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アート  |    2025.02.04

長浜市を演劇の新たな拠点に!シニアミュージカル『発起塾』と次の世代を担う『長浜歌劇団』

「表情や動き、衣装、クセで表現できます。一人何役もしなければいけないので大変かもしれませんが……」

熱の入った指導の様子が目に入りました。取材に訪問した先は、滋賀県長浜市内の産業文化交流拠点となっている『さざなみタウン』。シニアミュージカル集団『発起塾』のレッスンです。

京都、神戸、名古屋でも実績のある『発起塾』が、2024年4月に長浜市内でも開校されました。ただし、現在の塾生は2人だけとのこと。

防音の効いた室内に入ると、塾生の2人がそれぞれに複数の役を使い分け、台本の読み合わせをしている最中でした。

熱心に演技指導する秋山さん

2023年に開催された『田根アーティスト・イン・レジデンス』でのミュージカル披露をきっかけに、長浜市内で『発起塾』を開校することになったといいます。

代表を務めるのは劇作家・演出家の秋山シュン太郎さん。秋山さんは、若くして『シュン太郎劇団』を旗揚げし、現在はミュージカル台本、テレビ、ラジオドラマなどの台本などを手がけています。

今回は『発起塾』代表の秋山シュン太郎さんに、開校のきっかけや演劇についての思い、今後の展望などについて詳しく伺いました。

シニアミュージカル集団『発起塾』とは?

『発起塾』は、50歳以上100歳未満の演劇初心者による特定非営利活動法人。正式名称は『NPO法人発起塾』です。シニア世代が楽しくミュージカルを上演する、国内では珍しい団体といえるでしょう。

高校時代から演劇に興味を持ち始めた秋山さんは、岡山の高校を卒業したのち、大阪教育大学へ進学。講義の合間を縫って演劇に取り組んだといいます。当時、同期として共に演劇に取り組んでいたのは、辰巳琢郎さんや劇団新感線のいのうえひでのりさんら錚々たる面々です。

そんな秋山さんが、どうしてシニアミュージカルに携わることになったのでしょうか。

シニアミュージカルのきっかけは仏教だった

演劇への熱い思いを語る秋山さん

きっかけは「仏教を身近なものにしたい」という、ある住職からの相談だったといいます。

落語や演劇、ダンスなどに法話を織り交ぜた若者向けの企画でしたが、参加者の多くは60歳前後の中高年でした。しかも、中高年の参加者たちは、踊れば踊るほど元気になったそう。

その後、中高年のエネルギーを発散できる場所として、1999年に大阪で『発起塾』を立ち上げました。現在は京都、神戸、名古屋でも教室を展開し、2024年8月にはニューヨーク公演も開催しています。

ニューヨーク公演の様子(画像出典:Facebook)

大学時代の同級生に誘われて長浜公演を開催

不思議な縁があり、長浜市でも『発起塾』を立ち上げることになったといいます。

「大学時代の同級生から依頼があって長浜公演を行ったのですが、そのときに長浜での教室開催を望む声が数多く寄せられました。たしかに、長浜を第2、第3の拠点として考えてみるのもいいとは言ったものの、それはただのリップサービスです」

長浜公演とは、2023年7月に開催された『田根アーティスト・イン・レジデンス』です。リップサービスで言ったひとことを、秋山さんは口にしたことすら忘れていたといいます。

声による表現方法を塾生たちに指導する秋山さん

「しばらくしてから、『稽古場にこの場所はどうですか?』などと紹介されることが増えたので、真剣に考えるようになりました。長浜という土地は、地域の文化的にも面白いと思っています。ただ、演劇の文化が根付いていないようなので、苦戦を強いられていますが……」

『シニアミュージカル集団・NPO法人 発起塾』のチラシ

長浜市は滋賀県の北部に位置し、福井県と岐阜県に隣接する地域です。秋山さんは、関西圏や北陸圏、中部圏のどことも文化が異なっているのが興味深いと語ります。

新会社を立ち上げて『発起塾』と『長浜歌劇団』の2軸展開

秋山さんはアート系のイベント会社『トレンディ・アーツ・パーソンズ(TAP)』を立ち上げ、シニア向けの『発起塾』とは別に、次の世代を担う子どもたちの『長浜歌劇団』を設立しました。長浜からセミプロ、プロの俳優を輩出するのが狙いです。

TAPでは、ゆう壱番街商店街・大通寺通に、地元の農作物や卵かけご飯を提供する『ナガハマ黒丸』を開店。2階に事務所を構え、美味しい食事とさまざまなエンターテイメントを楽しめる場を提供しています。

くのいち忍者フェスのチラシ(左)と『ナガハマ黒丸』の卵かけご飯(画像出典:Facebook)

演劇だけでなく、『くのいち忍者フェス』などを企画し、地域活性化にも取り組み中とのこと。

「滋賀県では、びわ湖の水と人は出しっ放しと聞きます。ですので、外に出なくてもプロを輩出できるような仕組みをつくろうと思い、『長浜歌劇団』を立ち上げることにしました」

『長浜歌劇団』の目的は、単純な若手育成ではありません。将来有望な若手を育てたいというスポンサーとともにセミプロやプロの俳優を育てる事業です。まだ始まったばかりですが、長浜出身の俳優が活躍することを期待しています。

4月か5月のサロンでお披露目を

秋山さんに、『発起塾』に関する直近の活動予定を伺いました。

「4月か5月にサロンを開催して、そこでお披露目したいと考えています。ただ、現在は長浜の塾生が2人しかいないので、京都・大阪の塾生と合同で開催する方向です」

秋山さんは現在、長浜市内に住居を構え、長浜校の立ち上げに本腰を入れているとのこと。まだ本格的な始動前という状況ですが、今からサロンの開催が楽しみです。

詳細情報

『ナガハマ黒丸』と『NPO法人発起塾』の詳細情報は以下のとおりです。

卵かけご飯のお店『ナガハマ黒丸』詳細
黒壁スクエア内『ナガハマ黒丸』の外観(画像出典:Facebook)
発起塾詳細

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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