「お子さんのお名前は?」
優しく尋ねる、菰田恵子(こもだけいこ)さん。
ここは、さいたま市見沼区にあるharenoガーデン。
小さなお子さんが屋内で楽しく遊ぶ事ができるこちらの施設では、月に一度のお誕生日会が開催されています。
そこで菰田さんは、お子さんの名前を書いています。
文字の中には、可愛らしく笑顔が描かれていて。
なんて、可愛らしく、愛らしい文字!
もらったお家の方が嬉しそうに手にします。お子さんに渡すと、お子さんもにこにこしながらカードを大切そうに持っています。
多くのお子さんたちの名前を書いて渡すことで、多くの笑顔を生み出している菰田さん。
なぜこのような、素敵な文字を書く活動を始めたのでしょうか。
菰田恵子さんにお話を伺いました。
笑い文字ってどんなもの?
文字の中に笑顔が可愛らしく描かれているもの。
これは、「笑い文字」です。
笑い文字とは
廣江まさみ氏の共著出版『笑って元気!楽しい笑いヨガ』のサインから始まった「笑い文字」。
笑いヨガのサインなので、文字の中に笑った顔が入る。そんな風にシンプルに笑い文字は始まりました。
廣江氏が笑い文字を書いているうちに、教えて欲しいという人が集まり、そして教えたいという人が増えていき…、現在の笑い文字のメソッドができていったのだそうです。
感謝や喜びを伝えたいときに、いつでもどこでも誰にでもさっと書いて渡すことのできる、筆文字によるコミュニケーションツール。それが、「笑い文字」です。
現在、廣江氏による笑い文字普及協会には、全国に300名の講師が在籍しています。
笑い文字普及協会公式サイト:https://waraimoji.com/
まさか講師になるなんて!菰田さんの意外な「笑い文字」との出会い
温かみあふれる雰囲気。もらうと思わず笑顔になってしまう、そんな笑い文字をお書きになる、菰田さん。
どんな経緯で、笑い文字を書くことになったのでしょう?
「実は、予想もしていなかったことでした」と菰田さん。
もともと、地域の施設などでIT講師として活躍するかたわら、お年寄りを対象としたipadを使った脳トレの講座も担当していました。
当時、お年寄りの方が楽しくできるような活動を見つけては、脳トレの皆さんと一緒にチャレンジしていた時期。
ある日、SNSで見かけた投稿。
そこには、可愛らしい笑顔の文字が目に入ってきました。
それに、ピン!ときた菰田さん。すぐにそれが何かを調べ始めます。そこで出会ったのが「笑い文字」だったのです。
シニアの方の脳トレとして、笑い文字を一緒に書いたら楽しいんじゃないかしら?と考えた菰田さんは、笑い文字を習いに行くことを決めました。
脳トレのみなさんと楽しめたらいいな。というきっかけが、菰田さんを笑い文字の世界へいざなっていったのですね。
笑い文字「書いて半分、渡して完成」の意味とは?
笑い文字を習い、笑い文字を人へ書いて渡す活動を続けていくにつれて、菰田さんは実感します。
- 実際に人へ書いてあげてみたら、「可愛い!」と喜んでもらえる
- 書いてあげるときに、人といろいろお話をすることができるのが嬉しい
- 笑い文字を渡した時に、「ありがとう」と言ってもらえたことの喜びを知る
私が渡したものが、私の手を離れてからも多くの人を笑顔にしていると知り、「笑い文字」には不思議な力があるんじゃないかな?と気づき始めた菰田さんです。
小さなお子さんへ書くことの多い笑い文字ですが、熟年・シニア世代の方へも笑い文字を書く機会があります。その中で、次のようなエピソードがありました。
ある女性に笑い文字を書こうと、お名前を聞き、その由来などを尋ねた時のこと
「自分の名前なんて、どうやって付けられたか忘れちゃったわ」
と、言っていた人が、お話を聴いていくにつれて、段々自分の名前のルーツを思い出し、父母のことを思い出し、とても温かい気持ちになる。
葬祭場の新盆ご相談会のイベントで笑い文字を書いた時のこと
少し前にお母様をお見送りされた息子さん。その方のお名前を書きながらお母様について伺うと、息子さんから温かなこれまでの家族の思い出を聞く事ができて。
お母様をお見送りされてもなお、温かな気持ちでお話ができる息子さんに感動した菰田さん。お母様のお名前を聞き、笑い文字を書いて差し上げました。
すると、それを手にした息子さんはとても喜んで、「お仏壇に供えます」と菰田さんに感謝の言葉を伝えるのでした。
このような心がじんわり温まる光景は、笑い文字を始めなかったら出会わなかったこと。
笑い文字のコンセプトのひとつ、
「書いて半分、渡して完成」
の意味は、書く時もその人のことを思いながら書いて、それを手渡した時に、受け取った人の中で嬉しい気持ち、温かい気持ち、感謝の気持ちなどが芽生えるということなのですね。
笑い文字が書かれたはがきは、人の手に渡ってからも人を温かい気持ちにさせます。
温かい気持ちと笑顔の循環が起こっているのだと、お話を伺って気づきました。
「笑い文字を書くことは、笑い文字を知ってもらうための活動なのだけど、それによって得るものがとても大きいんです」(菰田さん)
好奇心と出会いがいずれ仕事になっていく
英会話を習うことがきっかけで出会った方のご紹介により、IT講座へ参加。
そこからアシスタントとして講師を始めるきっかけになるなど、人との出会いによって、自分のキャリアがスタート。笑い文字との出会いもそう。
そんな出会いが、菰田さんにはたくさんあります。
それは、「やってみたい!」という好奇心で行動を起こしてみること。それが原動力になっていて、その行動によって奇跡的なことが起こったりする。
素敵な出会いをしっかりキャッチして、小さな種を育てていき、発芽させて。その芽が大きくなって、現在の菰田さんの「実」になっている。
それが、とても菰田さんらしいお仕事の仕方なのだと感じさせられます。
大切な仕事は「一つだけ」じゃなくていい
現在、ふたつのお仕事を並行して継続されている菰田さん。
一つの仕事を長く続けるのではなく、その時の興味や好奇心にしたがって行動してきた菰田さん。自分の働き方について、「石の上にも三年」ではないと、引け目に感じることもあったのだそう。
これで、いいのかな?一つのことを突き詰めることができた方がいいんじゃないかな?
と、思うこともありました。
けれどある時、菰田さんの中で、ストンと腑に落ちる瞬間が訪れます。
それは、
「あなたのように、新しいことにチャレンジできることの方が、勇気があると思う。だから私は讃えたい!」
という、友人の言葉。
その言葉によって、変化のある仕事をし続ける働き方こそ、私らしい働き方なのだと気づいて。
新しいことにワクワクする。思いのままに動きたい。それでいいんだと思えるようになったのだそう。
「だから、今の仕事で何が一番?と言われても、どれも同じくらい大事だし、楽しい・やりがいがあると思っているんです」と、菰田さん。
IT講師も、笑い文字講師も活動も、どれも大切でやりがいのある仕事だと、充実した笑顔で語る姿はとても生き生きとしています。
菰田さんと笑い文字の「これから」
菰田さんの活動は、ますます広がっていきます。
笑い文字を書く活動は、「もっと笑い文字で笑顔にしたい」という思いにより続けられている活動です。
小さなお子さんへ向けて、もちろん大人の方へも。
一人ひとりのお名前とその由来をじっくりとお話しになり、それが可愛らしい文字と笑顔のはがきとして表れます。
さらに、「笑い文字を書けるようになりたい!」と願う人へ向けての講座も精力的に活動中。
「一人の力なんて、微々たるもの。ですので、もっと『笑い文字』の仲間を増やしていき、みんなでできることを増やしていきたいです」(菰田さん)
今後は、これまでにない笑い文字の活動を考えたり、子どもたちと一緒に笑い文字を書いてみる活動をしたりなど、これからの活動についての「夢」を教えてくれました。
「誰に対して、ありがとうって言いたいと思う?」と、お子さんと一緒に考えることができるようなワークショップをやってみたいと考えています。
お子さんたちが、
- 自分の心のうちに向き合う時間がない
- 気持ちを伝える手段がわからない
そういうところに気づいて欲しいという思いがあります。
子どもたちの背中をそっと後押しできるワークショップがあったらいいなと。(菰田さん)
笑い文字の話をしている菰田さんは終始満面の笑顔。きっと、この活動自体にパワーをもらっているからなのでしょう。
菰田さんの話を聞いていると、私まで思わず笑顔になってしまいます。そんな、笑顔の輪が広がっていく活動、それが「笑い文字」なのですね。
生き生きと楽しそうに活躍する菰田さんの様子は、きっと周囲の人へプラスのオーラを伝えているのです。
笑い文字普及協会 公認 上級講師 菰田恵子(こもだけいこ)さん
2021年 一般社団法人笑い文字普及協会 公認 初級講師
『感謝と喜びの循環する世界を作る』という理念に賛同 埼玉県を中心に関東地区、オンラインにて講座を開催2022年 一般社団法人笑い文字普及協会 公認 中級講師
2024年 一般社団法人笑い文字普及協会 公認 上級講師
菰田恵子さんInstagram:https://www.instagram.com/keikomoda330/
一般社団法人笑い文字普及協会公式サイト:https://waraimoji.com/
撮影場所:harenoガーデン
公式サイト:https://hareno-garden.com/