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アート  |    2025.09.10

より道の人生を表現した詩と絵が心に響く『詩画作家ふじ/アトリエ寝子』

ファブリカ村のイベントで思いを表現したライブペインティング(画像出典:Facebook)

鮮やかな色のイラストと心に響く詩を描き続ける詩画作家ふじさん(以下、ふじさん)は、「自身の人生を大きく変えるより道がいくつかあった」と語ります。『詩画作家ふじ/アトリエ寝子』としての活動を開始したのは約4年前。以前は小学校の教員でした。

教員時代にうつ病を患い退職。その後、さまざまなより道を歩んだと語ります。

「人生において、より道もあっていいのではないでしょうか。人それぞれに色々な道があります。僕の作品にコンセプトというものは無いのですが、共通のテーマとしてあるのは『より道』かもしれません。僕の『より道』も、自分にとって必要なものだったと思えるようになりました」

ふじさんは優しく語りかけるように話します。いったいどのようなより道を歩んできたのでしょうか。そこで今回は、詩画作家ふじさんに『アトリエ寝子』として活動を始めた経緯や活動内容などを詳しく伺いました。

きっかけは詩太(うーた)さんのライブ

『えきまちテラス長浜』でのライブペインティングの様子(画像出典:Facebook)

「詩人・画家の詩太(うーた)さんのライブを見て、『こんな表現方法があるんだ』と衝撃を受けたのが大きなきっかけでした」

うつ病で教員を退職後、不登校の子どもたちと関わったり、ライター業に挑戦したりと自分にできることを模索していたといいます。そんなときに出会ったのが、詩人・画家として活動している詩太(うーた)さんでした。

初めて見たライブでは、こんなに人を感動させるパフォーマンスがあることに感動したとのこと。すぐに取り組めたわけではありませんが、以前からノートに綴っていた自分の思いや言葉も何らかの形にできるのではないかと考えはじめたと語ります。

じつは絵がとても苦手でした……

夏の詩画展『夜のち、雨のち、虹』より(画像出典:Facebook)

ふじさんは、コンプレックスを抱えていたと言います。

「僕は色弱といって、特定の色を識別しにくい症状です。ですので、じつは昔から絵がとても苦手でした。今でも自分の塗っている色がほかの人にどう見えているのかわかりません」

ふじさんの作品には鮮やかな色合いのものが多く、色弱のコンプレックスを一つの個性として表現しているようです。その色鮮やかな作品は、多くの人の心に強いインパクトを与えます。

絵が苦手だったというふじさんですが、作品を見ても苦手だったようには思えません。

「本当に最初の方に描いた絵は恥ずかしくて見せられません。でも、時間をかけて描き続けることで、少しずつ上達してきました。それでもまだ画力は全然足りないと感じています」

ふじさんの作品が多くの人の心を惹きつける理由は、色彩の鮮やかさだけではありません。個展に訪れた人たちのコメントを読んでわかるのは、言葉に込められた力に勇気づけられる人が多いということ。

「詩や言葉は、自分自身に向けて書いているのですが、それが心に響くと言われることがあります。誰かに向けて書いているわけではないのですが」

それは、ふじさんが今までに経験した数々の「より道」が、多くの人に共感されるからでしょう。

最初の「より道」は教員採用試験での不合格

Farm Cafe Lian(ヨコタ農園)で開催された個展の様子(画像出典:Facebook)

ふじさんは、大学入学までは順風満帆な人生を送っていたといいます。流れが変わったのは、大学4年生のときの教員採用試験でした。

「じつは教員採用試験の一次で不合格になりまして、悔しさと虚しさから父親の車を借りて日本一周したのが最初のより道だったかもしれません。2回目のより道は大学を卒業して数年後に、意を決して海外に飛び出した時です」

いつかは海外に行きたいと思いつつ、なかなか実行に移せなかったといいます。意を決して飛び立った海外では、9カ月もの期間を過ごしたとのこと。より道によって得られた経験は多いと言います。

彦根市『カフェ・グレコ』での個展の様子(画像出典:Facebook)

「うつ症状に悩まされていたとき、頭の中に浮かんだ言葉を作品に書いていたのですが、そういった言葉が不登校のお子さんを持つ保護者の方に共感していただけたことがありました。僕の置かれていた状況と、不登校のお子さんに共通している部分があったのかもしれません」

不登校に関する活動に参加したことで生まれた言葉もたくさんありました。その後、さまざまな場所で個展を開催しています。地元の新聞に掲載されたこともあり、作家の活動も少しずつ認知されるようになってきました。

ところで、屋号の『アトリエ寝子』とは何を表しているのでしょうか。

屋号『アトリエ寝子』に込められた意味とは?

『アトリエ寝子』の作品の多くに「猫」が描かれている(画像出典:Facebook)

『アトリエ寝子』の「寝子」は「猫」を表しています。ふじさんは幼少の頃から猫を飼っていて、ふじさん自身が猫を好きなことから屋号として使用することにしました。

「猫は何物にも縛られないというか、自由奔放なイメージがあります。好き勝手に寝たり、部屋に出入りしてきたり。しかも、こんなに自由なのに誰からも叱られないどころか、家族の皆が癒されて和やかになります。そういう存在が羨ましくて……」

ふじさんが描く作品の多くに猫が描かれています。ふじさんの書く言葉は猫との相性がよく、やわらかな雰囲気を助長させるようです。

そんなふじさんは、どのように創作活動をしているのでしょうか。

農業と子育ての傍らで詩画作家として活動

ブロッコリーの収穫に歓喜するふじさん(画像出典:Facebook)

「平日は農業の仕事をしているのと、家族の時間を大事にしたいので、創作活動は基本的に子どもが寝てからになります」

農業は大変なことも多いが、とてもやり甲斐があると語ります。ふじさんにとっては、詩画作家と農業のどちらも本業。農業には農業の大変さがありますが、ふじさんの理想の働き方に近いのかもしれません。

今後の活動予定

11月に開催される「旅」をテーマにした個展のチラシ

「今年は冬・春・夏・秋と4回の個展を開くことにしました。8月に夏の個展を終えたところです。次は11月に開催する予定です」

秋の個展は11月1日から16日までの約2週間(休館日:11/3・5・12)。会場は『暮らしギャラリーふくらの杜』です。

秋の個展は「旅」をテーマにしたいと意気込むふじさん。世界中を旅した経験や今までの「より道」を言葉と絵で表現します。

漢字の「旅」は、旗を掲げて人々が進む様子を表した文字です。旗を掲げているのは、詩画作家のふじさん。その旗を目印にして少しずつ人が集まってくる未来を想像すると、わくわくが止まりません。

今はまだ無名かもしれませんが、今後はさらなる努力を積み重ね、多くの人の心に残る詩画作家になることは間違いないでしょう。

『詩画作家ふじ/アトリエ寝子』の詳細情報

(画像出典:Facebook)
公式サイト
詩画作家ふじプロフィール(出典:公式サイト『アトリエ寝子』

プロフィールやギャラリー、ショップの情報は公式サイト、ショップサイトをご覧ください。

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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