にオープニングスタッフとして勤めてからでしょうか。当時長野五輪が開催される時期で、外国の方を含め多くのお客様が来る。こちらは経験者採用で入ったのにバーテンダーの技量が足りていない。だから技量を上げることに一生懸命でした。

ーーあの頃は新幹線も開通し、高速道路も五輪に向けて整備され、冬季オリンピックで長野が注目されていましたね。

8年間ホテルにいた後半ではバーテンダーの大会にも出られるようになったのですが、まだ若かったので「勝ちたい」「有名になりたい」という思いの方が先行していまして。
そんな思いが変わったのが2006年に独立して長野に店を持った頃からでしょうか。大会のためではなく、お店に来るお客さんにいかに満足してもらえるか、「美味しい」カクテルを出すにはどうしたらいいかということを強く考えるようになりました。

ベテラン茂澄さんにとって、創作カクテル「大会出場」とは

ーー創作カクテルはレシピを1から考え、審査員の前で制限時間内に仕上げなければならない大変なプロセスだと思うのですが、何が今も茂澄さんを大会へと誘うのですか。

バーテンダーの大会では2人壇上に立って審査を受けるスタイルが多い(サントリー)

バーテンダーをやっていて、まだ自分より先輩の人にはかなわないなぁと思う部分がありますが、「味」に関しては創意工夫で抜くことができると思っています。

同年代では協会の役員をやる者もいるし、大会に出場する選手は自分より若手がほとんどで「もういいんじゃないか」と言われることもあるんですけど、全国大会に出た選手がその場でかわす会話というものは、ギャラリーで見ている側に居てはわからない強烈なヒントを与えてくれるんです。

ーーファイナリストであればこそ通じるものがある、と。

「どんなことに気をつけてこのレシピで作るか」とか「この飾りはどうやるか」とか、言葉にすればちょっとした事なんですが、相手が同じ選手だと返ってくる答えの伝わり方が全然違う。
切磋琢磨したお互いが認め合えばこその言葉のやりとりが、自分がカクテルを作る上でとても参考になる。味の創意工夫に活きてくる。そんな場所にまだ立っていたい。そんな思いです。

表彰式前の集合場所で。競技の緊張から解放された出場者(HBA)
表彰式後の集合写真(茂澄仁さんは正面左から3番目・サントリー)
茂澄仁さん(左)中野賢二さん=サントリー ザ・カクテルアワード 2023優勝(中央)吉田宏樹さん(右)

「ベテラン」という言葉に特に気負うでもなく、淡々とカクテルに対する真摯な思いを語る茂澄さんに

まだまだ味の探求は続きそうですね!

と、出会ったこちらが元気をもらった、そんな嬉しい気持ちと一緒にお店を後にしました。

入選したカクテルを飲むには

茂澄さんが店長を務める「COCKTAIL WORKS 軽井沢」は、お酒とお料理が楽しめるお店として軽井沢で営業しています。

スタンダードなカクテルはもちろん、お店の関係する各種カクテルコンペティションに入選した作品が常時メニュー表に載り、提供されています。

茂澄さんの作品

ペンシー(ウッオッカベース 第33回 H.B.A. CLASSIC 創作カクテルコンペティション入選)

風雅(梅酒ベース サントリー ザ・カクテルアワード 2023入選)

このカウンターに座って頼んでみてはいかがですか?

COCKTAIL WORKS 軽井沢

URL  https://orchardknight.com/bar/cocktail-works-karuizawa
住所   長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1-12 C号
TEL    0267-41-0503
営業時間 毎日/14:00~23:00
定休日  不定休
席数   20席(カウンター8席、テーブル席12席)貸切可
アクセス JR長野新幹線 軽井沢駅 [北口] 徒歩15分 軽井沢駅から1,479m

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この記事を書いた人

Kunie

20代で首都圏エリアの情報誌のライターをしていました。その後、一般企業に転職。東京から長野へ移住、単身赴任、親の介護を経て子供の独立を機に退職。地元誌のインタビュー記事を担当させていただいたご縁から、20代から長いトンネルを経て、またライターで働いてみようと日々奮闘中です。

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