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アート  |    2023.10.24

1500年以上の伝統を受け継ぐ越前和紙|「RYOZO」の紙漉きに感動

栁瀨良三製紙所(RYOZO)の工房正面

栁瀨良三製紙所(RYOZO)(以下、RYOZO)は福井県越前市で1500年以上の歴史伝統のある越前和紙を、今もなお製作し続けている会社です。越前和紙の製造販売だけでなく、工場内の見学や手漉き和紙体験もできます。

筆者は福井県の学校を卒業しており、卒業証書が越前和紙で作られたものでした。当然、当時は越前和紙がどのようなものかも知りませんでしたが、最近になり工房の見学や手漉き体験ができることを知り、興味を抱いています。

今回、鯖江市を中心に開催された、ものづくりイベントRENEWの中で、越前和紙を製作しているRYOZOを訪問する機会がありました。

越前和紙の魅力を少しでも知ってほしいとの思いを込めて、記事を書きます。

金型落水紙の製作過程を見学

丁寧に紙漉きをしながら説明してくださいました

RYOZOでは、営業時間内であればいつでも手漉きの様子を見学できるようです。今回はRENEW開催中であり客足も多く、何度も手漉きの様子を見せてくださいました。

紙漉きを終えると枠を取り出し、渦巻き模様になった金型を上に置きます。その後、金型の上からシャワーを使って勢いよく水を掛けることで、和紙に綺麗な模様が入りました。

金型落水紙の製作過程(落水後の様子)

模様ができる原理は、水圧によって金型の無い部分が押されて凹むという簡単なもの。しかし、近付いてよく見てみると、シャワーの水の跡がよくわかります。また、金型の部分も一定ではなく金属の丸みによって柔らかい形状を作り出していました。

「ちょっと端の方を持ち上げてみてください」

言われるままに、まだ乾く前の越前和紙を持ち上げてみたところ、破れずに持ち上げることができます。繊維の強さを実感するとともに、越前和紙が包装や障子、襖などに利用される理由もよく理解できました。

また、工房内にはRYOZOで製作されている様々な模様の和紙が飾られています。

RYOZOで製作されている越前和紙は色とりどり

ひときわ目を引いたのは、雲竜紙でした。雲竜紙とは、素材の中に少し長めの繊維を入れて模様を表現した紙のことです。雲のような模様をしていることから、雲竜紙といわれているもの。

RYOZOでは木の皮を五色に染め上げ、それを丁寧に散りばめることで、二つとない模様の和紙を作り出しています。

五色雲竜紙以外にも、色とりどりの和紙を手で千切って作られた「ちぎりたなばた」や三角に透けている「紗型和紙 三角」など、魅力的な和紙がディスプレイされていました。

工房の隣にはショップもあり、和紙を使った商品が販売されています。

ショップでお土産も購入できる

RYOZOのショップ正面

工房の隣にはショップがあり、その奥には工場があります。今回の訪問では時間の都合上、工場の見学はできませんでした。

ショップ内で販売されている様々な商品

ショップ内で販売されていた商品の中で、ひときわ大きなスペースを占有していたのは、団扇と扇子でした。一般的な大きさの団扇もあれば、手のひらに収まるくらいの小さな団扇もあります。

もちろん団扇としても使用できますが、少し特殊な商品もありました。よく見てみると「団扇コースター」と書かれています。団扇の形をしたコースターでした。また、栞として使用できる団扇も販売されています。

RYOZOの基本情報

ショップで販売されている京扇子

越前和紙の里へは雪の降った頃がおすすめ

RYOZOではいつでも見学ができますが、

「できれば冬の寒い時期に景色を見て欲しいですね。特に冬の朝、少し遠くから見ると山に湯気が立ち昇ります。近辺の越前和紙工房が一斉にボイラーを炊き始める時間には、幻想的な景色が見られますよ」

とのこと。雪が降った頃にお邪魔して、今度は工場も見学したいと思っています。

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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