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聖地  |    2025.09.30

「ほしい」も具現化、ほしいも神社

あなたがほしいものは何ですか?

それは見つけにくいものでしょうか? カバンの中や机の中に入っているはず…。そう思っていくら探してみても、なかなか見つからない、手に入らないかもしれません。

…しかし、ほしいものを見つけて、手に入るように、まずは「願って」みる。それなら容易にできますよね。願うためには「言葉」にしなければいけません。まずはそこからスタート。

「…でも、そのようなありがたい神社が、都合よくあるものなのでしょうか?」

あります。茨城県のひたちなか市に。その名もずばり『ほしいも神社』

「ほしいも…。えっ、ほしいもの…!?」

すでに皆様の頭の中には、自分がほしいもの乾燥させたほしいも、そういったイメージが渦巻いていると思います。早速、現地に行ってみましょう!

阿字ヶ浦駅から徒歩圏内

最寄りの駅は「阿字ヶ浦駅」です。「あじがうら」と読みます。味わい深い雰囲気の駅舎です。

阿字ヶ浦駅

茨城県の南北を縦断するJR常磐線(じょうばんせん)。水戸駅の北東隣には「勝田駅」があります。その勝田駅から「ひたちなか海浜鉄道湊線」に乗り換えて、終点まで行けばいい。終点が阿字ヶ浦駅です。

阿字ヶ浦駅のホーム

「ホームに『ほしいも列車王国』という看板もありますね…!」

ええ、ひたちなか市やその周辺では、さつまいもの生産、ほしいもの加工が盛んなのです! 甘くて美味しいいもをアピールしている。地域全体、全力で推している。

「ですが『ほしいも』と言えば、どうしても地味というか、マニアックというか、おばあちゃんの家で出されるおやつのような、素朴な一切れを思い浮かべてしまうのですが…」

そんな方はぜひ一度、茨城県産のほしいもを食べてみていただければ…と思います。きっとイメージを一新するような「ほしいも革命」が起こることでしょう。太平洋からの豊かな海風が育む、さつまいもとほしいも。甘くて滑らか、実にエレガントで芳醇! 脇役や家臣ではない。立派な主役です。王様にもなれる和風スイーツ。NASAでも宇宙食の食材の一つとして、さつまいもが研究されています。

「確かに、神社でまつられるほどですもんね!」

「ほしいも神社」は、この阿字ヶ浦駅から徒歩圏内にあります。早速、お参りに行ってみましょう!

水戸黄門様ゆかりの堀出神社

ほしいも神社は、令和元年(2019年)に新しく創建された神社です。

もちろん、何も無いところにいきなり創建された神社ではありません。「堀出神社(ほりでじんじゃ)」という、江戸時代から続く由緒ある神社の境内に新たにつくられました。

堀出神社は、水戸藩の第二代藩主である徳川光圀公、いわゆる「水戸黄門様」に由来のある神社です。黄門様は考古学者、歴史学者としても名高い。この地の塚の中からご神体が出土したのを機に、水戸藩から正式な神社設置の許可を出しました。神体の御神鏡は、黄門様が奉納しています。

「水戸黄門様ゆかりの神社! 塚から出てきたから堀出神社…!」

その境内に「ほしいも神社」があります。広い駐車場も完備されています。

ほしいも神社駐車場

ほしいもの形をした絵馬…。黄金に輝く鳥居の列…! 何だか、豪華できらびやかで、とてもご利益がありそうな神社ですね…」

ほしいも神社鳥居

ええ。まさに皆様が「ほしいもの」を願うには、最適の神社だと思います。

「でも、あくまでここは『ほしいも』のための神社であって『ほしいもの』のための神社ではないのでは…?」

いえ、そんな心配はご無用。ちゃんと宮司さんからのメッセージも看板に掲示されております。

ほしいものを念じる

『ほしいものを しっかり念じ 心を込めて ご参拝ください 宮司』

かわいいほしいも仙人たちも、皆様の運を開くべく、応援してくれている。

ほしいも仙人

私は早速、鳥居をくぐって参拝してみました。

ほしいもの神様

「そう言えば、ほしいもの『神様』は誰なんでしょう? …さつまいもやほしいもを作ってくれる農家さんとか?」

良い質問ですね。その答えは、ほしいも神社の横に刻まれていました。

ほしいもの神様

『ほしいもの神様
宮崎利七 湯浅藤七 小池吉兵衛 大和田熊太郎 白土松吉
翁顕彰碑』

「なるほど。この五人の方が『ほしいもの神様』として、この神社では顕彰されているんですね。どんなことを成し遂げた方々なんでしょうか?」

それを知るためには、ひたちなか近辺におけるさつまいもやほしいもの歴史を知るのが早道。

諸説ありますが、一説には煎餅屋だった「湯浅藤七」がほしいもの加工法を導入、「宮崎利七」が静岡からの技術支援を受けて、那珂湊の水産干物加工設備を流用して企業化した…とも言われています。

また異説としては、「小池吉兵衛」・大内地山の兄弟が、茨城県知事の森正隆に献策し、静岡からの技術者2名の派遣を受けて製造を始めた、という説もあります。販路もどんどん広げていく!

このほしいもづくりを組織的に普及させて、地域に根付かせたのが「大和田熊太郎」です。前渡村の村長兼農会長だった熊太郎は、財政の厳しい村を立て直すべく、直接、静岡から講師を招き、ほしいもづくりの講習会を開催していきます。1920年には「前渡村甘藷蒸切干製造組合」も設立。

さらに「さつまいもの神様」と呼ばれた「白土松吉」の存在も忘れてはいけません。農学校を卒業した松吉は、役所に勤めていましたが、農家の指導技手としても大活躍。時には「畑で寝る」ほど研究に没頭し、さつまいも栽培の普及に、一生、尽力した方なのです。

◆「宮崎利七」:干し芋製造の普及
◆「湯浅藤七」:干し芋製造の普及
◆「小池吉兵衛」:干し芋製造の普及
◆「大和田熊太郎」:干し芋組合設立、組織的に普及
◆「白土松吉」:人呼んで「さつまいもの神様」

「彼らをはじめ、たくさんの方の努力によって、さつまいも栽培、ほしいも加工・販売がこの地に根付き、一大産業になっていったんですね…!」

「小池吉兵衛翁之像」も近くにありました。

小池吉兵衛翁之像

なお、ほしいも神社だけでなく、堀出神社にもしっかりとお参りしておきたいところ。こちらは、とても歴史を感じさせる荘厳なつくりの神社でした。

堀出神社

「あの…こうなると、やはり、美味しいおいもをいただいておきたいのですが…」

ご安心ください。そんな方のために、敷地内には美味しいおいものスイーツやコーヒーなどをいただけるスポットがありました。

「日本一小さないも畑」の近くにあります。遠くには太平洋の水平線が広がっています。

いも畑

私はここで、数量限定のスイートポテトと美味しいコーヒーをいただいたのでした。

スイートポテトとコーヒー

「いも漫遊」で高笑い

…ひたちなか市や周辺の地域には、至る所に広々としたさつまいも畑が広がっています。

さつまいも畑

ほしいもや、美味しいおいものスイーツを扱っている販売店やカフェもたくさんあります。「いも漫遊」気分で巡ってみるのも楽しそうですね!

皆様もぜひ、ほしいも神社に参拝しつつ、美味しいおいもを味わいながら、「ほしいもの」を目指してみてはいかがでしょうか?

ほしいも神社

〒311-1201 茨城県ひたちなか市阿字ケ浦町172−2

◆公共交通機関:「ひたちなか海浜鉄道湊線」の『阿字ヶ浦駅』で下車。ひたちなか海浜鉄道湊線には、JR常磐線の勝田駅から乗り換えができます。駅からは、徒歩で約2~3分です。

◆自動車:最寄りの高速インターは『常陸那珂港インター』です。このインターは、ネモフィラやコキアで有名な「国営ひたち海浜公園」の近くにあります。インターを降りたら、海沿いの県道6号を、阿字ヶ浦海水浴場方面に向かって南下してください。阿字ヶ浦海水浴場付近から、阿字ヶ浦駅に向かって内陸方面に曲がり、しばらく進むと駐車場が見えてきます。駐車場は広く、普通車で約30台ほど停められるようです。

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この記事を書いた人

ヒストジオいなお

茨城県、水戸市、またその周辺の情報をシェアしていきます。歴史と地理が好きです。食べ歩きも好きです。

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